今週の週間見通しと予想レンジ
先週は主要通貨ペアが冴えない動きの週となり、金曜にはユーロがスタートした1999年1月以降の5281営業日で、ドル円が歴代1位タイの11銭、ユーロドル15pipsで歴代4位の狭いレンジを記録しています。先週は欧州関連ではブレグジット延期後の英国で行われる超党派の協議、またECB関係者からは今後の見通しといった材料はありましたが、イースター休暇前で欧州の金融機関を中心に様子見姿勢が強まったことが大きかったと言えるでしょう。
欧州の政党名を見ても分かる通り、欧米ではキリスト教イベントが生活に深く浸透しているため、クリスマス(キリスト降誕祭)とイースター(キリスト復活祭)は2大重要休日となります。クリスマスと異なりイースターは、春分後の最初の満月後の日曜(休日は金曜のグッドフライデーから月曜のイースターマンデーまで)という決まりがあるため、3月22日〜4月25日の間のどこかとなりますが、今年の4月21日は比較的遅い時期となり、今週末からの日本の10連休と近づいたことも市場を冴えなくした一因となった印象です。
また、今週は予定を見ても欧州関連の重要イベントがほとんどなく、突発的な材料でも無ければ1.12台前半の買いと1.13台前半の売りに阻まれてどちらにも動きが出にくい流れは変わらなそうです。先週も1.1226〜1.1324のレンジと週間レンジも100pipsに満たない週でしたが、今週も基本的には先週のレンジの中での動きを繰り返しやすい地合いにあると
考えられます。
ただ、日米通商協議の次は対EUということを考えると、米国財務省の為替報告書監視リストにドイツが含まれることは確実な状況下で、ユーロの上値を抑えやすい要因になりそうですし、英国のブレグジット協議も今週中に超党派での合意に落とし込むほどの進展は無さそうですから、ポンドの動きによってという可能性も少ないのではないかと考えられます。ひとつ気になることとしては、先週金曜のコラムに示したドルインデックスの水準で97を上回ってくると反落しやすい(ドルが売られやすい)傾向が見られます。ドルインデックスの構成通貨ではユーロが圧倒的に多いことを考えると、ユーロが大きく下げる動きもまた警戒感が出てきそうではあります。
チャートもご覧ください。
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
大きくはピンクの太線で示した下降ウェッジの中での動きを続けていますが、目先は4月以降の高値(1.1324)と安値(1.1184)のレンジの中で、半値1.1254を中心レンジとするもみあい局面にあると考えられます。まだ少し先だとは思いますが、いったんはユーロ売りをトライしそうなチャートではあるものの、目先は動きが出ないと考えた方が自然です。
今週は先週のレンジを若干下方向に下げ、1.1210レベルをサポートに1.1310レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
*10連休中の予定ですが、来週は一週間お休みをいただき、5月6日から再開いたします。
今週のコラム
今週はブレグジット問題こそ落ち着いていますが、ユーロポンドのチャートを見ながら現在の傾向について見てみましょう。
日足チャートをご覧ください。
年初から3月中旬まではユーロ売りポンド買いが優勢でしたが、背景としてはソフトブレグジット(合意ある離脱)で間違いないという楽観的な見通しと、英国と欧州の景気における温度差が大きかったと思われます。
しかし、3月で底を打ってからはブレグジットの経過に対して一気に不透明感が高まったことがユーロ買い戻しの動きに向かわせたと言えますが、長期的には仮にソフトブレグジットであっても英国にとっては好ましいとは思えないという本来の(当初の)見方に戻ってきていることがありそうです。
テクニカルにも3月安値を中心に前後(左右)にやや高い安値を伴う逆ヘッド&ショルダー型のチャートパターンにも見え、3月高値(0.8723)を上抜けてくると一段高に繋がる可能性のあるチャートと言えます。まだ若干距離はあるものの、それほど遠くも無いため、5月はユーロポンドも注意したいチャートと言えるでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
4月22日(月)
**:** 日本と米国を除く主要市場休場
4月23日(火)
23:00 ユーロ圏4月消費者信頼感速報値
4月24日(水)
15:45 フランス4月企業景況感
17:00 ドイツ4月ifo企業景況感
4月25日(木)
21:30 デギンドスECB副総裁講演
4月26日(金)
15:45 フランス4月消費者信頼感
21:30 米国1〜3月期GDP速報値
28日(日)
**:** スペイン総選挙
前週のユーロレンジ
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月15日(月)
ユーロドルは、東京市場ではリスクオンによるユーロ円の買いも入り、じり高となっていましたが、欧州時間に入ってからは英国超党派の協議進展発言にともなったポンド買いにも目立った反応は見せず、引けにかけては狭いレンジでの行って来いとなりました。
4月16日(火)
ユーロドルは、ECB関係者の話として今後の欧州景気に楽観的になれないといった発言で下げ、さらなる利下げはないとの発言で買い戻されと、欧州市場前場に上下する動きは見られたものの、その後は英国で与野党の協議が行き詰まっているとのニュースが出て、ポンドが売られた動きとともにじり安の展開で引けました。
4月17日(水)
ユーロドルは、朝方はユーロ円の買いが出たこと、また前日の下げに対する調整から東京市場ではじり高となり、欧州市場序盤には前週金曜の高値に並びました。しかしユーロを積極的に買う材料があるわけでもなく引けにかけては東京前場の水準へと押して引けました。
4月18日(木)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場の朝方に発表されたドイツとフランスの製造業PMIが弱かったことをきっかけにユーロ売り。その後はダウ先物が急反発する動きによるドル買いがユーロを中心として見られたことからNY後場には1.1226レベルまで水準を切り下げ、安値圏での引けとなりました。
4月19日(金)
ユーロドルはグッドフライデーで欧州市場が休場となったことからほとんど動かず、終日のレンジはわずか15pipsに留まりました。これはユーロスタート(1999年1月)以降で歴代4位の狭いレンジとなり、ドル円同様にまったく動意が見られない週末相場となりました。
ディスクレーマー
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