ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は押し目買いと戻り売りとで綱引きといった一週間「8.25レベルをサポートに、8.50レベルをレジスタンス」とする週としました。実際のレンジは、安値が8.31レベル、高値が8.51レベルと、もみあいの一週間となりほぼ用通りであったと言えます。
先週の南アフリカ関連の材料としては、13日に小売売上高と14日4〜6月期経常収支がありましたが、どちらも予想よりも悪い数字となりました。更にズマ大統領率いる与党が中銀の独立性を奪うような法改正を考えていることに対して、ムーディーズが13日に見解を示しました。
これは、同国の制度的枠組みの段階的な浸食や、中央銀行の使命変更への圧力が主要リスクであると述べ将来的な格付けに対する懸念を示しました。また赤字抑制のために財務省が財政政策を実施する余地が限定されつつあることも指摘しました。
材料的にはランド売りしか無いという感じでしたが、ランド円はほぼ横ばい。ドル円が前週の安値107円台前半から先週末の111円台後半まで4円もの円大幅安となったことがその要因と言えます。ユーロ円やポンド円が軒並み大幅高となっている中、ランド円が横ばいということこそが、ランドもドル円と同じペースで弱くなっていることを示している訳で、ドルランドで見ると週を通してドル買い・ランド売りが継続していたことがわかります。
さて今週ですが、20日にCPI、そして21日に政策金利の発表が予定されています。CPIがこれまでのように落ち着いた数字となれば、今回は利下げが行われるとの見方がコンセンサスです。CPIは前年同月比で+4.6%、今回は+4.9%の予想となっていて余程のことが無い限り0.25%の利下げが行われ、6.75%から6.50%へと引き下げられると考えられます。
米国や主要先進国が利上げもしくは緩和後退の政策を取る中での南アフリカの利下げは、金利差という観点からは高金利通貨にとって悪材料ではありますが、金利負担が減少することによる赤字減少も期待できますので、0.25%程度の変化では大きな変動に繋がることは無いでしょう。ただ、南ア政府の動向も含め、長期的に南アに対する投資は減っていく流れのきっかけとなる可能性はあります。
今週は南アの政策金利の発表前に米国FOMC、日銀金融政策決定会合とありますので、まずは日米の会合を見た上でとなります。同日に南アの政策金利発表と全てが21日未明から夜(南ア中銀の発表は日銀同様に時刻が決まっていない)にかけてイベントが集中するため、今週は材料的にはこの日が全てといった印象です。
それでは、チャートもご覧ください。いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)です。
ランド円、ドルランド、ドル円四時間足
先々週まではランド円もドルランドもランド高の流れ(ピンクの細いライン)にあったと言えますが、どちらも先週ラインを抜けてランド安へと転じてきています。現在はそれぞれピンクの太線で示したラインに沿ったランド安の流れにあると考えることが可能です。
ここで悩ましいのがドル円で、先々週に安値を付けて以降の円安の動きが日本の政局流動化、10月解散総選挙に向けて一段の円安につながるのかどうかです。昨日一気に解散風が強まりましたが、本音(民進党が弱い時に選挙)を隠すため、建前の景気底上げ対策を前面に出してくるだろうとの見方です。昨日から株価も為替もリスクオンで動いてはいますが、今週に限って言えばまだ安倍首相が訪米中であることや、日米の金融政策イベントを控えて円安の速度は緩やかになるであろうと考えられます。
そうした前提でランド円のチャートを見ると、過去3週間で高値圏を形成するチャートパターンとなっていて、現在は太線で示した下降チャンネルの中でランド安の動きとなりやすいチャートであると見ることが出来そうです。
今週は先週出てきたランド安の材料と生先金利引き下げのコンセンサスから上値の重たい動きを考え、8.20レベルをサポートに、8.50レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。
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