ランド円ショートコメント
まず、先週の振り返りですが、ランド円は直近2週間のレンジを抜け出すことは難しいと考え、「7.90レベルをサポートに8.25レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.96レベル、高値が8.20レベルと、直近2週間のレンジの中で上下ともに予想レンジ内での動きに留まりました。
先週のランドは、週初にやや下押す動きが見られましたが、その後は底堅い推移を続け、レンジこそ狭かったものの高値引けといった動きとなりました。週前半の下げは、米中間の貿易戦争による時間税発動を警戒し中国の株価が下げる動きが間接的な要因となったと考えられます。ここでも以前書いた通り、南アフリカの貿易相手国として中国は輸出も輸入も第1位となっています。中国の景気後退懸念は間接的どころかダイレクトに南アフリカの経済に影響を及ぼします。
またロイターの記事に、最近のランド安とランド金利上昇の動きが、今後南アフリカの資金調達に悪影響を及ぼす可能性についてムーディーズがリサーチノートで書いた旨をニュースとして扱っていました。特に今後、南アフリカにおける通貨安が中銀に対して引き締め政策を取らざるを得ないような状況となった場合の、政府の資金調達コスト上昇に懸念を示したようです。ただ、このリサーチ自体は既にランドが下がっていたところで出てきたこと、そして冒頭の通り最近のランドはレンジ内での取引が継続していることもあって、あまり大きな影響はありませんでした。
週後半は、ここ数週間の対ドルでのランド売りが収まってきたこともあって、ドルランドでのランド買いが断続的に出ていたため、ランド円もまた底堅い地合いになっての週末クローズになったと言えそうです。
上段:過去1年間の南アフリカ10年債利回り(日足)
下段:ドルランドの為替チャート(日足)
今週はマーケットへの影響は少なかったもののムーディーズの南アの資金調達に関するリサーチが気になるので、過去1年間の同国10年債の利回りを調べてみました。日中の終値ベース(日足相当)なので、ラインチャートとなっていますが傾向は見て取れます。参考に下段にドルランドの為替チャートを表示しました。
かなり大きなうねりで利回りが上下していますが、南ア10年債利回りとドルランドの動きはほとんど同じような傾向を示していることがわかります。つまり今年3月半ば以降の動きを例に取れば、南アの長期金利上昇=南アランドの対ドルでの下落を示していて、直近では長期金利低下=南アランドの対ドルでの上昇を示しています。
正直なところ、ここまできれいな相関があるとは思いませんでしたが、こうした動きを見てしまうとあらためて、新興国通貨なのだということを再認識させられます。
ムーディーズとしては、上下のチャートが双方とも上に向かうような動きが出てくる南アの国内経済が最終的に海外に頼っている資金調達能力に大きな問題を引き起こすということを言いたいのでしょう。こうした資料さえあれば小学生にもわかりそうではありますが、私も並べてみるまでは正直そこまでは認識していませんでした。中長期的な材料として、再び双方の動きが上に向かうときには注意が必要でしょう。
さて、短期的にはどうでしょうか。あまり大きな材料もありませんので、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)を見てテクニカルに判断していきましょう。
4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)
このチャートを見ている限り、短期的にはランド安がやってくるとは思えません。それよりも直近3週間の高値圏を上抜けつつあり、4週間前の水準へと戻そうとしているようにも見えます。テクニカルには短期的に底堅い展開を続けやすいという判断になるでしょう。今週のランド円は、上昇傾向を継続しやすく8.10レベルをサポートに、8.30レベルをレジスタンスとする流れとします。
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