日米通商協議と半期末で反転か(週報9月第4週)

先週のドル円は、前週に続いてドル高・円安の動きとなり、112円台の売りをこなしながら金曜には112.88レベルの高値をつけました。

日米通商協議と半期末で反転か(週報9月第4週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週に続いてドル高・円安の動きとなり、112円台の売りをこなしながら金曜には112.88レベルの高値をつけました。この間、NYダウが年初来高値を上抜け史上最高値を更新、日経平均株価も24,000円に迫る勢いとなったことが、ドル円とクロス円でのリスクオンに繋がった最大の要因です。

しかし、先週は対中国の制裁関税を24日から発動、また日米通商協議と米欧間の協議の日程が決まり、24〜26日は米国主導の貿易摩擦激化のひとつのヤマ場を迎えます。先週も書きましたが、これまでのNAFTAでの交渉を見ていても容易に想像がつきますが、そう簡単には米国は折れないということです。また11月6日の中間選挙に向け結果を出しやすいのが何かを考えると、対日の2国間交渉と考えることもほぼ間違いありません。

今週はイベントも多く水曜にはFOMCもありますが、FOMCでの0.25%利上げは既に織り込み済みで、それよりも来年の金利見通し、そして会合後の基調会見において貿易摩擦等の米国経済に与える影響について何か発言があるかどうかが注目されます。ただ、日にちの順番的にその前の大きな動きがあるようだと、ドルにとってネガティブな発言が出てきた時を除いて反応しにくいとは言えるでしょう。

いずれのイベントもドル安あるいは円高のきっかけになりやすいと見ています。日米通商交渉に対して考えている懸念については、お読みになっていらっしゃらない方は先週の週報も併せてご覧ください。それでは、テクニカルな観点からチャートを見て、日柄についても触れたいと思います。

テクニカルには7月高値113.18が中期的なドル高値で、その時点で出たトランプ大統領のドル高牽制発言を考えると、同水準を日米協議前後に上抜ける動きは考え難いところです。現時点では最後のレジスタンスという押さえでよいでしょう。もう少し手前には8月安値を起点とした上昇N波動があり、127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが112.99と113円水準が今週の高値圏となりやすい水準です。いっぽう下値に関しては先週火曜の押し111.66の安値が現状では大きなターゲットとなりやすい水準です。

次に日柄ですが、先週金曜21日は株式市場や商品市場で変化が起きやすい日柄で、為替については25日が変化しやすく、しかもドル売りに結びつきやすいものとなっています。全体としてイベントをきっかけにしながら、半期末に向けていよいよ反転下落を予想したいと思います。111円台半ばをサポートに113円前後をレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

9月24日(月)
**:** 東京、中国市場休場
17:00 ドイツ9月ifo景況感指数
22:00 ドラギECB総裁講演
**:** 日米通商協議

9月25日(火)
**:** 香港市場休場
08:50 日銀会合(7月31日)議事要旨公表
14:35 黒田日銀総裁挨拶
15:00 ドイツ8月PPI
17:10 プラートECB理事講演
22:00 米国7月住宅価格指数
22:00 米国7月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国9月消費者信頼感
23:00 米国9月リッチモンド連銀製造業指数
**:** FOMC(〜26日)
**:** 米欧通商協議

9月26日(水)
07:45 NZ8月貿易収支
10:00 NZ9月企業信頼感
15:45 フランス9月消費者信頼感
23:00 米国8月新築住宅販売件数
23:30 原油週間在庫統計
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見

9月27日(木)
06:00 NZ中銀政策金利発表
15:00 ドイツ10月GFK消費者信頼感
15:35 黒田日銀総裁挨拶
17:00 ECB月報
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感確報値
18:30 南ア8月PPI

21:00 ドイツ9月CPI速報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国4〜6月期GDP確報値
21:30 米国8月耐久財受注
22:30 ドラギECB総裁講演
23:00 英中銀総裁講演
23:00 米国8月住宅販売保留件数指数
25:30 (ダラス連銀総裁講演)
26:05 プラートECB理事講演
29:30 パウエルFRB議長挨拶

9月28日(金)
06:45 カナダ中銀総裁講演
08:01 英国9月GFK消費者信頼感
08:30 本邦8月失業率・有効求人倍率
08:30 本邦9月東京区部CPI
10:45 中国9月MarkIt製造業PMI
15:45 フランス9月CPI速報値、8月PPI
16:00 トルコ8月貿易収支
16:55 ドイツ9月失業率
17:30 英国4〜6月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値
21:00 南ア8月貿易収支
21:30 リッチモンド連銀総裁講演
21:30 米国8月個人所得・消費支出
22:45 米国9月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感確報値
29:45 NY連銀総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値   高値   安値  終値

ドル円   111.97 112.88 111.66 112.56
ユーロ円  130.14 133.13 130.10 132.30
ユーロドル 1.1624 1.1803 1.1618 1.1753
日経平均 23042.19 23971.41 23039.26 23869.93

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

9月17日(月)
週明けのドル円は東京市場が休場となったこと、また112円台前半でのドル売りオーダーも見え終日上値の重たい展開となりました。どちらかというとユーロドル上昇によるドル売りの影響のほうが大きかった様子でしたが、上下とも抑えられ方向感の乏しい一日となりました。

9月18日(火)
ドル円は早朝にトランプ大統領が対中追加関税を24日に発動するとの発言に、リスクオフの動きから株安と円買いで反応したものの想定内のイベントとの反応から111.66レベルで底打ち反転の動きとなりました。その後は日経平均株価が場中も引け後の先物夜間取引も大幅高となったことに追随しリスクオフの巻き返しが強まり、NY市場では112.39レベルの高値をつけ高値圏での引けとなりました。

9月19日(水)
ドル円は終日ドル高値圏でほとんど動意のないままでした。株値が前日の先物夜間取引で大幅高となり日中は株式市場が小動きだったことも影響しました。日銀会合は無風通過で1日のレンジも30銭に満たないままで終わりました。

9月20日(木)
ドル円はNY市場まではわずか15銭幅と値幅は狭いながらも上値の重たい展開が続きました。NY市場に入ると強い経済指標や米欧間の通商協議が25日から行われるとのニュースにドル買いが強まり、ドル円は112.50の売りオーダーをこなし112.58レベルの高値をつけました。その後も堅調な地合いが続きましたが112円台後半では売りも並んでいてNYダウが史上最高値を更新する動きの中でももみあいのまま引けました。

9月21日(金)
東京市場では前日のダウ最高値更新を好感して日経平均も上昇、リスクオンの動きからドル円、クロス円での円売りが目立ちました。後場には米金利の上昇も手伝ってドル売りオーダーをこなしながら112.88レベルまで水準を切り上げましたが、113円台にも売りオーダーが見えることから買い足が鈍り、東京3連休を控えて海外市場では調整の売りに転換、ユーロ円の売りもあってドル円は東京市場の水準へと押しての週末クローズとなりました。

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