今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、上下しながらも緩やかなユーロ安トレンドを継続しました。材料的にはこれまで同様に弱い欧州経済見通しがユーロの重石となっていますが、不透明感を増してきたブレグジット協議やフランスとイタリアとの政治的な問題など、悪材料ばかりが目立つ状況を反映したものと言えます。また米中通商協議の進展思惑がダウ上昇、ドル買いとなり特に対ユーロでドルを買いやすい流れが続いている様子です。
欧州経済については、金曜にクーレECB理事が景気減速が予想よりも速く広範に及んでいることから資金供給オペの再開を議論していると述べ、このことが11月安値に迫る動きへとつながりました。今週も連日欧州の経済指標が発表されますので、予想よりも弱い数字が続くようであればECBの利上げ思惑は一段と後退し、緩和継続の思惑からユーロ売りが出やすい流れとなる可能性があります。
また、ブレグジット協議は合意に向けての協議が繰り返されていますが、英国側はアイルランド国境のバックストップを限定的なものに修正したいが期限はそのまま、いっぽうEU側は現状にブレグジット案を変えるつもりは無いが期限を延ばすことは考えると、双方の方針は完全に平行線です。本日18日には英国のEU離脱担当相がEUに行き協議を行う予定となっていますが、EU側が折れない限り着実に期限が迫りハードブレグジット(合意無き離脱)の可能性が高まっている状況です。
まだ、3月29日の期限まで日にちは残っているとはいうものの、既に今日現在で残り39日と1か月強の時間しか残されていません。今月末までに進展が見られない場合、英国議会では改めて議論が行われる予定ですが、前回は与党内強硬派に譲歩しての可決ですから、現状では平行線が続く状況しか見えてこないと言わざるを得ません。
今週も欧州景気とブレグジット問題を中心に米中通商協議がドル要因として絡んでくるという流れには変化は無さそうですが、テクニカルには先週の動きでやや様相が異なってきました。改めて現在の水準がどのような立ち位置となっているのか見ていきましょう。日足チャートをご覧ください。
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
前週までの平行チャンネルは引いていませんが、平行チャンネルのサポートラインのみ水色のラインとして残してあります。このサポートラインを先週初に下抜けしたことから11月の昨年安値(1.1216)を起点とした上昇トレンドは終わり、現在は1月の年初来高値(1.1570)を起点として下降トレンド入りを確定したと言えます。
1月高値から1月安値までの下げ、その後の1月末への戻しを3点とする逆N波動(ピンク)でターゲットを求めると100%エクスパンションが1.1234(ピンクのターゲット)と完全に先週安値との一致を見ています。その後買いに転じたことを考えると、いったん買い戻しが入りいったん戻し高値をつけてから再び下げに転じる動きを考えることとなりますので、それぞれのターゲットを求めます。
1月末の高値1.1514と先週安値1.1234との38.2%戻しが1.1341、半値戻しが1.1374(それぞれ青のターゲット)となっていて、さすがに前者は近すぎるため後者の1.13台後半が現在の戻しのターゲットとなり、同水準を試した後の環境でもう一段の戻しが入るのか、下げに転じるのかを見極めることとなります。仮にもう一段の戻しが入ったとしても、現在は青の下降チャンネル内での動きとなっていますので、1.14台前半が戻しの限界点であるという認識でよいでしょう。また下値のターゲットは引き続き昨年安値の1.1216(赤の太い水平線)となります。
今週は安値更新の可能性も高いと見て1.1200レベルをサポートに1.1375レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
当コラムでもポンドドル、ポンド円、ユーロポンドは時々見ていますが、もうひとつポンドクロスのメジャーなものとしてポンドスイスがあります。スイスフランの場合、欧州通貨としてユーロと歩調を合わせたり、低金利通貨の特徴としてリスクオフの際に円と歩調を合わせたりと様々な側面を見せますが、対ポンドの場合、短期的にはブレグジットの行方が最大の要因となることは間違いありません。
