ドル円見通し下値不安が強まる110円割れが警戒(1/17)

16日夕刻に、ドイツの大連立政権樹立協議が失敗するのではないかとの一部報道からユーロが下落したが、当初のドル円反応は限定的だった。

ドル円見通し下値不安が強まる110円割れが警戒(1/17)

【概況】

1月16日未明に110.32円まで下落して11月27日安値110.84円を割り込んだ。16日昼にかけては110.98円まで戻したが111円台を回復できずに反落、深夜から再び売られて17日未明には110.24円まで続落、この間の安値を更新した。
16日夕刻に、ドイツの大連立政権樹立協議が失敗するのではないかとの一部報道からユーロが下落したが、当初のドル円反応は限定的だった。22時半のNY連銀景況指数が予想を下回ったことへの反応も鈍かった。しかし深夜からユーロが反発し始めるとドル安感が再燃、ドル円も売られた。

【ユーロドル、いったん急落するも回復】

1月16日夕刻にユーロが急落した。ドイツ社会民主党(SPD)がメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立協議を拒否したと一部メディアが報じたことがユーロ売りのきっかけだった模様。
ドイツ社民党のシュルツ党首は1月21日に臨時党大会でメルケル氏との連立政権樹立交渉を行うための党の承認を得る予定だが、反対派も多く、この党大会で承認されなければ連立協議は頓挫し、ドイツにとっては戦後初の内閣不成立、再選挙となる。しかし、党大会で承認されるという楽観的な見通しもあり、ユーロドルは15日高値1.2296ドルから16日深夜安値1.2195ドルまで1%近く下落したものの、その後の反騰で1.2280ドルまで戻している。夕刻からの下落はやや過剰反応だった可能性がある。

来週1月25日、ECB理事会があるが、量的金融緩和政策による資産買い入れ継続のガイダンスを取り下げる可能性は低いとの関係筋による発言が報じられている。年央までは現状維持とされるが、3月の理事会では先行きの姿勢変更となるようなフォワードガイダンスの変更もあり得るとの見方も出ている。
これらに関し、理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁は「年内の債券買い入れ終了が適切」との見方を示し、先行きの金融政策正常化へ向かう姿勢を示した。これが夕刻から深夜にかけて下落していたユーロ反発材料となった印象だ。

ユーロドルは昨年1月3日に底をつけて上昇期に入り、9月高値からいったん下落していたが、年末からの上昇再開で9月高値を突破して一段高してきた。高値警戒感があったところで大連立政権不成立になる可能性が取沙汰されたために反動安を入れたが、まだ高値圏維持、更に一段高へ向かう姿勢を深夜からの反騰で示したのではないかと思われる。
ユーロはドル指数において6割の比重があり、ユーロ高が継続ならドル安感が拡大、ドル円にとってのドル安円高継続要因となってくる。

【11月27日安値を割り込んでからも続落】

1月15日への下落で11月27日安値110.84円を割り込んだ。この結果、11月6日高値114.73円からの下落は11月27日までを一段目とし、12月12日の戻り高値から二段目の下げに入ったことになる。11月6日高値と12月12日高値によるダブルトップ、ないしは11月6日高値を頭、10月6日高値と12月12日高値を両肩とした三尊または三点天井を形成している印象だ。このため、下値目処は昨年4月底以降の108円台、あるいは9月8日安値107.32円試しへ向かう可能性が高まるとみる。

【60分足一目均衡表・RSI・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・RSI・サイクル分析】

1月11日に戻りを入れ、その後は安値更新、戻り高値切り下がり、安値更新というパターンが続いている。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルで見れば、10日夜安値から3日目となる16日未明安値でサイクルボトムをつけて戻したが、16日昼高値で戻り一巡、既に底割れとなっているため新たな下落期入りとして次の安値形成期となる19日未明から23日朝にかけての間への下落へ進みやすくなったと思われる。強気回復には16日高値超え、111円台回復、維持へと進む反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では1月9日への下落から遅行スパン悪化、先行スパンからの転落状況が続いてきた。16日未明安値からの戻りで遅行スパンはわずかに好転したもののほぼ実線と重なって下落、17日午前では悪化となっている。16日昼への戻りでは先行スパンの下側が抵抗となり、潜り込めずに失速している。このため、先行スパン突破へと上昇できない内は一段安警戒が優先されるとみる。
60分足の相対力指数は16日昼高値からの反落で50ポイント割れとなっている。1月10日夜安値以降の安値切り下がりに対して指数のボトムがやや切り上がり傾向で推移しているのだが、安値更新が続いているため、16日昼高値を上抜けない内は30ポイント以下への下降及び週後半への下落継続へ向かいやすいとみる。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)110.00円を支持線、110.70円台までを戻り抵抗とみておく。
(2)110.50円以下での推移中は一段安警戒とし、110円割れからは109.50円から109.00円にかけてのゾーンを試すとみる。また110円割れの状況が続く内は18日の日中へも一段安しやすいとみる。
(3)110.80円超えからは16日昼高値110.97円試しとみるが、16日昼高値を超えられない内は110.60円割れからの反落開始警戒とする。ただし16日昼高値超え、111円台回復維持へと進む場合は1月8日からの下落一服によるリバウンド入りとして111.50円前後を目指す短期的な上昇期に入る可能性を検討する。(了)<9:25執筆>

【当面の主な予定】

1/17(水)
23:15 (米) 12月鉱工業生産  前月比 (11月 +0.2%、予想 +0.4%)
23:15 (米) 12月設備稼働率 (11月 77.1%、予想 77.3%)
24:00 (加) 加中銀政策金利発表 (現行 1.00%、予想 据え置き)
24:00 (米) 1月NAHB住宅市場指数 (12月 74、予想 72)
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

1/18(木)
06:00 (米)エバンズ・シカゴ連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁、討論会
06:30 (米)メスター米クリーブランド連銀総裁、討論会
13:30 (日) 11月鉱工業生産・確報  前月比 (速報 +0.6%
16:00 (中) 10-12月期GDP 前期比 (前期 +1.7%、予想 +1.7%)
16:00 (中) 10-12月期GDP 前年比 (前期 +6.8%、予想 +6.7%)
16:00 (中) 12月鉱工業生産 前年比 (11月 +6.1%、予想 +6.1%)
16:00 (中) 12月小売売上高 前年比 (11月 +10.2%、予想 +10.2%)
17:15 バイトマン独連銀総裁、講演 
20:00 (ト) トルコ中銀政策金利発表 (現行 8.00%、予想 据え置き)
22:30 (米) 12月住宅着工件数 (11月 129.7万件、予想 127.0万件)
22:30 (米) 12月建設許可件数 (11月 129.8万件、予想 129.5万件)
22:30 (米) 1月フィラデルフィア連銀製造業指数 (12月 26.2、予想 23.0)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.1万件、予想 25.0万件)
未定 (南) SARB政策金利発表 (現行 6.75%、予想 据え置き)

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