豪州中銀の金融政策
今回の議事要旨は過去の内容と大筋で差異はありません。11月の議事録も全般について細かく記載しているので全文が非常に長くなっています。今回は従来見通しの修正部分がありましたので、新たに加わった部分中心に抜粋しています。
以下は豪州中銀の金融政策の議事録要旨の抜粋です。
(議事録要旨)
豪州の主要貿易相手国の成長が2018年に大きく伸びたことについてから議論を始めた。成長は過去2年と比較して少し緩むと予想していたが、2019年も潜在成長率を越える勢いを維持している。ここ数ヶ月、主要貿易相手国の成長見通しをほとんど変えていなかったが、直近の見通しを少しネガティブな方に変えている。これは米国と東アジア諸国との関係を含めて、最近の貿易関税上げ問題の影響である。
委員達はこのリスクが世界経済成長に与える影響について議論した。このリスクは貿易の緊張が更にエスカレートすることや、米国の雇用・賃金上げが予想以上であるとのシナリオが豪州経済に与える影響について考えた。
最近の米国経済の伸びは強く、特に雇用改善と賃金の伸びが大きくなり、労働者はより高い賃金を得ている。委員達は更に原油価格上昇を含めて、これが主要先進国に与えるインフレの影響について考えた。しかしながら、コアインフレについては依然低く、主要先進国ではほとんど変わらなかった。とりわけ日本とユーロ圏ではそうだった。しかし、米国含めてその他の国は(インフレ)目標値に近付いている。
(中国経済について一部略)
最近の中国経済指標を見ると、成長が幾分緩む兆しを示唆している。この緩みは輸出の伸びや鉱工業生産の伸びにおいて最も明白にでた事で、実は米中貿易緊張の影響であることを示唆しているかもしれない。それは東アジア地域の世界的製造業供給チェーンの統合をもたらすかもしれない。
また世界的な鉄鋼需要が予想以上であったことや、原油価格も上昇し、豪州の貿易が増加したことを委員達は確認した。豪州は原油関連の純輸入国であるけれども、価格が原油にリンクしている豪州のLNGやそれに関連する製品の輸出が拡大しており、強い伸びが続いている。豪州の貿易面でみれば、とりわけインドや中国で需要が強く、この強い状態が今後2〜3年はより高くなると見通しを修正した。
国内GDPの伸びは2018年と2019年は平均で約3.5%を予想。但し、2020年に向けては約3%に軟化すると予想。これはLNG生産が2019年末までには供給できる生産量の上限に達するからである。
(その他国内経済については略)
年末のインフレについては低いままである。2018年9月末期の年率CPIは1.9%であった。そして2017年初より約2%の水準が続いている。基礎的インフレは9月末期で0.5%程度、更に低かった。1年通しても1.75%程度である。
インフレは代替できる供給可能力が下がってくるまではゆっくりと上昇していくと予想している。経済活動や労働市場のより明るい見通しにより、インフレ見通しは幾分上方に修正した。
(金融市場については略)
豪州ドルは2018年通して、少し安くなった。しかし、依然として貿易加重平均ベースではここ数年の狭いレンジ内で推移している。
豪州銀行の調達コストは2017年よりは幾分高くなった。これは2018年前半よりも短期金利が上がったことの影響と見られる。銀行調達コストの上昇は既存借入者や変動金利借入者に影響を与えている。
金融政策について、委員達は見通し修正…GDP伸びや雇用改善、あるいはインフレについて…によるマグニチュードは歴史的な平均と比較して小さいことを確認した。
(金融政策について一部略)
委員達は豪州経済に状態については引き続き予想よりも改善していることを確認した。GDP見通しは当初予想よりは幾分強くなっている。これは指標の上昇修正や最近の強い指標によるものである。年末のGDPは3%越えると予想しており、2019年も同様で、2020年に3%に近付く程度に軟化すると予想している。インフレは徐々に上がり、2020年には2.25%になると予想している。
直近の見通し同様に、最近の利用できる経済データや資本市場の状況を勘案し、委員達は現状の金融政策のスタンスが引き続き経済成長を支え、失業率の改善やインフレの目標値の中間まで達成ができると評価した。
次回の金融政策変更はおそらく利下げよりは利上げになるだろうと再合意した。しかし、これは直近での金融政策を調整する強いケースにはならない。むしろ現状の金融政策を維持し、安定と自信を中銀に与えてくれるまでこのまま行くことが望ましいとみている。これにより中銀はキャッシュレートを現状の1.5%のまま据え置くことを決めた。
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
相場は今日の議事録公表ではほとんど材料視されていません。昨日は上値が0.7330米ドルの抵抗線に止められ、現在は0.73米ドル割れまで軟化して、次の材料待ちの状況になっています。
サポートは0.7260〜70、0.7210〜20米ドルにあり、上値は0.7330、0.7360〜70米ドルに抵抗線が控えています。
(2018年11月20日12時45分、1豪ドル=0.7290米ドル)
オーダー/ポジション状況
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