豪州中銀議事録(2017年3月21日公表、3月7日開催分) (出所:豪州中銀HPから)
豪州中銀の金融政策の議事録内容を一部抜粋してお送りします。
(議事録要旨)
委員達は民間アナリストなどが2016年央以降から上方修正した2017年度成長について、主要経済国の経済拡大傾向について議論を行った。鉱工業生産指数や貿易は一層の伸びが見られ、ビジネス状態は高水準を維持している。インフレについても明らかに上昇した。これは原油価格の上昇などの要因による。インフレは各国中銀目標値に近付きつつあるが、コアインフレについては依然低いままである。
中国の経済は2017年の成長目標を6.5%以上にすると、最近同国から発表された。2016年数値からは幾分ペースが下方となる見通しだ。米国は労働市場の改善傾向で消費拡大となった。原油価格改善でリグの稼働が増加し、また新政権の拡大財政見込みで、米経済は潜在成長率を上回る見込みとなっている。豪州は米国との貿易が1990年代以降減少気味だが、より保護主義的は移行色合いを強めると、中期的に米国と他国との間で双方に良くない影響が考えられる。
ユーロと日本の経済は2016年の潜在成長率よりは伸びた。これは雇用の改善が影響している。ユーロはここ7年間で一番低い失業率になり、日本も過去20年間では低い水準になった。この2経済のコアインフレは依然低いが、原油価格上昇でインフレ自体は上昇した。特にユーロは欧州中銀の目標値に近付くまで上がった。
委員達はユーロ圏と日本に対して、豪州の貿易輸出が2016年末に向けて拡大したことを確認した。また東南アジア向けも拡大した。
豪州ベースの換算で2016年下半期では貿易が15%もの拡大をみた。これは商品価格の改善や原油価格の上昇の影響もある。2月に商品価格が高値水準を示現したが、一部商品は11月に反落した。それでも現下の世界的需要により以前の様な悲観的見方ないと思われる。
国内経済に目を移すと、12月期四半期のGDPは期待を上回る1.1%となった。これは9月期に悪天候による景気下落に反動もあるが、12月期の貿易輸出拡大などが成長を牽引した。これは在庫減少などの補充で輸出が伸びた要因もある。企業投資をみれば鉱山関連がまだ減少傾向にあると見込まれるが、成長に大きな悪影響を与えないと見込まれる。
非鉱山関連ビジネスは12月末期に拡大した。これは非住居用建設の拡大による。また機械や設備投資の拡大もあった。非鉱山関連企業は過去2年間で景気を上昇させたが、ここ数か月のビジネスも拡大傾向を維持している。これらの前向きな指標とは対称的に、非居住者用の建設許可件数が落ち込んでいる。また非鉱山関連企業の投資は過去と比較して、今後増加させる意向がないことを調査で判明した。だが、この調査は幾つかの重要な部門…教育や健康関連…をカバーしていないことを委員達は確認している。
住宅投資は12月期に拡大した。特にニューサウスウェルズ地区の拡大が大きかった。ビル建設許可件数は下降傾向だが、パイプライン建設に伴う住居建設が伸びている。
また戸建ては地区によって差異がある。最近でもシドニーやメルボルンでは好調だが、パースやブリスベンなどは価格が下落した。
家計消費は2016年央以降下がっていたが、12月期には回復した。それでも賃金の伸びが低下し、貯蓄率も下がっている。過去20年間みても、豪州の家計消費に貯蓄率低下の与える影響は小さくないことを委員達は確認した。
労働市場は依然、内容が混在している。失業率は5.7%まで改善した。しかし、都市部の拡大に比べ地方が遅れており、また過去2年間のパートタイムの伸びにより、賃金は依然低いままだ。失業率改善が示しているほど雇用環境は強くない。これまでの低インフレは実質賃金の伸びが低かったことも1要因になっている。
豪州ドルは最近ほとんど変わりないが、それでも2016年初の貿易加重平均で比較した場合、対米ドルで10%以上も高くなっている。
豪州経済はまだ鉱山開発ブームの成長から、非鉱山関連企業中心の成長への移行期にいる。これに低金利と2013年以降の豪州ドル安が経済をサポートしている。GDPは2016年末には2.5%になった。中期の潜在成長率よりは低いが、これは9月の悪天候が影響している。年末には改善し、先々も潜在成長率を越えると思われる。但し、為替レートの豪ドル高はこの調整を複雑にしてしまう。
あらゆるデータを検証した結果、このままで成長は拡大し、インフレは中銀目標を達成できると判断し、委員会は金利を現状の1.5%に据え置いた。
(要旨以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
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