ドル円戻り高値を見て押しが入りやすい週
今週の週間見通し
先週のドル円は、前週に乱高下した反動もあって108年割れの買いと109円台の売りに挟まれ狭い値幅でのもみあいに終始することとなりました。年初のパウエル議長による今年の金融政策に対する柔軟な対応も、その後の講演や12月のFOMC議事録で再確認され、底堅く推移する株式市場からのリスクオンの円売りと金利差拡大思惑後退によるドル売りとに挟まれて方向感が出にくくなった週と言えそうです。
今週は引き続きFRB副議長や各地区連銀総裁の講演は多いものの1月30日のFOMCまでまだ日もありますし、今年に入ってから出てきている利上げ思惑後退の方向を変えるようなものは出にくい状況だと思われます。また今週は15日火曜に英国議会でブレグジット案採決が予定されていますが、先週末からブレグジットの期限そのものを延期するといった話が出ていて、おそらく英国とEUとの間でそうした協議も水面下では行われているのだと思われます。
しかし、現状ではメイ首相のブレグジット案が否決される可能性が依然として高いため、悪材料の先延ばしに過ぎない感があります。まずは15日の結果を見てということになりますが、潜在的なリスクオフ材料であると言えます。他には米銀の四半期決算発表が続きますが、業績予想は前回よりも悪くなるとの見方が多く、これが予想に対して上下する場合には、米国株の動きがリスクオン・リスクオフとして為替市場に影響を与える可能性があるというところです。
材料的にはややドルが売られやすいイベントが目立ちますが、テクニカルにはどうでしょうか。先週の週報では3日早朝の104円台が東京午前9時よりも前につけたことから、9時以前と以降の安値の乖離があり、そうした場合には再び安値をつけやすいという見方を示しました。その後ドルは108円台でのもみあいとなっていますが、3日急落前の水準と重なる109円台ではかなりドル売りオーダーが増えてきている様子です。そうしたことからテクニカルにも戻り売りが出やすい流れには変化が無いと考えらえます。
日足チャートをご覧ください。
下値としては3日安値104.90、そして上値は先週の戻り高値109.09が目立つ高値と安値です。また12月26日の戻り高値111.41と3日安値との61.8%戻しが108.92(赤のターゲット)となっていて109円水準は戻しの限界点となりうる水準であり、その後に下げていることから109.09を戻り高値として、3日安値との押しを考えると、38.2%押しが107.48、半値押しが106.99(それぞれ青のターゲット)と107円台前半に押しが入る動きは考えてもよさそうです。
上記のテクニカルなポイントから、今週は107.25レベルをサポートに109.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきたいと思います。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月14日(月)
**:** 東京市場休場
**:** 中国12月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産
**:** 本日から米銀決算発表続く
1月15日(火)
16:45 フランス12月CPI
19:00 ユーロ圏11月貿易収支
20:00 南ア11月小売売上高
22:30 米国1月NY連銀製造業景況指数
22:30 米国12月PPI
24:00 ドラギECB総裁講演
25:30 (ミネアポリス連銀総裁講演)
27:00 (カンザスシティ連銀総裁講演)
27:00 (ダラス連銀総裁講演)
**:** 英国議会ブレグジット案採決(予定)
1月16日(水)
08:30 豪州1月消費者信頼感
16:00 ドイツ12月CPI
18:15 英中銀総裁議会証言
18:30 英国12月CPI・PPI
22:30 米国12月小売売上高
22:30 米国12月輸入物価指数
24:00 米国1月NAHB住宅市場指数
24:00 米国11月企業在庫
24:30 週間原油在庫統計
27:00 ベージュブック
1月17日(木)
08:30 (ミネアポリス連銀総裁講演)
09:00 黒田日銀総裁講演
09:30 豪州11月住宅ローン件数
19:00 ユーロ圏12月CPI
19:00 ユーロ圏11月建設支出
20:00 ラウテンシュレーガーECB理事講演
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国12月住宅着工・建設許可件数
24:45 クオールズFRB副議長講演
1月18日(金)
08:30 本邦12月CPI
18:30 英国12月小売売上高
23:05 NY連銀総裁講演
23:15 米国12月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感速報値
1月19日(土)
**:** ドイツCSU党首選
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
1月7日(月)
東京前場のドル円は日経平均株価が朝方の高値圏から売りが先行した動きに沿ってじり安、昼過ぎには108.02レベルの安値をつけましたがそこまで。東京勢の下がったところでの買い意欲は依然として強く、また欧州市場に入ると強い経済指標をきっかけにユーロが対ドル、対円で上昇、ユーロ円の買いがドル円を下支えしました。NY市場ではダウが再び買いに転じる動きとともにリスクオンとなりドル円は108.75レベルまで買われて高値圏での引けとなりました。
1月8日(火)
東京市場では前日海外市場の流れを継続して株価とともにリスクオンの動きが目立ちました。米中通商協議への期待も重なり、ドル円はジリジリと水準を切り上げ欧州市場に入る頃には一時109.09レベルの高値をつけましたが、109円台では戻り売りを考える向きも多く反落。NYの昼頃までにはそれまでの上昇分を失い朝方の水準へと押しましたが、引けに向けてはNYダウの買いとともに再びリスクオンの動きとなりました。
1月9日(水)
ドル円は日経平均株価が場中、引け後の先物ともに底堅い動きとなっていたこと、またFOMC議事録への関心も高くNY市場が始まるまでは108円台後半の狭いレンジで膠着状態を続けました。NY市場に入り地区連銀総裁講演でハト派な発言が続いたこと、株価先物が下げる動きとなったこともあってドル円はもみあいを下抜け、NYの昼前には108円目前の水準まで売られました。またFOMC議事録においても引き締めに対して慎重な姿勢が見られたことから引けにかけては一時107円台へと入り込み若干戻してのクローズとなりました。
1月10日(木)
東京市場のドル円は前日からの下げを継続、株価も弱かったことから後場には107.77レベルの安値をつけました。しかし欧州市場に入りユーロドルの売りが目立ったこと、またNY市場ではダウが強い動きとなったことからドル円はじり高の動きを辿り108円台半ばを回復し高値引けとなりました。
1月11日(金)
NY市場に入るまでは上値は重たいものの動意薄の展開が続き、108円台前半を緩やかに下げるにとどまりました。欧州市場では週明けのブレグジット案採決を巡りポンドを中心に神経質な展開となっていましたが円には影響は見られませんでした。NY市場に入りブレグジット延期の思惑からユーロポンドを中心にユーロの売りが目立ち、ユーロドルの下げがドル円を反発させ108円台半ばへと水準を戻しての引けとなりました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2019.01.14
米政府機関閉鎖の行方注視、レンジは継続か(1/14夕)
週明け14日の東京市場は、ドル安・円高。「寄り付き高・大引け安」で、一時108円割れをうかがうも、結局割り込むことは出来なかった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2019.01.14
基本レンジか、ただ不安定な株価が気掛かり(1月第2週)
先週のドル/円は、レンジ取引。1週間で6円も動いた前週から一転、週間を通した値幅も1.3円ほどにとどまっている。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。