トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は戻り売りが出やすい地合いは変わず「23.70レベルをレジスタンスに22.50レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が23.17レベル、高値が24.48レベルと、予想よりもかなり底堅い値動きの一週間となりました。
先週のトルコリラは、トルコ中銀が5月23日の緊急利上げで後期流動性貸出金利を16.5%に引き上げたことに続いて、28日には1週間物のレポ金利を8%から後期流動性貸出金利と同じ16.5%とし政策金利としてのベンチマークとして再開することを決めました。さらに翌日物の借入金利を15%、貸出金利を18%とし(上下1.5%)、6月1日から実施することとしています。
また後期流動性貸出金利は3%引き上げて19.5%としていますが、こちらは6月7日から実施することをアナウンスしています。この7日は定例のトルコ中銀の政策金利発表が行われる日となっていますので、後期流動性貸出金利を上げることを前倒ししてアナウンスすることで大きな効果を狙ったものと考えることができそうです。
この一連の引き締め政策を好感して週初からトルコリラは買いが目立ちましたが、30日高値24.48は前週初の水準に及ばず、同高値からはじり安となり引き締め前の水準に近づいての週末クローズとなっています。この動きは対ドルでもほぼ同じですから引き締め実施は現状ではあまり効果が出ていないということになります。
先週の中銀のアナウンスでは2017年でいったん機能しなくなっていた政策金利(レポ金利)を改めて復活させたこととなりますが、依然として上限金利は後期流動性貸出金利となっていますので19.5%となりますが、中銀の後期流動性貸出金利の引き上げは4月25日の定例の政策金利発表時に+0.75%、5月23日に+3%、28日に+3%(発表のみ)と既に3回、+6.75%に達しています。
アルゼンチンペソが3回連続の政策金利引き上げ(こちらは8日間)からが通貨暴落の始まりだったことを考えるとまだまだ楽観できないことは言うまでもありません。1日にはムーディーズがトルコの格付け見直しについて、3月に引き下げたBa2(BB相当)を更に引き下げる方向で検討していると述べました。週末に向けてのリラ売りはこの格付け引き下げを材料とした売りと言えます。
さて今週ですが、まず4日にCPIの発表がありますが、4月の10.85%(前年比)から大幅に上昇し12%を超えるという予想が出ています。CPIの上昇が止まらない場合は引き締めを継続するという中銀のスタンスから7日の政策金利発表では1週間物のレポ金利を引き上げる可能性もありそうです。先週上げたばかりなので、さすがに25〜50bp程度だと思われますが、トルコリラ安となっていなければ引き上げは行わないかもしれず、7日を見守る流れです。
ただ、今のトルコは環境が悪すぎて何かしてもしなくても結局は売られるという悪循環サイクルになっているため、大きな流れはいまだトルコリラ安と考えざるを得ません。チャートも見てみましょう。いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円四時間足
こうして見ると急落の動きがあるため下降チャンネルは引きにくいものの直近高値からのレジスタンスライン(ピンク)はいまだ効いていて、先々週の史上最安値から先週高値までの戻しは下降トレンドの中での調整ウェッジの形状をしていると見ることもできます。
そうだとすると、先週高値を明確に上抜けない限りは次の方向性は下げの再開と考えるのがテクニカルには自然です。今週の政策金利発表がどうなるかにもよりますが、トルコリラの下落トレンドは終わったと考えるには程遠い状況だと思われます。今週は24.20レベルをレジスタンスに22.70レベルをサポートとする週を見ておきます。
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