トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、戻り売りが出てくると考え「18.50レベルをサポートに19.90レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.94レベル、高値が20.71レベルと予想よりも強く、前週の下げ以上に上昇する動きを見せた後に週のレンジの中ほどでの週末クローズとなりました。
先週のトルコリラ円は前週に欧州PMIと米国PMIの弱い数字に世界的にリスクオフの動きが出ていたところに、トルコ中銀の外貨準備減少も重なりトルコリラ売りとなったことは先週も書いた通りです。その後の流れですが前週末までにエルドアン大統領がトルコリラ売りを行っている投機筋に対して警告を発したこと、トルコ中銀はこれまでの政策金利から以前の後期流動性貸出金利へと戻し、ベースとなる金利に+3%の上乗せ金利を適用したことから、先週は週初から買い戻しが先行していました。
更なる取引規制としてトルコ政府は、リラ安防止策のため国内金融機関が海外と取引を行うことを実質的に禁止したことで、翌日物金利は瞬間1200%にも上昇、投機筋もさすがにトルコリラ買い戻しに動いたことで一気に週末前の水準へと戻すこととなったわけです。しかし、この規制はトルコからの資金流出をもたらし、トルコの株価指数イスタンブール100種は暴落を演じます。
下のチャートは、イスタンブール100種の日足チャートです。
ラインマーカーで着色した部分が先週、月曜の102556から木曜には90150と12.1%もの下落を演じ、そのことが週末に向けてトルコリラを改めて上値を重くすることにつながりました。
また、この週末はトルコの地方選挙が行われました。事前の予想では国内経済の悪化もあり、与党AKPは苦戦するとの見方が多く、実際の本日の開票速報では首都アンカラ市長選で敗北。エルドアン大統領のおひざ元である最大都市のイスタンブールでも僅差で与野党ともに勝利宣言する事態となっています。こちらは、結果が判明するまでに時間がかかりそうですが、経済情勢のみならず強権をふるうエルドアン大統領に対する国民の審判でもあり、今後の政治のかじ取りは一段と厳しくなってくると思われます。
これで大イベントを経過し、今後はトルコ経済の状況と中銀の金融スタンス等に目が向きますが、本日のイスタンブール取引所の状況次第では、引き続き株安とトルコリラ安もまたトルコの政治と経済を苦しめることとなりそうです。
テクニカルにはどうでしょうか。
4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円
先々週の下げと先週の上げは大きいのですが、材料的には依然として下値リスクの方が大きいため、先週の高値圏は反動が大きかった買われ過ぎの状況、戻りの限界としては先々週に下げる前の安値圏20.20レベルで上値を押さえられやすいと見るべきでしょう。また下値は先週後半の押しが入った水準19.30レベルは考えておいた方がよさそうです。
今週は改めて上値が重たい週となりやすいと見て、19.30レベルをサポートに20.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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