ユーロ週報 短期的にはもみあい局面へ(3月第2週目)

今週英国ではブレグジット関連の採決が連日予定されています。

ユーロ週報 短期的にはもみあい局面へ(3月第2週目)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、ECB理事会に向けてハト派な結果になるとの思惑が強まり、週初からじり安の展開となっていましたが、ECB理事会では年内の利上げ断念、資金供給オペの開始決定、今年の見通しを大幅下方修正と市場参加者の思惑以上にハト派な結果となりました。今回の決定でECBは緩和からの出口を先送りしたこととなりますが、それだけ欧州の景気減速に対する懸念が強かったと言えます。
今週は12日から始まる英国議会でブレグジットに関する一連の採決予定があり、それを前にカードは温存しておくかと見ていたのですが、ブレグジット採決に対する懸念以上に欧州足元の景気に対して懸念が強かったと言えるでしょう。これで、ECBは当面は現状維持と景気刺激のためのオペ待ちということになります。しかしそれまでに想定以上の景気悪化を見る場合には、再度債券購入等の緩和に逆戻りという可能性も出てきたと言えるでしょう。

今週は欧州関連では目立ったニュースはありませんが、英国ではブレグジット関連の採決が連日予定されています。まず12日に離脱修正案の採決が行われますが、現時点でも英国とEUとの間では修正案の協議をしているものの何ら前進は見られず、一時期の解決が近いかもしれないといった思惑は消えています。このままでの採決となれば、今回も否決される可能性が高く、その場合には翌13日に合意無き離脱の可否について採決が行われることとなります。
こちらは先の議会でも合意無き離脱は否決されていますので、今回も否決される可能性が高く、そうなると離脱案そのものが宙に浮いた状態となりますので、14日に離脱延期の採決となります。離脱延期は短期間の延期に留まるでしょうから、週初の段階のコンセンサスでは現状の修正案は否決され、合意無き離脱とならないため期限延期となる、ということになります。そうなると、その先が重要ですが、英国とEUとの間で果たしてバックストップに制限を設ける修正が合意されるのかどうか、一点に注目が集まります。

個人的な観測ではありますが、英国とEUと双方が譲歩して落としどころを見つける流れが1か月以内程度でまとまるのではないかと思います。その場合、短期的にはポンドもユーロも買われる可能性はあります。しかし長期的には何も良いことは無く、ポンドがその時につける高値を超えるような動きが年内にでるのは難しくなるのではないかと思われます。あまり先のことを考えても仕方ないのですが、まずは12日からの英国議会の動向に注目しつつ、今週はポンドもユーロも戻りが鈍くなりやすい週と言えるでしょう。


またテクニカルには、先週8日にユーロドルの週足について見ましたが、同コラムに書いた通り「2017年安値1.0341と2018年高値1.2555の61.8%押しが1.1187」となっていて、先週の安値とほぼ重なっています。このターゲットは週足ベースで長期的な水準と言えますので、いったんは動きが止まり踊り場となりやすい水準です。今後もう一段のユーロ安が進む可能性が高いものの今週はもみあい局面入りとなりやすいでしょう。

日足チャートもご覧ください。
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の週間見通しと予想レンジ

年初来高値と1月末高値を結んだレジスタンスラインと、それに平行に1月安値を通るように引いた青の平行線で示した下降チャンネルの中での推移を継続していることがわかりますが、先週の安値はちょうどこのチャンネルの下限で止まり、テクニカルには短期的な安値となった可能性が示唆されています。

今週は英国議会動向次第の面もありますが、想定外の波乱は無いと考え先週の安値圏と重なる1.1170レベルをサポートに、2月末高値と先週安値の半値戻しと重なる1.1300レベル(赤のターゲットは1.1298)をレジスタンスとする一週間を見ておきます。

今週のコラム

今週は英国議会に注目が集まるポンドドルのチャートを見ておきましょう。

今週のコラム

現状は1月安値と2月安値を結んだサポートラインとそれに平行に引いたラインとで構成される上昇チャンネル内での動きとなっていました。現在は先週後半の英国・EU間の協議進展が無いこと、また今週の一連の英国議会における採決を前に週明けのポンドは安く始まり、ちょうどチャンネル下限をトライしようとしている水準にあります。

こうなると、ライン下抜けも時間の問題と言う感じがしますが、年初来安値1.2452と2月高値1.3350の半値押しが1.2901、2月安値1.2773と2月高値との78.6%(61.8%の平方根)押しが1.2897と、1.29前後に集中しています。サポートラインを下回った場合の次のターゲットとして1.2900水準となりますが、状況によっては採決前にトライする可能性もありそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

3月11日(月)
**:** 米国市場夏時間
16:00 ドイツ1月貿易収支、鉱工業生産
**:** ユーロ圏財務相会合


3月12日(火)
18:30 英国1月GDP
18:30 英国1月貿易収支、鉱工業生産
**:** 英国議会「離脱修正案」採決

3月13日(水)
19:00 欧州1月鉱工業生産
**:** 英国議会「合意無き離脱可否」採決(12日否決の場合)


3月14日(木)
16:00 ドイツ2月CPI改定値
16:45 フランス2月CPI改定値
**:** 英国議会「離脱延期」採決(13日可決の場合)


3月15日(金)
19:00 ユーロ圏2月CPI改定値

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月4日(月)
ユーロドルは東京市場から上値の重たい展開となっていましたが、欧州市場に入りECB理事会で流動性供給オペも含めてハト派寄りの決定がなされるのではないかとの思惑から下げを加速させる動きとなりました。NY市場ではストップオーダーも巻き込みながら一時1.1309レベルまで下落、引けにかけてはポジション調整も入り半ばへと戻して引けました。


3月5日(火)
ユーロドルはドルが全般に底堅い動きとなったことからじり安の展開となりました。NY市場では米国経済指標が強かったことから一時1.1290レベルまで下げましたが、引けにかけては1.13台を回復、ただ値幅自体はそれほど広がらない一日となりました。


3月6日(水)
ユーロドルはドル売りの動きから底堅い展開となっていましたが、ECB理事会で流動性供給オペも含めハト派寄りに舵を切る可能性もあるとの思惑から上値もまた重たいまま様子見姿勢が強まった一日となりました。

3月7日(木)
ユーロドルはECB理事会までは全く動きが見られませんでしたが、これまでの2019年夏以降の利上げ見通しは来年以降へと後退、さらに資金供給オペを9月から実施、2019年のCPIとGDPの見通しも大幅下方修正と、市場の予想を上回るハト派な結果となりました。ユーロドルは理事会の結果を受け1.1176レベルまで大幅安、2017年6月以来の水準となり安値圏での引けとなりました。


3月8日(金)
ユーロドルは、想定外に弱い中国貿易収支以降リスクオフのドル安に反応する形でユーロ買いが目立ちました。前日に1.11台まで下げた反動もあり、NY後場には1.1246レベルまで買い戻しが入り、株価の買い戻しからユーロ円に買いも入り、ユーロドルは高値圏での引けとなりました。

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