<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドル高・円安、週足は2週続けての陽線引けに。一時112.87円まで値を上げ、7月20日以来の113円台回復を視野に入れた展開となっている。
前週末に、米紙WSJが「米大統領、17日にも対中関税発動を表明へ」と報じたことで、米中貿易戦争懸念の高まりからリスク回避の動きが警戒されていたものの、フタを開けたら影響は極めて限定的。ドル/円相場は、前週末のNYクローズと大差のない112円前後で寄り付きとなった。
その後、一時111.65円前後まで軟化するも底堅く、ドルは反発に転じるとじり高推移をたどり、週末には112.87円まで1円を超える上昇をみせている。結局、週末NYも112円半ばのドル高値圏で大引け、越週となった。
なお、そうしたなかNYダウは週末にかけ、史上最高値を更新するなど週間を通して堅調さが際立っていた。
一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」について。
前者については、前述したWSJ紙の報道のとおり、「米大統領、17日に対中関税発動を表明」した。中国からの輸入2000億ドルに対してで、実際の発動は24日となる。また、この件と絡めて、同じWSJが「中国副首相が訪米し、27-28日に閣僚級会合を開催予定」と報じたものの、そののち「米中通商協議は開かれない恐れ、中国が提案拒否を検討」といった報道も観測され、物議を醸していたようだ。
対して後者は、18-20日の日程で南北朝鮮の首脳会談が実施され、「平壌宣言」が採択されている。ちなみに、その中身は「米国が米朝共同声明の精神に基づき、相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的な廃棄のような追加的な措置を継続的に取っていく用意がある」−−といったもので、これを米露中の首脳などから評価・好感するコメントが聞かれていた。また、そののち「米国務長官、『北外相と来週会談』を北側に打診」といった報道も観測されている。
<< 今週の見通し >>
為替市場で日本円は全面安。通貨の実際の強さを示す「実効為替レート」などを見ると、実はドルもさほど強くはないのだが、円はそれ以上に弱いため、結果としてドル/円が上昇した格好にあるようだ。ともかく、チャートを見ると7月高値113.17円や、年初来高値の113.38円などが視界内に捉えられている感を否めず、引き続きユーロ/円や豪ドル/円などクロスを中心とした円安が進展、ドル/円も連れ高をたどる可能性を否定出来ない。
材料的には、米中そして日米を中心とした貿易戦争懸念の高まりが、依然として指摘されているが、先でも指摘したように「NYダウは週末にかけ、史上最高値を更新する」など米国を中心とした株価にそれが示されていないようだ。ただ、日米貿易協議については、閣僚級協議が当初の21日から今週24日に延期となったうえ、26日には日米首脳会談も予定されている。また、米中に関しても、24日には「米による2000億ドルの対中関税第3弾が発動」され、それに対して中国は即座に同規模の報復に動く見込みだ。さらに、先週末には米紙WSJが「中国、米国との貿易協議を拒否」と報じている。これら悪材料、あるいは不安要因を一蹴し、米株などがさらに高値を更新することが出来るのか、しっかりと注目してみたい。
テクニカルに見た場合、先週末には112.90円近くまで値を上げ、ついに113円台回復が現実のメドとして意識されている。抜ければ、7月高値の113.17円あるいは年初来高値113.38円などがターゲットに。
なお、先週初めの日経新聞も報じていたように「年初来のドル/円相場の変動幅は9円を下回る低水準」−−だったが、先週末に掛けての動きなどからドル続伸期待が高まり、遠くないタイミングでの年初来高値更新の可能性もジワリと取り沙汰されはじめた。その際、過去の平均変動幅を参考にすればドルの上値は113円台などではなく、年内に115円を突破しても不思議はないだろう。
一方、材料的に見た場合、9月のダラス連銀景況指数や同消費者信頼感指数などの米経済指標の発表が予定されているほか、26日にはFOMCならびにパウエル議長による会見が予定されている。ちなみに、後者に関しては、すでに利上げが織り込まれており、焦点は声明、議長会見での12月利上げの確率度合いのほか、来年の利上げ回数、ペースなどとなりそうだ。
また、先で指摘したように、日米そして米中を中心とした貿易ファクターは要注意だが、それ以外でも労働党大会や保守党大会が実施される英政治ファクターなども気掛かり。今週も欧州通貨や新興国通貨が相場変動を主導する可能性もある。
そんな今週のドル/円予想レンジは、111.30-113.40円。ドル高・円安については、先週高値の112.87円が最初の抵抗で、超えれば113円台回復も。具体的には、7月高値の113.17円あるいは年初来高値113.38円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週半ばの19日以降一度も割り込んでいいない112円レベルの攻防にまずは注視。下抜ければ、111円前半がターゲットだが、一目や移動平均その他で見たテクニカルポイントが集中しており、かなり底堅そうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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