トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は広めのレンジを想定し「27.50レベルをレジスタンスに、26.50レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が25.82レベル、高値が27.18レベルと、値幅が予想を大きく超えるトルコリラ安の動きとなりました。
先週はトルコリラ自体の材料は目立ったものがあったわけではありませんが、前週のシリアにおけるテロ制圧に対して、ドイツのメルケル首相がトルコと後ろ盾となっているロシアを非難したことで、一時期改善していたトルコとドイツの関係が悪化することは悪材料となりました。
また米国の追加関税もトルコにとっての悪材料です。米国は追加関税として鉄鋼を例にあげると最低24%の関税を賦課することとなっていますが、トルコは特定12か国の対象国に含まれているため、最低53%の関税が賦課されることとなっています。米国とトルコとの関係はこれまでも良いものではありませんでしたが、今後は通商問題でも衝突する場面が見られそうです。
そして上値が重たい動きとなっていたところに23日金曜朝の急落ですがこれはマーケットが薄い中でストップオーダーをつけにいった動きに見えます。23日7時から8時の間にトルコリラ円は26.73から25.82まで90銭もの下落を示し、ドルトルコリラも3.9359から4.0363へと4.0の大台を一気に上抜けるトルコリラ安となりました。
あまりに急な動きであったため、ドルトルコリラの4.0にストップがあったとか、日本の投資家によるトルコリラポジションが強制決済されたことによる下げだったとか、色々な見方はあるようですが、冒頭に書いた通りトルコにとっていい材料が見当たらない中、ドルトルコリラで4.0のストップをつけたら連鎖的にトルコリラ円のストップにまで波及したというところかと思います。
実際に取組高(ポジション残高)を公表している金融取引上の数字を見ると、22日まで39〜40万枚(1枚は1万トルコリラ)程度の買い越しで推移していたものが、23日の引け時点では35万枚を割り込み約5万枚(約12.5%)の買いポジションが切らされていることがわかります。おそらく、このような動きは金融取引所だけでなくすべてのFX業者において見られたと考えられますので、やや大きめの強制決済が発生したことによるトルコリラの急落であった可能性は高いと言えます。
さて今週ですがトルコ国内の材料としては、29日に10〜12月期GDP、30日に2月貿易収支の発表があります。前者の方が影響度は大きく予想としては前年比で+10.0%(前回は+11.0%)となっていて、予想よりも悪い数字の時の影響度が大きいと言えるでしょう。またドル円サイドの材料としては、3月期末を控えて円買い需要が増加すると考えられているため、こちらもトルコリラ円の重石となりそうです。
チャートは先週長期の月足チャートを見た上で19.87というターゲットを示しましたが、史上最安値を毎週のように更新していても、さすがに20円を割れるような水準にすぐに行くようなことは考えられません。今週はいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)を見ながら足元の動きについて考えてみます。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
先週のような荒れ相場は考えにくいものの、現在は先々週高値と先週高値を結んだレジスタンスラインとそれに平行に引いた下降チャンネルの中での動きと考えて良さそうです。このチャンネル自体はかなり値幅がありますが、当面は広めのレンジを見ておく必要がありそうです。上値はちょうどレジスタンスラインが先週初の安値圏に重なりますが、下値は先週の安値までは届かないと見ています。
今週は、先週安値のやや上となる25.90レベルをサポートに、26.80レベルをレジスタンスとする流れを見つつ、引き続き下値方向には注意を払いたいと思います。
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