ユーロ 上値を見た後の調整が入りやすい(週報1月2週)

先週のユーロは週初からユーロ買いが根強く9日にはドル売りの動きがきっかけであったものの、ストップオーダーも巻き込みながら思いのほか簡単に

ユーロ 上値を見た後の調整が入りやすい(週報1月2週)

ユーロ 上値を見た後の調整が入りやすい

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは週初からユーロ買いが根強く9日にはドル売りの動きがきっかけであったものの、ストップオーダーも巻き込みながら思いのほか簡単に1.15の大台を上抜ける動きとなりました。しかし、1.15台は無理して買い上げた感も強く週末に向けて再び1.14台半ばへと押す動きとなり、今週の英国議会での採決を前に短期筋がユーロ買いを手仕舞った週末相場であったと考えられます。

今週は欧州関連のイベントで最大の注目材料は英国議会におけるブレグジット案の採決です。年明けは9日からブレグジット案の審議が再開し15日に採決予定となっていますが、先週の審議では否決された場合の代替案の期限が21日以内(2月5日)から1月21日に前倒しされるという議案が可決されています。これは一部の与党議員が賛成に回ったために可決されたものですが、メイ首相は否決された場合は即時に代替案を出すと述べています。

また先週末からの思惑ではブレグジットの期限自体を延期する可能性が取りざたされています。市場参加者はこれをポンド買いという動きで反応しましたが、今のままで期限のみ延期されたとしても悪材料の先送りに過ぎず、目先の反応でポンドを買った動きは果たしてどうなのかという感じがしますし、もしもの連続ですが、ブレグジット案が否決され(これは可能性が高い)、さらに再度の国民投票(かなり可能性が低い)となれば、ブレグジットそのものが否決され、ポンドとユーロが買われるという可能性もあるかもしれません。

しかし、そうなるとこれまでの2年間はいったいなんだったのかということになりますし、既にブレグジットを前提として世界は動いてきましたので、仮に2度目の国民投票があったとしても英国の地位低下は避けられないでしょう。現状では与党の造反議員、欠席議員がメイ首相案に回れば可決、そうでなければ否決とかなり微妙な状況下、否決される可能性のほうがやや高いという状況です。実際の結果を見るまでは思惑で動いても仕方ないのですが、長期的にはどちらになったとしても英国にも欧州にも悪影響となって、ポンド売り、ユーロ売りにつながりやすいと考えています。

ビッグイベント前ですから、今週はテクニカルな観点からのみコメントしておきます。

日足チャートをご覧ください。

ユーロ 上値を見た後の調整が入りやすい

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

サポートラインは11月の2018年安値と12月安値を結んだサポートライン、そのラインに平行な上昇チャンネルを引いてあります。昨年9月高値と11月安値の61.8%戻しが1.1586(赤のターゲット)で、先週高値はほぼその水準に近づいて反落したと考えてよさそうです。現状では改めて1.15台前半はユーロ売りオーダーが出てきていますが、下値はサポートが現状位置する1.13台前半となります。

波乱があってもおかしくはありませんが、今週のユーロドルは1.1350レベルをサポートに1.1525レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はDAX(ドイツ株価指数)の週足をご覧ください。

ユーロ 上値を見た後の調整が入りやすい 2枚目の画像

DAXが年初来安値を切り下げる展開が続いていましたが、10月以降はNYダウ同様に下げ足を速めている動きとなっています。2016年安値と2018年高値の61.8%押し(赤のターゲット)に到達後に戻しは入っていますが、2018年高値からの逆N波動(ピンク)を考えると161.8%のフィボナッチエクスパンションが10178.21(青のターゲット)と10000の大台に近い水準にあることがわかります。

為替市場よりも敏感に欧州経済の悪化懸念に反応していますが、こちらも今週の英国議会の採決結果次第では10000を早期に見に行く展開となるかもしれません。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月14日(月)
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産

1月15日(火)
16:45 フランス12月CPI
19:00 ユーロ圏11月貿易収支
24:00 ドラギECB総裁講演
**:** 英国議会ブレグジット案採決(予定)

1月16日(水)
16:00 ドイツ12月CPI
18:15 英中銀総裁議会証言
18:30 英国12月CPI・PPI

1月17日(木)
19:00 ユーロ圏12月CPI
19:00 ユーロ圏11月建設支出
20:00 ラウテンシュレーガーECB理事講演

1月18日(金)
18:30 英国12月小売売上高

1月19日(土)
 **:** ドイツCSU党首選

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月7日(月)
ユーロドルは、東京市場では株安をきっかけとしたドル円の売りとともにドル売りの動きからユーロ買い、欧州市場以降は強い経済指標をきっかけにユーロ円を中心としたユーロ買いの動きが目立ち、終日ユーロが買われる流れとなりました。NY市場では1.1483レベルと1.15の大台に近づき高値圏での引けとなりました。

1月8日(火)
ユーロドルは、欧州市場まではドル円同様にリスクオンからドル買いの動きとなりユーロが売られていましたが、その後はまったく方向感の無い展開が続きました。欧州市場では弱めの欧州経済指標や翌週採決予定のブレグジット案に関してハードブレグジットの懸念も強いことからNY市場の朝方には1.1422レベルまで下値を広げました。しかし、上下ともに動きは限定的で次の材料待ちといった値動きとなりました。

1月9日(水)
ユーロドルは欧州市場までは小動き、欧州時間にブレグジット採決に向け、いまだ意見のまとまりが無いことを予想させるコメントも出てユーロ売りが先行しました。しかし、NY市場に入ると地区連銀総裁講演でハト派発言が続いたこと、株価先物が下げる動きとなったことからドル円同様にドル売りの動きが強まり、強力なレジスタンスとなっていた1.15の大台をストップを巻き込みながら上抜け、利上げに慎重な意見の見られたFOMC議事録公表後には1.1558レベルまで上伸し、高値圏での引けとなりました。

1月10日(木)
ユーロドルは東京市場では1.1570レベルまで上値を広げたものの1.15台後半では売りたい向きもいる様子で上値を抑えられての欧州市場入り。欧州市場では短期筋の利食いに加えECB理事会の議事録において景気下振れ懸念が示されていたこと、またNY市場での株高によるドル買いも重なって1.14台後半へ押した後、やや戻しての引けとなりました。

1月11日(金)
ユーロドルは、欧州市場で翌週のブレグジット案採決を巡りポンドは神経質な動きとなっていたものの、ユーロ自体の動きは限定的なままでNY市場入り。しかし、グジット延期の思惑が強まったことからポンド買いが対ユーロで強まり、同時に引けにかけては週末前の実需の売りもあってユーロは主要通貨に対して売りが目立ちました。引けにかけては1.14台半ばまで水準を切り下げての週末クローズとなりました。

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