ドル円の急騰一巡による反落を追い一時4.43円まで下落
〇先週のトルコ円、ドル円反落により12/21未明に4.43まで失速、4.44で週を終える
〇ドルトルコリラのリラ安による圧迫のため、二段上げへ進めず
〇対ドル、12/20は概ね35.25から34.92の取引レンジ、11営業日連続で史上最安値更新
〇ロイター最新エコノミスト調査、2025年末にかけ28.5%まで引き下げてゆく利下げサイクル入り予想
〇4.46下回るうちは一段安警戒、4.43割れからは4.42、4.41順次試す下落想定、4.41以下は反騰注意
〇4.47超えからは上昇再開とみて4.50目指す上昇を想定、4.49以上は反落警戒とする
【概況】
トルコリラ円の12月20日は概ね4.49円から4.43円の取引レンジ、21日早朝の終値は4.44円で前日終値の4.48円から0.04円の円高リラ安だった。
19日早朝の米FOMCが利下げペースを大幅にダウンするとしたため、米長期債利回りが急伸してドル全面高となり、ドル円は19日午前への上昇で16日深夜高値154.47円を超えて一段高に入った。さらに日銀が利上げを見送り、植田総裁がトランプ政権発足後の状況や春闘を見たいとしたことで1月利上げの可能性も後退したために夜に157円到達へ急伸し、20日午前に157.92円まで高値を伸ばした。その後は米日の金融政策会合を通過したことによる当面の円売り材料消化として下落に転じ、加藤財務相や三村財務官による口先介入的な円安けん制発言もあり、21日未明に一時156円を割り込み、156.35円で週を終えた。
トルコリラ円は、ドル/トルコリラが連日にわたり史上最安値を更新してきたことに圧迫されつつも、ドル円の急伸に連れて20日未明に4.4955円を付けて4.50円に迫ったが、ドル円の反落により21日未明に4.43円まで失速して4.44円で週を終えた。
ドル円は11月15日高値を超えて9月16日安値を起点とした上昇が二段目に入ったが、トルコリラ円は11月15日高値4.57円には届かずにいる。12月20日もドル/トルコリラは11営業日連続で取引時間中及び終値の史上最安値を更新しており、リラ安による圧迫のためにドル円のように二段上げへ進めていない。
当面は米FOMCでの追加利下げが見送られて状況次第では暫く利下げ休止が続く可能性があり、日銀の利上げも来年3月以降へずれ込む可能性が高まっているためドル高基調が続きやすく、クロス円では急騰後の修正安を消化しながら円安が続きやすい状況と思われ、トルコリラ円も円安を追いかける展開と考える。
【ドル/トルコリラは11営業日連続で取引時間中及び終値の史上最安値更新】
ドル/トルコリラの12月20日は概ね35.25リラから34.92リラの取引レンジ、21日早朝の終値は35.16リラで前日終値の35.07リラから0.09リラのドル高リラ安だった。
12月6日から19日へ取引時間中の史上最安値を10営業日連続で更新し、20日も35.25リラへ最安値を大幅に更新した。日足終値ベースでも12月6日から20日まで10営業日連続で最安値更新とし、20日も11営業日連続で最安値を更新した。
週間では12月13日終値34.92リラから0.24リラのドル高リラ安で4週連続の最安値更新、月間では12月20日終値時点で11月末終値34.69リラから0.47リラのドル高リラ安、2か月連続の最安値更新となった。
米国の利下げが大幅にペースダウンすることによる全般的なドル高感と、来年1月後半に発足する第二次トランプ政権の保護主義政策に対する不安感が新興国通貨への売り圧力が高まっていることでトルコリラも売られている。
【トルコ中銀、12月26日に利下げ判断か】
12月26日のトルコ中銀金融政策決定会合で利下げが始まるのではないかとの見方が浮上している。
ロイター社が19日に発表した最新エコノミスト調査では、12月26日にトルコ中銀が利下げを決定して2025年末にかけて政策金利を現行の50.0%から28.5%まで引き下げてゆく利下げサイクルに入ると予想された。
トルコ中銀は政策金利の週間レポレートを2023年5月時点の8.5%から2024年3月に50.0%へ引き上げ、その後は50.0%での据え置きを続けてきた。12月3日に発表された11月CPIが前年比47.09%となり10月の48.58%から若干低下したものの市場予想の46.6%を上回ったため、12月利下げへの期待感がいったん後退していたが、高インフレ・高金利・リラ安・緊縮財政による景気悪化から脱却するためにまず利下げで景気を刺激することを優先するのではないかとの見方が優勢となりつつあるようだ。
12月26日についての予想は48.50%への利下げが中心で、予想レンジは47.50%から50.0%で据え置きとの見方も残っている。利下げ決定の際に市場が好感してリラ買いへ向かうのか、早い利下げをリラ安反応とするのか見方も分かれるところだ。
【60分足サイクル、一目均衡表分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月19日早朝の急伸で強気転換目安とした4.40円を超えたため、19日午前時点では18日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして19日深夜から24日未明にかけての間への上昇を想定した。
20日午前時点では急騰後の反動安も警戒されるので4.46円割れからは弱気転換注意として4.44円前後試しとしたが、21日未明に4.43円へ下落したため、20日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は21日未明安値を含めて25日未明にかけての間とし、4.47円を超えないうちは一段安余地ありとするが、4.47円超えからは新たな強気サイクル入りとして25日未明から27日未明にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では21日未明への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しかけたが、その後の反発で先行スパン内へ戻している。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは新たな上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は19日夕に80ポイントを超えてから20日未明への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行となり、21日未明への下落で30ポイントに迫った。50ポイント以下での推移か一時的に50ポイントを超えても維持できないうちは一段安余地ありとするが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、55ポイント超えからは上昇期入りとみて60ポイント台後半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.43円を下値支持線、4.47円を上値抵抗線とする。
(2)4.46円を下回るうちは一段安警戒とし、4.43円割れからは4.42円、4.41円を順次試す下落を想定する。4.41円以下は反騰注意とするが、4.44円を下回っての推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.47円超えからは上昇再開とみて4.50円を目指す上昇を想定する。4.49円以上は反落警戒とするが、4.47円を超えた後も4.45円以上での推移なら24日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月23日
17:00 11月 海外観光客数 前年同月比 (10月 9.25%)
12月25日
16:00 12月 製造業信頼感指数 (11月 100.4)
16:00 12月 設備稼働率 (11月 76.1)
12月26日
20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現行 50.0%、予想 48.50%、予想レンジ47.50%から50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 12月20日時点 (12月13日時点 981.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 12月20日時点 (12月13日時点 654.8億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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