しかし、ポンドスイスは年初来安値から大きく上昇し、最近でこそ下げているもののいまだ目立った調整が入っている様子は見えません。日足チャートから、短期的な動向を考えてみましょう。
現状は1月高値から下降チャンネルとなっていますが、このチャンネルを上抜けることがあれば典型的なフラッグとなり、テクニカルには上昇再開を考えるチャートパターンとなります。中期的にはこのフラッグの可能性も考えておかなくてはなりませんが、英国の状況を考えると、いまはもう一段の下げが入ってもおかしくはありません。
1月安値と高値の38.2%押しが1.2816(赤のターゲット)となっていて、同水準は今週末から来週初の下降チャンネル下限と重なる水準です。同水準あたりまでの押しが入ってからどうなるか、更なる押しにしても上抜けにしてもテクニカルには面白い通貨ペアとなりそうです。ときどき追っていきましょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
2月18日(月)
**:** 英国離脱相、EUと協議予定
2月19日(火)
18:00 ユーロ圏12月経常収支
18:30 英国1月失業率
19:00 ユーロ圏12月建設支出
19:00 ドイツ2月ZEW景況感指数
19:00 ユーロ圏2月ZEW景況感指数
19:15 デギンドスECB副総裁講演
24:00 プラートECB理事講演
2月20日(水)
16:00 ドイツ1月PPI
24:00 ユーロ圏2月消費者信頼感速報値
28:00 FOMC(1月30日)議事録公表
2月21日(木)
16:00 ドイツ1月CPI改定値
16:45 フランス2月企業景況感
17:00 プラートECB理事講演
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値
21:30 ECB理事会(1月24日)議事要旨公表
2月22日(金)
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値
18:00 ドイツ2月ifo企業景況感
19:00 ユーロ圏1月CPI
24:30 ドラギECB総裁講演
前週のユーロレンジ
記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月11日(月)
ユーロドルは東京市場が休場でアジア市場では動きは無かったものの、欧州市場に入り景気減速懸念とブレグジットの不透明感が尾を引いて、ポンド、ユーロともに売りが目立ちました。ユーロドルは1.1267レベルまで売られ安値圏での引けとなりました。
2月12日(火)
ユーロドルは、東京市場では動きが見られず、欧州市場序盤に1.1258レベルまで下値を拡大しましたが、その後は利食いの買い戻しが見られたこと、またダウ上昇によるリスクオンの動きがユーロ円の買いとして見られたこともあってNY市場ではじり高の展開を辿り、1.1340レベルまで上伸し、高値圏での引けとなりました。
2月13日(水)
ユーロドルは、東京市場では連日動きが無かったものの欧州市場以降はドル高の流れからユーロ売りが目立ちました。ユーロは対ドル、対円ともに売られる結果となり、ユーロドルが1.1260レベルと前日安値圏へ沈み込んでの安値引け。ユーロ円も東京市場高値の125.54レベルから125.01レベルと終日売りが先行する流れで終わりました。
2月14日(木)
ユーロドルは、NY引け直後に安値を更新したもののそこまで、東京市場では買い戻しが先行しました。その後、欧州市場に入り一時的に売りが強まったもののすぐに買い戻され、NY市場では米国経済指標の弱さから全般的にドル売りが強まったことからユーロドルでもユーロ買いとなりました。道中ポンドが売られた動きを見ながら神経質な振れもありましたが、引けにかけては再びユーロ買いの動きに戻り引けました。
2月15日(金)
ユーロドルは、東京前場はユーロ円の売りがきっかけとなって売りが先行、その後も上値の重たい展開が続きました。欧州市場以降はダウを中心とする株高の動きがリスクオンでドル買いとなったことからユーロドルは続落、NY朝方には1.1234レベルと前日安値を更新しました。しかし、NY後場に入ると米国市場3連休を前にしたポジション調整がストップオーダーを巻き込みながら1.1306レベルまで上伸し日中高値を更新、その後も底堅い地合いのままの週末クローズとなりました。
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