ドル円、米中貿易摩擦の激化を嫌気して急落するもその後持ち直し
海外時間の為替概況
週明け6日の為替市場は、前日夜に報じられたトランプ米大統領による「中国からの輸入製品2000億ドルに対する関税を現行の10%から25%へ引き上げる」「その他の3250億ドル相当分についても関税の賦課対象にする」との発言を嫌気する形で窓を開けてオープンすると、中国側も「今週8日からの米中貿易協議に出席するための代表団の派遣中止を検討している」と報じたことから、「米中貿易摩擦の激化→中国発のグローバルな株安→リスク回避の円買い」への波及が想起され、ドル円は週明け早々に安値となる110.29まで急落しました。
もっとも、一目均衡表雲下限が位置する110.30近辺では下値も堅く、下げ渋ると、「中国政府は代表団の派遣を予定通り計画しているが、そのメンバーに劉副首相が含まれるかどうかは分からない」との報道が支援材料となり、上海株の下げ幅縮小を横目にドル円も持ち直す動きとなりました。海外時間にかけては、トランプ米大統領の発言は貿易協議を優位に進めるための手段に過ぎないとの楽観的な見方が広がる中、一時急落していた米主要株価指数が下げ幅を縮小すると、ドル円も110.96まで上昇しました。もっとも、111円手前では戻り売り意欲も根強く、引けにかけては再び反落。結局110.60台まで押し下げられてのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は終始底堅い動き。欧州時間に発表されたドイツ4月サービス業PMI(結果55.7、予想55.6)や、ユーロ圏4月サービス業PMI(結果52.8、予想52.5)、ユーロ圏3月小売売上高(結果1.9%、予想1.8%)が軒並み市場予想を上回る結果となったことが背景です。米国時間にかけて高値1.1211まで上昇したあと、結局1.1190台でクローズしました。
その他通貨では、トルコリラの急落が目立ちました。注目されていたイスタンブール市長選のやり直しが報じられたことで、政局不透明感の高まりを嫌気したトルコリラ売りが活発化した模様です。海外時間には、一時18.016円まで急落するなど、約7ヶ月半ぶり安値を更新しました。
ドル円のテクニカル分析
週明けのドル円相場は、チャートポイントとして意識されていた、@111円ちょうど近辺、A4/10安値110.84、B一目均衡表雲上限110.81を全て割り込む冴えない展開となりました。C一目均衡表雲下限110.30にサポートされる形でその後反発に転じましたが、111円手前では上値も重く、結局、一目均衡表の雲の中(110.30ー110.81)に閉じ込められてのクローズとなりました。トランプ米大統領による強気な発言は、「中国との貿易交渉を優位に進めるためのパフォーマンスの一環」と海外市場ではやや楽観的な見方が強まりましたが、油断は禁物です。通貨オプション市場ではリスクリバーサルの円コールオーバーが拡大するなど、下落リスクを織り込む動きが着々と広がりを見せております。本日より本邦勢が大型連休から戻ってきますが、引き続き米中貿易摩擦に絡むヘッドラインに注意が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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