ランド円レポート月曜版(17/12/11)

先週の南アフリカ関連の材料は細かなものはありましたが、いよいよ今週末(16〜21日)に行われる与党ANCの党大会に向けての思惑買いと

ランド円レポート月曜版(17/12/11)

ランド円レポート月曜版

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「すっかりと底打ちのチャートとなって・・・2大台8.00レベルをサポートに、8.35レベルをレジスタンスとする週」としました。実際のレンジは、安値が8.14レベル、高値が8.39レベルと通りの強さを見せました。

先週の南アフリカ関連の材料は細かなものはありましたが、いよいよ今週末(16〜21日)に行われる与党ANCの党大会に向けての思惑買いと、その後の調整の売りが中心だったと思います。今回は南アフリカの政党と今週末の党大会について簡単にまとめておきたいと思います。

南アフリカは驚くほど多くの政党がありますが、ANC(アフリカ民族会議)が与党で全400議席のうち現在249議席と62%以上の議席を占めています。前回選挙(2014年5月実施)で第2党となったDA(民主同盟)が89議席ですから、基本的にANC以外が与党となることは現状では考えにくい状態です。これはアパルトヘイトの時代に白人政権と闘いノーベル平和賞も受賞している元マンデラ大統領(同国初の黒人大統領)の影響が強く、同国にとってはANCこそという状態が続いています。

この議席的にもANC議長がそのまま同国の大統領となり、現在のズマ大統領は2007年12月に議長に就任、大統領となりました。しかし、最近のズマ大統領は独裁的な傾向を見せ閣僚を次々と更迭、南アフリカ経済が低迷する中で汚職の疑惑が出てきたことも重なって、ANCの党大会を前に完全にレイムダックと化している状況と言えるでしょう。

そこで、次期議長(=次期大統領)に注目が集まりますが、現在議長の候補は2名。ひとりは現在の副大統領であるラマポーザ氏、もうひとりはズマ大統領の元妻で閣僚経験もあるドラミニズマ氏です。他にも候補者はいるようですが、実質的にこの二人による一騎打ちというのが今週初の状態です。

ラマポーザ副大統領は、反ズマ派の代表であり政治の腐敗を無くしANCの再生を掲げています。またドラミニズマ氏はズマ大統領の流れをくんでいてズマ派であることから、ズマ大統領もドラミニズマ氏の議長を指示しているようです。しかし、ズマ大統領率いるANCが変わらないと南アフリカも変わらないと考える国民が多いことから、ラマポーザ副大統領が議長となる見通しが強く、そのことがANC党大会に向けてのランド買いにつながっていたと言えます。

しかし、ドラミニズマ氏を指示する層も当然いますし、状況次第ではまだドラミニズマ氏が議長となる可能性はあるといった論評で、仮にドラミニズマ氏が議長となり、次期大統領となるとANCの指示は更に落ちることとなり、次回の2019年の総選挙では与党から落ちる可能性をも指摘されています。

党大会が終わるまで結果はわかりませんが、今週は選挙思惑相場となり、ラマポーザ副大統領が優勢ならばランド買い、ドラミニズマ氏が更に巻き返してくるとランド売りといううごきになってくると予想されます。

4時間足チャート(上かランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。

        ランド円、ドルランド、ドル円四時間足

        ランド円、ドルランド、ドル円四時間足

まず中段のドルランドをご覧ください。主要通貨におけるドル高の動きに対して、ドルランドは11月13日高値をランドの安値の着実にランドの買い戻しが続いています。これは同国に対する格付け会社の格付け見直しの間も続いていたというのは意外ですが、それだけランド売りが続いていたことと、今週末のANC党大会でようやくズマ大統領から次期大統領へと変わるという期待がモラタした動きと言えそうです。

上段のランド円も同様です。ドルランド以上に上昇ペースが速く、これはドル円におけるリスクオンの円売りの動きが重なった故と言えるでしょう。こちらは11月13日安値より11月27日安値と先週後半の安値を結んだサポートラインも有効と考えられ、このサポートラインに平行に引いた上昇チャンネルの中で、期待も込めたランド買いが今週は続きやすいと見ています。

まさかのことが無ければ来週中には結果が判明しますので、それまで同国からの政治ニュースにはこれまで以上に要注意と言えるでしょう。今週は上記の上昇チャンネルをベースとして、先週後半の押しの水準8.20レベルをサポートに、9月高値に近い8.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

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