トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコ円は「37.25レベルをサポートに、38.25レベルをレジスタンスとする流れ」を予想し、実際のレンジは安値が37.62レベル、高値が39.38レベルと大幅にトルコリラ高方向での推移となりました。
これは先週初にG20と産油国会議で失望してスタートしたドル円が、月曜海外市場以降一貫して円安に動いたことによるものです。木曜まででもストップオーダーも巻き込みながら株高と円安が進んでいましたが、金曜昼過ぎに出た「日銀が貸出にもマイナス金利を検討」とのニュースに円安が急激に進み、週初から4円もの円安(内、2円55銭は金曜)となったためです。
つまり、ドル円が安値から高値まで3.5%の円安、トルコリラ円が同様に4.5%の円安と先週もドル円の影響が圧倒的で、トルコリラ円をはじめとする新興国通貨は株高によるリスクオンの分、上昇幅を広げたということが言えるでしょう。
今週もトルコリラには目立った材料が無い中、ドル円は26・27日にFOMC、27・28日に日銀金融政策決定会合と材料には事欠きません。特にFOMCでは4月の利上げ思惑が低く、6月の利上げに向けて材料となるものがあるかを読み取る程度に留まる中、日銀の会合では本当にマイナス金利適用の拡大をするのかどうかが最大の注目材料となります。
既に週報においても日銀のマイナス金利適用について考えていることを書きましたので、繰り返しは避けますが、実効性も含め果たしてすぐに導入が出来るのかは疑わしいところです。ここでは、さらに気になる点として、そのニュース自体をよく読んで検討を加えることとしましょう。
まず「貸出に対してもマイナス金利の適用を検討する案」とまだ検討段階にも入っていないと思われる表現、さらに「当座預金の一部に適用している0.1%のマイナス金利(政策金利)を拡大する際は」と条件を付している上に「導入の是非を慎重に検討する方針」と逆に慎重なスタンスであるとしか読めません。
さらに同じ記事が英語に訳されて配信されていますのでそちらも見てみます。まずタイトルが“BOJ Officials Are Said to Eye Possible Negative Rate on Loans”といきなり、「日銀筋によると」とキャッチーなタイトルを付しているのに、読み進めると”according to people familiar with talks at the BOJ”と日銀に近い市場関係者という表現になっています。
以前もあったのですが、この記事を書いた記者は誰とは言いませんが、市場参加者を焦らせる記事を書く傾向があり、今回も日本語、英語ともタイトルが扇動的で実際は日銀筋のリークというよりは記者とその取材先の思惑的な記事である可能性が高いのではないか、と思えてきました。であれば、日銀の会合では何も触れない訳にはいかなくなってしまったため、検討はしているという言葉は聞けそうですが、今週の会合で実際に導入される可能性は相当に低い、と見た方が良いのではないかと考えることが出来ます。
となると、28日まで思惑的な円売りが出たとしても限定的、蓋を開けてみたら思いのほか押し戻され円高方向に戻す可能性も高いというのが週初の判断となります。
そうなると、ドル円の高値はせいぜい112円台前半、そして日銀会合でサプライズがある可能性も全く否定できないため、金曜に上げ始める前の水準にまでは戻せないというところではないかというところです。週報にはドル円の予想レンジを110.00〜112.50と書きましたので、それをベースにトルコリラ円の予想レンジも組み立てることとしましょう。
到達確率チャートと同じ60分足をご覧ください。
TRYJPY60分足
もちろん、ドル円とまったく同じというわけには行きませんが、一つの目安として高値に関しては金曜高値よりやや高い水準をレジスタンスとして考えることが出来そうです。これについては、先週月曜の安値からの上昇チャンネルを見ると、レジスタンスラインも週のフィボナッチゾーンの上限も39.70レベルに位置していることがわかります。次にサポートについては、トルコ円に関しては金曜安値圏が妥当な水準だと見ています。
今週は上記の通り、38.40レベルをサポートに、金曜終値に近い39.70レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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