ユーロ下降トレンドもEUサミットまで様子見
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、前週のECB理事会後からの反転上昇の流れを継続し、週初が安値で週末が高値となりました。しかし、日々のレンジは狭く週を通しても123pipsのレンジに留まり、上がってはいるものの動きは鈍い週となりました。欧州自体の材料には乏しく、どちらかというと英国議会3連戦の動きが主にポンド買いの動きとなったことから、ユーロも連れ高となり前週までのポジション調整も加わってのユーロじり高になったと言えます。
今週は欧州の材料はEUサミットが21・22日にあり、先週の英国議会で決まった離脱延期決議の是非が議論される予定です。しかし、メイ首相は前日20日までになんとか合意案を英国議会でまとめたいという考えに変わりはなく、北アイルランドのDUPの賛成を得られれば、ひょっとしたら可決される可能性もあるというのが現状です。
この20日前に再度採決を行って可決の結果をもってEUサミットにメイ首相が臨むのが最善のケースで、この場合には手続きが完了する期間を想定したごく短期の離脱延期でまとまりそうです。逆に今のままでEUサミットを迎える場合、離脱案は決まらないままでの期限延期をEU側がどう判断するかにかかります。英国議会では最大6月末と決めてはいますが、5月23日からは欧州議会選挙もあり、ユンケル委員長は5月23日までの離脱を先の会談で求めていました。
それでも離脱延期が認められれば、単なる先送りとはなるものの危機も先送りとなりますが、英国議会の結論無しの離脱延期を認めないという可能性もあり、その場合には合意無き離脱が現実のものとなります。英国ではその場合の保険として合意無き離脱となった場合には当面の関税をゼロとするとしていますので、結果的にはどちらの場合でも短期的な状況に大きな変化は無さそうです。
このことがポンド買いにつながってきたわけですが、やはり政治面では合意にもとづいた離脱が良いに決まっています。20日の英国議会、21日のEUサミットと、いよいよブレグジット最終章ということになり、状況次第では一時的にポンドが振れ、それに沿ってユーロも動くという可能性があるでしょう。
もうひとつ気になるニュースがフランスのデモです。最近はニュースとしては下火になっていましたが、16日にデモ隊が暴徒化し店舗に放火するなど警官隊と衝突と緊迫した状況が放映されました。このフランスのデモは欧州各国に飛び火するリスクがあり、イタリアがフランスに対して表立った非難をしたのは記憶に新しいところです。引き続きフランスのデモの情勢は要注意ですが、基本的にユーロの売り材料であることは間違いありません。
テクニカルには、先週も指摘した「2017年安値1.0341と2018年高値1.2555の61.8%押しが1.1187」となっていて直近安値と重なりました。現状は同安値からの買い戻しの局面にあり、より大きくは年初来高値からの下降チャンネルの中での調整の上昇の動きとなっています。日足チャートをご覧ください。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
青の平行線で示した下降チャンネルの中で今週はどの程度の動きをするのかですが、上値の目途としては2月末高値と3月の年初来安値との78.6%(61.8%)戻しにあたる1.1368(赤のターゲット)がターゲットとなりやすい水準、また下値については、年初来安値を更新時に2月安値1.1234(ピンクの水平線)よりも下の水準で仕掛けた向きが買い戻したことを考えると2月安値圏は現在もサポートとなりやすいと言えます。
今週も大きくは下降トレンドの中にはあるもののEUサミットまでは様子見姿勢が強まりやすいため、1.1250レベルをサポートに、1.1380レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。
今週のコラム
ブレグジットもいよいよ大詰めですが、英国はブレグジット懸念にも関わらずポンドは堅調、英国の景気よりも欧州の景気の分が悪くポンドとユーロの対比ではポンドが強い状態が続いています。特に2月最終週にユーロポンドが昨年安値を下回ってからは上値の重たい地合いとなっています。
今週はユーロポンドがテクニカルにはどうかを見てみましょう。日足チャートです。
赤の水平線が昨年安値の0.8621ですが、下抜け後は同水準で上値を押さえられているのが3月の動きです。1月高値からは比較的綺麗な逆N波動(ピンク)の下げとなっていて、これをフィボナッチ・エクスパンションで計算すると、78.6%(61.8%)エクスパンションが0.8468と先週の安値と重なります。
また100%エクスパンションが0.8366となっていて、ここからのポンドの優勢はせいぜいあと100〜150pips程度ではないか、というのがテクニカルな見方となります。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
3月18日(月)
19:00 ユーロ圏1月貿易収支
3月19日(火)
18:30 英国2月雇用統計
19:00 ドイツ3月ZEW景況指数
19:00 ユーロ圏3月ZEW景況指数
19:00 ユーロ圏1月建設支出
3月20日(水)
16:00 ドイツ2月PPI
18:30 英国2月CPI、PPI
27:00 FOMC結果公表
27:30 パウエルFRB議長会見
3月21日(木)
**:** 東京市場休場
17:30 スイス中銀政策金利発表
18:00 ノルウェー中銀政策金利発表
18:30 英国2月小売売上高
21:00 英中銀MPC
24:00 ユーロ圏3月消費者信頼感速報値
**:** EUサミット(〜22日)
3月22日(金)
17:15 フランス3月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ3月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏3月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏1月経常収支
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.1232 1.1345 1.1222 1.1324
ユーロ円 124.76 126.57 124.48 126.27
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月11日(月)
ユーロドルは終日ほとんど動きの無い一日となりました。1日のレンジは36pipsに留まり方向感も見られないままの引けとなりました。
3月12日(火)
ユーロドルは押しを挟みながらもじり高の動きを続けました。先週末以降の買い戻しが中心となっていますが、東京市場ではポンド買いにつられる動きが目立ちました。海外市場ではポンドは大幅安となったものの、ユーロはユーロポンドの買いも見られ底堅いままでの引けとなりました。
3月13日(水)
ユーロドルは、東京市場は動かなかったものの、欧州市場に入り合意なき離脱となった場合でも混乱の起きない関税制度を実施するとの発表を受けポンド買いがユーロにも波及しました。その後もポンドは上昇を続け英国議会では合意なき離脱を回避するとの採決結果を受け欧州通貨は全面高となって引けました。
3月14日(木)
ユーロドルは日銀会合の思惑による円売り・ドル買いに引っ張られてじり安の展開が続きました。しかし、海外市場に移ってからは動きが鈍く、英国議会採決の影響もユーロドルでは見られず、1日の値幅も40pips強に留まりました。
3月15日(金)
ユーロドルは、東京市場ではドル円に歩調を合わせドルの動きを中心とした展開が続きました。欧州市場に移ってからは21日のEUサミットを前に英国議会内で修正案が合意するのではとの思惑がポンド買いとなったこともユーロを下支えしました。NY市場の前場には1.1345レベルと週間高値をつけ引けにかけてはやや押して引けました。
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オーダー/ポジション状況
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