ドル円見通し ダブル底から2/3戻して一服
【概況】
11月28日深夜高値114.03円から下落に転じ、6日深夜に112.24円、10日午前にも112.23円をつけたが、両安値をダブル底として反騰入りした。10日までの下げ幅に対する半値戻しが113.13円、3分の2戻しが113.43円だったが12日午前高値で113.51円を付けてこれらをクリアした。
10日午前までは株安不安とドル安を背景とした下落であり、その後は株安一服とドルの反騰による上昇だった。
米中関係悪化情報で株安となり、関係改善期待報道で反騰、また悪化情報で下落と株式市場は乱高下を繰り返しているが、NYダウは12月10日への下落時に10月29日安値をいったん割り込んでから戻し、その後も乱調ながらも新たな安値更新を回避している。日経平均も500円前後の騰落を繰り返しているが、12月11日安値では10月26日安値割れをひとまず回避して12日は反騰、13日序盤も続伸している。引き続き米中関係報道に一喜一憂しつつも、日米株がさらに底抜けして崩れる場合には円高圧力がかなり高まると警戒しつつ、安値更新回避のうちは底堅い動きを維持しやすいと思われる。
米労働省が12日に発表した11月の消費者物価指数は全体が前月比0.0%、前年同月比で2.2%となりいずれも市場予想と一致、コア指数も前月比が0.2%、前年同期比が2.2%でいずれも予想通りだった。全体の前年同期比は前月の2.5%から若干低下したがコア指数の前年同期比は前月の2.1%から若干上昇しており引き続き米連銀のインフレ目標である2%を超えた状況を維持している。前日に発表された米生産者物価指数の伸びは市場予想よりも良かったためにドル高反応だったが、この日は予想通りで市場反応も限定的だった。
【FOMC】
12月18−19日の米FOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)も迫ってきた。市場は今年4回目の利上げが決定されるだろうとみているが、肝心なことは来年の利上げ回数予想であり、従来のFOMCメンバー予想中央値3回が2回以下へ減るのかどうか注目される。総じて9月会合時点よりは緩やかな姿勢として利上げ終点が近づいてきたことを示唆するのだろうと推察されるが、米景気は堅調であり来年も四半期毎の利上げが継続する可能性もあるとの見方もあり、市場も大きくポジションをとるためにはFOMCを見定めたいという心理状況だろう。
【ECB理事会、英国情勢】
13日夜は欧州中央銀行(ECB)理事会がある。ユーロ圏消費者物価指数はやや鈍化傾向もあること、米中及び米欧の通商摩擦問題、英国のEU離脱問題での混乱やイタリア財政赤字問題でのEUとの対立等の不安要素もあるため、ドラギ総裁の金融政策正常化へのスタンスがやや鈍化すると市場が受け止めればユーロ安のきっかけとなりやすいと注意する。ただユーロ安ドル高とユーロ安円高なら効果も相殺されてドル円としての動きは限定的かもしれない。
英与党・保守党が12日夜に党首のメイ首相に対する不信任投票を行った。投票に先駆けてメイ首相は2022年の次期総選挙前に退任すると表明し、退任と引き換えに信任を取り付けた。ひとまず混乱回避でポンドが戻したものの、野党による内閣不信任動議の可能性もあり、メイ首相の舵取りも難しくなってきている。ブレクジットはなかなか一件落着とならず、今後も為替市場の波乱要因となってゆくと思われる。ドル円にとっての影響は限定的だが、ブレクジット賛成の国民投票結果騒動では強烈な円高に見舞われたこともあり、8月底を割り込んで一段安状況に入っているポンドの趨勢も注視してゆきたい。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月5日未明安値から3日目となる12月10日朝安値で6日深夜安値とのダブル底を付けてリバウンドに入っていた。前回のサイクルトップである7日午前高値を基準として今回の高値形成期は11日朝から13日午前にかけての間と想定していたが、12日午前高値113.51円の後は伸びずに13日未明に113.13円まで下落したため、12日午前高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと思われる。次の安値形成期は13日朝から17日午前にかけての間と想定されるので、下落が浅ければ13日未明安値でボトムを付けて早々に新たな強気サイクル入りする可能性があるが、12日午前高値を上抜けないうちは13日未明安値割れからボトム形成への下落が続く流れとなりやすいと思われる。
60分足の一目均衡表では13日未明への下落で遅行スパンが悪化している。先行スパン上限が下値支持線となっているが、遅行スパン悪化中は一段安余地ありとし、先行スパンへ潜り込む流れの場合はその下限試し、さらに転落の場合は下落が加速すると注意する。遅行スパン好転からは新たな強気サイクル入りの可能性を踏まえて高値試し優先としてゆく。
60分足の相対力指数は11日高値形成時と12日早朝への高値更新にかけての間で指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから下落した。40ポイント前後で下支えられているので、60ポイントを超えてくる場合は上昇再開の可能性を優先するが、そこまで戻せないうちは30ポイント前後への一段安余地ありとみる。
以上を踏まえて週中のポイントを示す。
(1)当初、13日未明安値113.13円を下値支持線、12日午前高値113.51円を上値抵抗線とみておく。
(2)113.51円を超えないうちは113.13円割れからの一段安余地ありとし、安値更新からは112.75円前後への下落を想定する。また113円割れの状況が続き始める場合は14日の日中への続落で112.50円前後、あるいは12月10日安値112.23円試しへ向かう可能性ありとする。
(3)113.51円超えからは新たな強気サイクル入りとして114円試しへ向かうとみる。113.80円前後では戻り売りも出やすいとみるが、113.51円を超えた後も113.25円以上を維持する場合は14日の日中へ高値試しを継続しやすいとみる。(了)<9:40執筆>
【当面の主な予定】
12/13(木)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
17:30 (ス) スイス国立銀行3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 24.00%、予想 24.00%)
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ドラギECB総裁、定例記者会見
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 0.5%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.7万件)
12/14(金)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・四半期大企業製造業業況判断 (前期 19、予想 18)
11:00 (中) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 8.6%、予想 8.8%)
11:00 (中) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 5.9%、予想 5.9%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産 確報値 前月比 (速報 2.9%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産 確報値 前年同月比 (速報 4.2%)
17:30 (独) 12月 製造業PMI (11月 51.8、予想 51.7)
17:30 (独) 12月 サービス業PMI (11月 53.3、予想 53.5)
18:00 (欧) 12月 製造業PMI (11月 51.8、予想 81.9)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI (11月 53.4、予想 53.4)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.8%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 0.7%、予想 0.2%)
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 0.1%、予想 0.3%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 78.4%、予想 78.6%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.3%、予想 0.5%)
オーダー/ポジション状況
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