ルペンリスクからのユーロ売り(週報17年2月第二週)

ユーロは、先々週のナバロ発言によるユーロ買いの圧力があるものの、ユーロ圏の政治リスク、特にフランスのルペン・リスクからのユーロ売り圧力のほうが強い。

ルペンリスクからのユーロ売り(週報17年2月第二週)

ユーロドル:2月6日からの先週

欧州の政治リスクがリスク・オフのユーロ売り。 独では世論調査でメルケル首相がシュルツ氏に抜かれていて、仏では極右政党の国民戦線のルペン党首がEU離脱の国民投票を行う旨を掲げた為、週末1.0607まで下押ししました。

6日は前週末引けの1.0780からややギャップアップの1.0787で始まり、すぐに6日高値の1.0792をつけたあと、欧州時間に入りギリシャ不安や仏大統領選挙への不安からユーロ売りが先行し6日安値の1.0705まで下押ししました。NY時間に入りリスク・オフのドル売りの影響から1.0755まで上戻し1.0749で引けました。

7日は前日引けの1.0749で始まり、そのまま7日高値の1.0749が高値となり、欧州時間に入るまでじりじりと7日安値の1.0655まで下押し。理由はこの日も仏大統領選挙への不安からユーロ売りが先行したため。NY時間に入り独連銀のバイトマン総裁の「ECBは金融緩和を終了させる必要あり」発言で1.0706まで上戻し1.0682で引け。

8日は前日引けの1.0682で始まり、欧州政治リスクへの懸念でユーロ売りが継続で8日安値の1.0640まで下押ししました。その後NY時間に入り8日高値の1.0714まで急伸して1.0698で引けました。ユーロ買いの背景は欧米の政治的不透明、ギリシャ債務危機への再燃懸念で米債利回りが低下しドル売りになったためとしか理由がありません。

9日は前日引けの1.0697で始まり、東京時間に1.0670まで下げ、欧州時間に入り9日高値の1.0709まで上戻しました。その後9日安値の1.0650までNYで下押しし、1.0654で引け。トランプ大統領が2〜3週間のうちに驚くべき税制改革案を発表すると明らかにしたため、大幅減税への期待が再燃し債券利回り急上昇、ドル買いのリスク・オンで。

10日は前日引けの1.0654で始まり、そのまま10日高値の1.0667をつけた後、欧州時間に入るまでじりじりと10日安値の1.0607まで下押しし、1.0653まで上押しして1.0634で引け。 理由はトランプ米大統領が安倍首相との会談後の記者会見で「通貨の切り下げについて、私は長い間不満を述べてきた」「通貨と貿易は公平でなければならない」と発言した事、しかしそれが中国に対する質問への回答だったとわかった事、それで売り買いが一時交錯しました。

ユーロドル:2月13日からの今週

ポイント:ユーロは、先々週のナバロ発言によるユーロ買いの圧力があるものの、ユーロ圏の政治リスク、特にフランスのルペン・リスクからのユーロ売り圧力のほうが強い。

CME通貨先物ポジション状況:2月7日時点
(2月7日)(1月31日)(1月24日)
円   ▲55060 ▲58331 ▲66840
ユーロ ▲44951 ▲45713 ▲52348
ポンド  ▲64539▲61772 ▲63172

シカゴIMM:短期投機・投資家によるユーロのネットポジション売持高は今週も減少、ピークの140000枚から約68%弱減。

シカゴVIX指数:投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
10. 98(-0.95)VIX指数は下落しての引け。

ユーロドルは、大きな流れはユーロ安の方向との見方は変わりありません。
ユーロ圏は今年、ユーロ各国が政治・選挙という爆弾を抱えていて、いつ右傾化へ走るとも限りません。
1. イタリア・リスク、これは解散・総選挙のみならず、実は常識外に大きな対外債務、
2. そしてフランスの大統領選挙。移民排斥を掲げている極右政党の国民戦線のルペン党首が大統領選で勝つ可能性が高まっています。
今年はユーロ圏の政治の目途が着くまでは、基本的にはユーロはリスク・オフの売りです。

先週は上値も下値も切り下げユーロ安でした、
1月23日の 1.0705 〜 1.0792
1月24日の 1.0655 〜 1.0749
1月25日の 1.0640 〜 1.0714
1月26日の 1.0650 〜 1.0709
1月27日の 1.0607 〜 1.0667

テクニカルにみると、日足の一目均衡表で
先行スパン2が 1.0821 で横ばい
先行スパン1が 1.0552 で下降中
実勢値     1.0634 10日引け
転換線が    1.0725 で横ばい
基準線が    1.0642 で上昇中

昨年5月3日の1.1616からの下げのトレンドの中なので
下方向への流れの可能性が依然高いと想定します。
テクニカルは、日足の一目均衡表の実勢値が基準線と転換線とを下抜けてきている状況では、足元の勢いは下向きと判断されます。
ただ、依然先行スパン1の1.0562と、先行スパン2の1.0826に挟まれた領域にある訳で、ドル円相場と同様に、
この何れかの先行スパンを抜けて来ないと、ハッキリとした方向が示されません。

上値目途は、転換線、基準線、横ばいで推移している先行スパン2の1.0826と、2日の高値でかつ年初来高値の1.0829。
下値目途は、目先近いのですが、上昇中の先行スパン1と見ます。
方向感がハッキリしない中、見方としては、1.0725の転換線を下回って推移している内は、安値更新の可能性ありと判断します。ここを上抜けて、同水準を維持する場合には上値目途を意識した展開と想定します。

予想レンジは、引き続き1.0550~1.0750 と見ます。


オーダー/ポジション状況

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