ユーロドル:2月1日のファンダメンタル分析
テーマ:昨日今日とFOMC が開催中なのですが、市場は引き続きトランプリスクに警戒感を強めています。
そのトランプリスクは、
一昨日は移民・難民への米国入国制限という大統領令でした。この入国制限に反対した米司法長官代行は、トランプ米大統領に即刻解任されてしましました。市場は米経済の先行きへの不安からNYダウは20000ドルを割り込み、それまでトランプ米大統領の言いなりであった米国の各企業、同胞の共和党、先進各国からも非難の声が強まり、リスクオフのドル売りの流れになっていました。
昨日のトランプ米大統領は、そんな中、中国元、日本円、ユーロへの通貨安批判を展開し、ドル円は112.07、ユーロドルは1.0801へとドルの通貨安、NYダウは一時前日比株170ドル超安の19800ドル割れまでの株安です。
トランプ米大統領発言に先駆けて、ユーロに関しては元々は、トランプ米大統領が新設した国家通商会議(National Trade Council、通称NTCのトランプ米大統領直属の通商政策を担当する組織)のトップ、対中強硬派のピーター・ナバロ前米カリフォルニア大教授(トランプ米大統領と同じ1月?日に就任)の、「ドイツは著しく過小評価されたユーロを利用して、米国や他の貿易相手国よりも有利な立場にある」と述べた英FT紙の報道がきっかけです。
ここで注意すべき事は、NTC責任者のナバロ氏の対ユーロでのドル高牽制発言は、
1.ドイツは中国に次いで米国の貿易赤字2番目の国である事が理由である点。
因みに米商務省データによれば2015年ベースで
1位は中国で3671億ドル
2位はドイツで748億ドル
3位は日本で689億ドル
4位はメキシコで606億ドル
なので、ナバロ氏の攻撃の矛先は次は日本と予想されます。
2.この米商務省のデータに基づいた順に、NTCによる、トランプ米大統領のお墨付きの元、貿易戦争が開始され、米国による通貨安批判は一層激化すると想定されます。
ナバロ氏の批判は、ユーロは実はドイツマルクであり、そのユーロが過小評価されている事で、ドイツはドイツの主要貿易相手国に対して競争上優位な立場を享受してきている、というものです。
通貨ユーロというのは、ドイツマルクに、現在問題のあるイタリアリラやギリシャドラクマ等のより劣位の通貨をブレンドして1つの通貨を作っているので、ドイツマルク1通貨の場合と比較すればその分過小評価されてしまうのは理論上致し方のない事なのです。一方で、ナバロ氏の指摘通り、ドイツがユーロの通貨安を享受して、ドイツの国益は貿易を通して潤ってきた事もその通りと思います。
これからも、トランプ米大統領と一緒にナバロ氏の、通貨安批判・攻撃は続く、
それは上記の米商務省のデータでの、各国の米国との貿易赤字が縮小してくるまでそういう結果を達成するまで、続くと想定されます。
ドル相場の視点からすれば、
1. トランプ米大統領の施策から、構造的に結果としてドル高になる中で
2. 大統領就任式以降の米国各産業の首脳との会談で、各首脳からドル高の修正を要求されたので、
とはいえトランプ大統領としてはドル高牽制を強く推す訳にもいかないので、結果として各国の通貨安批判というかたちとなったのだと想定します。
3. ドル相場としてはここしばらくは、ドルの上値を上抜けてしまうとか、下値を下抜けてしまうとは考えにくく、上下共に抑えられたレンジ相場となると想定します。
ユーロドル:2月1日のテクニカル分析
ポイント:先日以来の指摘通り、3日安値の1.0339から上戻している流れは継続中で、
引続き高値更新を試す中にあり、先行スパン2の1.0826の上抜けを試す展開です。
30日も下値を模索し、19日安値の1.0588を試しましたが1.0620の下押しまでと、底抜けは回避した後の
昨日の上戻しなので、依然3日安値からの上昇トレンドにあると判断します。
判断のポイントは、日足の一目均衡表・転換線の1.0682です。
同線を上回っている内は、引続き高値更新を試す可能性が残っていると判断します。
同線を下回って行き、同線を回復できない場合は、
1.19日安値の1.0588を試す流れでしょう。
2. その下は横ばい推移で1.0558に位置する日足の一目均衡表・基準線
昨日、年初来高値の24日の1.0775を上抜けた今日の上値目途は
1. 日足の一目均衡表・先行スパン2の1.0826
2. 下降中の日足の200日線の1.1013
を試す流れでしょう。
今日のレンジは、1.0700~1.0850と見ます。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:NSJ
2017.01.31
BOE 様子見か
昨年6月に英国が国民投票でブレグジットを決めた後、英国の先行き、ユーロの先行きを懸念した市場は、ポンドを売りこみました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。