トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、下降チャンネルの位置から「20.10レベルをサポートに、20.50レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が20.22レベル、高値が20.51レベルと狭い値幅での取引ではあったものの、予想通りの展開であったと言えます。
先週のトルコリラ円は月曜にGDPが発表され、−3.0%と2期連続でマイナスとなったためリセッション入りとなりましたが市場の反応はほとんど見られませんでした。先週発表された他の指標もマーケットへの影響はほとんど見られず、トルコリラは対ドルではかなり緩やかなドル高に留まりました。一方でドル円も緩やかな円安ではあったものの値幅は狭く、どちらもドルに対して似たような動きとなったため、トルコリラ円は横方向の動きとなっていたようです。
他にも材料的にはトルコリラにとっての悪材料が多く、先週書いたロシア製ミサイル購入問題は相変わらず米国との間の問題となったままですし、13日には欧州議会がトルコのEU加盟交渉の停止を欧州委員会に求める決議を可決しました。クーデター未遂事件以降のトルコにおけるエルドアン大統領への権力集中等を理由としています。このことも市場への影響は見られず、現状は3月31日の地方選に向けエルドアン大統領率いる与党AKPの情勢に注目が集まっていると考えられます。
3月31日の地方選は、2017年の国民投票で大統領制となってから初の選挙であり、苦戦を強いられている様子です。足元の景気悪化もエルドアン大統領離れの大きな要因となっていますが、選挙に向けてエルドアン大統領がどのような施策を打ってくるか、あるいは常に問題となる不正に近いことが行われる可能性があるのか等、どう考えてもトルコリラにとっては悪材料となりそうなものが多そうです。
選挙まで残すところ2週間となりましたので、今週から来週にかけてはトルコ国内の選挙情勢がトルコリラの変動要因になります。ローカルなテーマでなかなか見えにくい部分はありますが、海外の大手通信社のニュースでは比較的早くニュースになりますので、ロイター、ブルームバーグといったあたりのニュースは見ておくとよいでしょう。日経新聞サイトはトルコ関連のニュースは弱いです。
テクニカルな観点に移りましょう。
まず日足チャートをご覧ください。
トルコ円日足
昨年12月高値から引いたレジスタンスラインが2月以降の戻り高値をことごとく抑えているのがわかります。今週時点ではまだ同ラインまで距離はあるものの、来週には現行水準に下がってくることが気になるところです。
トルコ円、ドルトルコ、ドル円4時間足
先ほどのレジスタンスラインがピンクの太い線、それに平行に引いたラインで下降チャンネルを作り、中間に補助線も引いてあります。先週時点では補助線と下限のラインとの間での推移を考えましたが、月曜時点ではちょうど補助線の上に位置している状況です。また先週と先々週とでザラバチャートにおけるダブルボトム上の形状を示していることから、中長期的には下降トレンドを継続するものの、短期的には底堅いとテクニカルには考えられます。
しかし、トルコを取り囲む材料が悪材料が多いため戻りも限界的と考え、今週は20.10レベルをサポートに、20.60レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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