ANC勝利を受けたご祝儀相場は早くも終焉、来週はZAR安基調の再開に要注意
今週(5/13−5/17)の南アフリカランド・円相場(ZARJPY)は、週初7.7489円で寄り付いたあと、@米中貿易摩擦に端を発したリスク回避ムードの高まり(円買い要因)や、AJPモルガンによる南アフリカ債及びZARへの投資見通しの引き下げ(南アフリカランド売り要因)を材料に、一時7.5845円まで下げ幅を広げました。しかし、先週5/9に記録した安値7.5743を前に下げ渋ると、その後は、B南アフリカ総選挙後の政局不透明感の払拭や、C米政府による自動車輸入関税の期限延期を受けたリスク回避ムードの後退が支援材料となり、週後半にかけては、一時7.7653まで上昇する場面も見られました。もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、週末にかけては再び反落。結局7.6234まで押し下げられるなど、上値の重い展開が継続しました。この間発表された南アフリカの第1四半期失業率(結果27.6%、予想27.4%)や、同3月小売売上高(結果0.2%、予想0.6%)など一連の経済指標が軒並み不冴えな結果となったことも南アフリカランドの上値を抑制した一因と考えられます。
尚、先週5/8に実施された5年に1度の南アフリカ総選挙(下院、定数400)では、ラマポーザ大統領率いる与党・アフリカ民族会議(ANC)が、57.5%(230議席)を獲得し、過半数維持に成功しました。前回2014年の62.0%(249議席)から4.5ポイント(19議席)減らしながらも、概ね市場予想の範囲内に留まるなど、ネガティブサプライズは見られませんでした。但し、野党第2党の急進左派政党で若年層からの支持が厚い経済的開放の闘士(EFF)が前回から議席を増やしている点には注意が必要です(6.4%→10.8%)。若年層や貧困層を中心に国民の不満の表れが透けて見えることから、ラマポーザ新政権には引き続き逆風が吹き荒れると考えられます。政局不透明感の払拭を背景にひとまず南アフリカランドは反発しましたが、押し上げ効果は限られそうです。市場の関心は早くも第2次ラマポーザ政権の経済・構造改革、5/27に予定されている新内閣閣僚人事に移っており、まだまだ不透明な状況は続くと予想されます。
テクニカル的には、一目均衡表転換線(7.6794)や、ボリンジャーバンドのミッドバンド(7.7230)、一目均衡表雲下限(7.8623)がレジスタンスとして意識されることから、当面上値の重い展開が見込まれます。今週は1/3安値と3/28安値を結んだサポートライン(添付チャートの黒の点線)に辛うじてサポートされましたが、第2次ラマポーザ政権の閣僚人事に焦点が移る中で、不透明感は未だ根強く、ANC勝利を受けたご祝儀相場は早くも終焉を迎えると考えられます。5/22に発表される南アフリカ4月消費者物価指数や、5/23の南アフリカ準備銀行(SARB)政策金利発表を睨みながらも、来週の南アフリカランド・円相場はやや下落リスクに警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.45ー7.85
ZAR円日足
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