トルコリラ円レポート
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、上昇傾向鈍化とやや下押しを想定し「20.40レベルをサポートに、21.10レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が20.77レベル、高値が21.10レベルと前週のレンジの中で更に狭い値幅のもみあいを続けた一週間となりました。
先週のトルコリラ円は、ドルトルコリラの方向感が無く横方向へのもみあいが中心となっていたこともあって、ドル円の動きと似た値動きを辿りました。細かな経済指標はあったものの目立った値動きにはつながらず、またシリア問題に関してはIS(イスラム)残党がシリアからイラクへ逃走した様子で、トランプ大統領はISを敗北させたと表明しています。一方で米軍司令官はいまだ敗北に追い込んだとは言えないと、異なった意見を出しています。米軍のシリアからの撤退時期に関して様々なニュースは出ていますが、しばらくは駐留しそうな雰囲気です。こちらも為替市場への影響は見られませんでしたが、トルコと米国との対立要因のひとつである状況に変化は無いということになるでしょう。
また週末にS&Pによるトルコの格付け発表がありましたが、こちらはB+(安定的)とこれまでと同じ。週明けのトルコリラ市場にも特に影響はありませんでした。今週もトルコリラ国内ではいくつかの経済指標発表はあるものの、重要度が高いと思われるものも無いため、ここに来て上値が重たくなってきているドル円の動きであるとか、今週もワシントンで継続予定の米中通商協議によるリスクオンの可能性であるとか、外部要因による動きの方がトルコリラ円には影響が大きいと思われます。
他には久しぶりに米国に亡命中のギュレン師の話題も出てきました。エルドアン大統領がTV番組でギュレン氏がクーデター未遂事件の首謀者であることは明らかであるとし、米国はギュレン氏を国外追放すべきと述べ、同問題が米国とトルコとの緊張を高めているとも述べています。同番組で対外問題ではフランスのマクロン大統領に対する抗議、またサウジアラビアのジャーナリスト殺害の件にも触れましたが、全体的に国民向けのプロパガンダといったところで、これらも今すぐどうといった問題では無さそうです。
こうなると、テクニカルな面から考えたいところです。
今週はまずドルトルコリラの日足チャートをご覧ください。
ドルトルコリラは昨年夏の急落以降は着実に値を戻しトルコリラ買い(ドル売り)の動きが継続してきましたが、11月中旬以降はすっかり方向感を無くし、横方向へのもみあいを続けています。下値は昨年11月29日安値、上値は11月9日の高値のレンジの中で、11月9日以降は1月3日のトルコリラ円の影響による瞬間的なリラ安を除いて収まっていることがわかります。2月は月初に11月安値に近づいたものの反発し現在の水準はまさにこのレンジの中央近辺となっていますので、対ドルという点ではトルコリラは動きにくそうだということはわかるかと思います。
次に、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
こちらも膠着気味のチャートとなっています。
過去2週間ではピンクのラインで示したトライアングル(三角もちあい)となっていますので、どちらか抜けた方に目先は動きやすいというところですが、もみあい継続となるとトライアングルの中での動きを中心として抜けてもこの2週間のレンジを抜け切れないという動きとなりそうです。個人的にはどうも動きが出にくい流れとなりそうに思えます。
今週もトルコリラ円はもみあい継続、20.75レベルをサポートに、21.15レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。
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