トルコリラ週報:『潜在的なトルコリラ売り圧力を為替介入と資本規制で支える構図』(5/27ー5/31)

今週(5/20−5/24)のトルコリラ・円相場(TRYJPY)は、週初18.2097円で寄り付いたあと、リスク回避ムードの後退を背景に、一時18.3484円まで上昇しました。

トルコリラ週報:『潜在的なトルコリラ売り圧力を為替介入と資本規制で支える構図』(5/27ー5/31)

潜在的なトルコリラ売り圧力を為替介入と資本規制で支える構図

今週(5/20−5/24)のトルコリラ・円相場(TRYJPY)は、週初18.2097円で寄り付いたあと、リスク回避ムードの後退を背景に、一時18.3484円まで上昇しました。しかし、同水準では上値も重く、伸び悩むと、@トルコ5月消費者信頼感指数(結果55.30、前回63.50)が2008年11月以来、約10年6ヶ月ぶり低水準に落ち込んだことや、Aトルコ中銀がスワップレートを25.5%→24.0%に引き下げたこと、B通貨防衛目的で停止していた1週間物レポ入札を24.0%で再開したこと、Cロシアからのミサイルシステム購入を巡って米国との関係悪化が深刻化していることなどが重石となり、5/23には、約10日ぶり安値となる17.8686円まで下げ幅を広げました。もっとも、週末にかけては、アルバイラク・トルコ財務相が通貨危機で打撃を受けた国内輸出企業支援を目的に「300億リラ(49億ドル)の融資を提供する」と発表したことで、トルコリラはひとまず下げ渋り、17.9704円まで小反発しての越週となっております。

トルコリラを巡っては、潜在的にくすぶるトルコリラ売り圧力(@イスタンブール市長選やり直しに伴う民主主義への不信感、Aロシアからの武器購入を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、C高止まりするインフレ圧力、Dトルコ経済を巡る先行き不透明感、E消費者信頼感指数の急落、F一般特恵関税制度の対象国からトルコが除外されたことに伴う米ートルコ間貿易の減少懸念など)を、Gトルコ中銀によるリラ買い為替介入や資本規制、Hトルコ政府による景気対策で下支えする構図が続いております。特に資本規制については、約11年ぶりに0.1%の外貨購入税を復活させた他、10万ドル相当額以上の外貨購入における決済日を1日延期させる措置を発表するなど、国外への資本流出阻止に向けた懸命な取り組みが確認されます。

ただ、こうした政府・当局による一連の措置を受けても尚、反発するどころか下値を切り下げている現状に鑑みると、トルコリラの下落リスクは相応に強いと判断できます。前週号でもお伝えした通り、市場の関心は、ファンダメンタルズ面の弱さに伴うトルコリラ売り圧力を、政府・当局による為替介入や資本規制で「いつまで」封じ込むことができるのか、その限界「時期」を探る動きに移っております。

テクニカル的に見ると、トルコリラ・円相場は、ボリンジャー・ミッドバンドを下回る水準での推移が続いている他、強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転も出現中です。更には昨年8月のトルコショック時に付けた安値15.318円と昨年11月に付けた戻り高値22.132円を起点としたフィボナッチ50%押し(18.725円)も明確に下抜けました。以上のことから、トルコリラ・円相場は、ファンダメンタルズ的に見ても、テクニカル的に見ても、下落リスクが「極めて大きい」と判断できます。米中貿易摩擦を背景としたリスク回避的なムードが続くようであれば、5/9に付けた直近安値17.539円を試す動きも想定されます。5/31に予定されているトルコ第1四半期実質GDP統計の結果を睨みながらも、来週は、トルコリラ・円相場の下落リスクに警戒が必要です。

来週の予想レンジ TRYJPY 17.55ー18.25

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トルコリラ円日足

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