前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先々週と先週の概況
ドル円週報同様にユーロも例外的にまとめた形となります。
*先々週
東京市場の大型連休を前にドル円が動意薄となる中、ユーロはこれまで同様に欧州の景気の弱さとブレグジットの先行き不透明感を背景に上値が重たい展開を続けました。週初こそイースター明けでスロースタートでしたが、23日に英国では与党内からメイ首相退陣の声が上がり、24日には弱いドイツの経済指標をきっかけとしてユーロ安が勢いづく流れとなりました。
24日NY後場には1.11台半ばを割り込み、週末に向けてはストップオーダーと仕掛けのユーロ売りが目立ち1.1111レベルの安値をつけました。インターバンクディーラーは一般の人に比べゲンを担ぐのが好きで、数字でもゾロ目やストレート(連続)といったレートを好む傾向があります。1.1111というゾロ目のレートはいかにもつけそうで、やはりつけたという感じで、逆に達成感がその後の買い戻しを招いたと個人的には見ています。
*先週
前週末にはユーロドルが下げたことを最大要因にドルインデックスは98台まで上昇と、ドル自体が強すぎることに対する懸念が日米通商協議とともに感じられる週明けとなりましたが、先週は週半ばまでドル高懸念を中心としてユーロの買い戻しが目立つ動きとなりました。1日NY市場ではFOMC直後のドル売りから、一時1.1265レベルと前週高値をも超える動きを見せましたが、パウエル議長の会見とともにFOMC前の水準へと押し、その後は改めて欧州経済に対する懸念から週末に向けユーロ売りとなり、米国雇用統計は発表直後には1.1135レベルと週間安値を更新しました。
しかし、雇用統計後のドル買いが短時間でその後はドル売りに転じたこと、ユーロドルも前週安値をトライすることができなかったことも重なって1.12台を回復しての週末クローズとなりました。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
5月6日(月)
16:50 フランス4月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ4月製造業PMI改定値
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
5月7日(火)
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
15:45 フランス3月貿易収支
17:00 カンリフ英中銀副総裁講演
5月8日(水)
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
17:15 ラムスデン英中銀副総裁講演
5月9日(木)
**:** 非公式EUサミット
5月10日(金)
15:00 ドイツ3月貿易収支
15:45 フランス3月鉱工業生産
16:00 フランス中銀総裁講演
16:30 ラウテンシュレーガーECB理事講演
17:30 英国3月GDP
17:30 英国3月貿易収支
18:30 イタリア中銀総裁講演
今週の週間見通しと予想レンジ
ユーロドルは、欧州は景気、英国は政治と積極的な買い材料が見つからない中でじり安の展開を辿り、先々週は1.1111レベルと2017年5月以来2年ぶりの安値を見ることとなりました。東京連休中もいったんは買い戻しが入ったものの上がったところでは売りたいと考える参加者が多かったこと、また週末のトランプ大統領による中国への制裁関税発動の発言が世界の主要株価指数を押し下げていることから、欧州の株価もまた下げて始まると考えられ、今週も戻り売りが出やすくなると見ています。
他にあまり注目はされていないもの英国では2日に地方選がイングランドと北アイルランドで行われました。与党保守党は当然のように大幅に議席を失っていますが、野党労働党もまた議席を減らすという意外な結果を示しています。それらの票はみどりの党や英国独立党といった野党第2党以下に流れ、地方においてもブレグジット強硬派やEU残留派が入り乱れていることがわかります。今後の議会のブレグジット論議も一段と混迷を深めるのではないかと感じさせることになった印象です。
今週は材料自体にそれほど目立ったものはありませんが、欧州各国中銀関係者の発言、また非公式ではあるものの9日にEUサミットがあり、前者は欧州景気に対する見方、後者はブレグジットに関してのコメントが出てくる可能性があり、現状あまりポジティブな見通しが無いだけに、引き続き悪材料に反応しやすいという流れが続きそうです。
またドル円週報に書きましたが、米国財務省の為替報告書が遅れている中での日米通商協議と米中協議に向けての暗雲と、次の協議対象であるEUに関しても、米国から何らかの発言が出てくる可能性が常にあります。4月初めの段階で米国はEUに対して110億ドルの関税を課すとの発表をしていますが、中国に対する強硬な姿勢同様、対日、対EUと米国側からはいつ何が飛び出してもおかしくはないという点にだけは注意が必要です。
ただ、為替市場では対日懸念に関しては円高という素直な反応ですが、対EUに関してはユーロ高方向へ動く理由もあるものの、欧州経済の一段の減速につながるリスクを重視して、最初の反応はユーロが対ドル、対円ともに売られる動きになると考えられます。日本の大型連休が終わり、世界的に市場参加者が戻ってくることとなりますが、時期的にも5月中旬から下旬はテクニカルな変動が起きやすい日柄を示しているため、警戒したいところです。
テクニカルということで日足チャートもご覧ください。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
長期的には高値安値ともに切り下げるピンクの太線で示した下降チャンネルの中での動きと言えます。また、中期的には3月高値からのレジスタンスラインとそれに平行に引いた下降チャンネル(青の細線)の中での下降トレンドを継続中と見てよいでしょう。材料的にもテクニカルにも、ユーロが反発する兆しはなかなか見出せません。
4月高値を起点に4月安値までの下げ、5月初めの戻しを逆N波動の各点と考えると、78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが1.1097、100%エクスパンションが1.1051と先々週安値を再度トライし1.10台半ばから後半、長期的には1.10の大台をも視野に入れやすい流れにあると見ることが出来ます。
今週については、一気に下抜け機運までは出にくく上記手前のターゲットと重なる1.1100レベルをサポートに、先週高値圏1.1270レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
ドル円が急速に円高に触れてきましたので、今週はユーロ円チャートを見ます。日足チャートをご覧ください。
ドル円同様に1月4日からの上昇チャンネル(ピンクの平行線)を本日下抜けました。本日午前中の安値は年初来安値と高値の半値押しにあたる123.28(赤のターゲット)に近いところまで下げていますが、4か月続いたチャンネルを下抜けたということは、テクニカルにはかなり重要な値動きと言えます。
ドル円もユーロドルもどちらも下げる懸念が強い中、61.8%押しにあたる122.29を今後の下値のターゲットとしてくる動きが出てくる可能性が高くなってきたと言えそうです。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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