XMASウィークで動意薄の一週間
〇先週のユーロドル、FOMC通過しドル買い・ユーロ売りで1.03台半ばへと押す
〇週末に向け、クリスマス前のポジション調整から1.04台に乗せての引け
〇2025年、FRB:0.5%、ECB:1.0%の利下げ想定で米欧金利差は0.5%拡大と予想
〇ドル買い・ユーロ売り継続しやすく、9月末からの平行下降チャンネルの中で下げやすい地合い
〇安値更新は時間の問題、2022年安値と2023年高値の61.8%押し1.0200がターゲット
〇今週は1.0300レベルをサポート、1.0500レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルはFOMCまでは1.05の大台付近で横方向の方向感の無い流れが続きました。FOMCでは前回9月から0.5%上方修正された2025年末のドットプロットとタカ派なパウエル議長の会見を受け、2025年以降も緩やかな利下げを続ける予定のECBとの温度差からドル買い・ユーロ売りとなり1.03台半ばへと押しました。週末に向けてはクリスマス前のポジション調整から1.04台に乗せての引けとなりました。
今週は予定を見てもわかる通り月曜にわずかに経済指標の発表がある程度で火曜以降は指標も要人発言もまったくありません。クリスマスを挟んでイブから翌日のボクシングデーまで欧州はほぼ休場となり、米国以上に市場参加者は激減します。イースターとクリスマスの2大キリスト教イベント時は主要な市場はほぼ東京のみとなることもあって、通常であればほとんど欧州通貨の動きは見られません。逆に流動性も極端に低下しているため、何か大きなニュースが出ると大きく振れるリスクはありますが、普通は無いと見てよいでしょう。
FRBが来年は0.5%、ECBは1.0%の利下げを想定していることから、米欧金利差は0.5%拡大することが予想され、金利差的にはユーロ売り・ドル買いの動きが継続しやすくなりますので、現状の米欧金利差のチャートを米独10年債利回り差から見てみましょう。
ラインチャートが金利差(ユーロドルの動きに合わせるため逆スケール)、ローソク足がユーロドルの日足チャートですが、相関係数的には多少の増減は見られるものの値動きとしてはほぼ同じ動きをしてきていると言えます。引き続き金利差の影響が大きいことは年末年始に向けても同様と思われます。材料も少ないので金利差自体の変化も少ないかもしれませんが、材料難な中で金利差が注目されやすいとも言えそうです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
引き続き9月末からの大きな平行下降チャンネルの中でテクニカルにも下げやすい地合いを続けています。FOMC後の下げではかろうじて11月安値を維持しましたが、下抜けて安値を更新するのは時間の問題で、その場合のターゲットは2022年安値と2023年高値の61.8%押しとなる1.0200です。年内のトライは難しいかもしれませんが、年明け後には注意すべき水準となります。当面の下値は1.03水準でしょうか。また上値の目途はFOMC前にもみあっていた大台1.0500です。
今週は1.0300レベルをサポートに、1.0500レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
最終回ということで今回はドルインデックスのチャートを見てみましょう。週足チャートです。
ドルインデックスはユーロの割合が57.6%と高く短期的にはユーロドルのチャートを上下逆にしたような形となりますが、最近はドル円の動きが大きいこともあり、ドルインデックスで見ると既に年初来高値を更新し2023年高値も上抜けていることから、2022年高値と2023年安値の61.8%戻し108.81がターゲットとなっていることがわかります。
ユーロドルでも同様に2022年安値と2023年高値の61.8%押しがターゲットとなっていて、どちらが先になるか考えるとドルインデックスが先にテクニカルなターゲットを達成し、その後ユーロドルも達成するという流れになるイメージでしょうか。
ただ、ここ2年程ドルインデックスはレンジ相場でしたが、このレンジ相場を上抜けてくるとドル高に対しての警戒感が出てくる可能性もあります。トランプ大統領就任後にはユーロ安の牽制発言が出て来てもおかしくありませんし、1期目にはそうした例もありました。ドル円の週報には人民元安がトリガーとなって円安牽制発言の可能性に言及しましたが、場合によってはドル高自体の牽制発言が出てくる可能性がある2025年になるかもしれません。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月23日(月)
16:00 英国7〜9月期GDP改定値
16:00 ドイツ11月輸入物価
12月24日(火)
**:** 東京を除く主要市場が休場か短縮取引 ☆
12月25日(水)
**:** 東京を除く主要市場が休場 ☆
12月26日(木)
**:** 東京、NYを除く主要市場が休場 ☆
12月27日(金)
(特になし)
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月16日(月)
ユーロドルは欧州市場序盤までは動かず、欧州市場ではドイツのサービス業PMI速報値に反応し買いが先行したものの前日からの高値を抜けきれず、その後はPMIも全体としては弱いと判断され売られる動きとなりました。しかし値幅自体は狭く、東京市場でのもみあいの水準に戻して引けました。
12月17日(火)
ユーロドルは東京早朝の高値圏から欧州市場前場まで下げ続けましたが、ドル円とともにユーロ円でもポジション調整の下げが強まったことが大きかった様子でした。ユーロドル自体の値幅は55pipsにとどまりましたが、ユーロ円はNYの安値まで1円70銭下げる動きを続けました。
12月18日(水)
ユーロドルはFOMCまではやや上値が重たい程度で小動きを続けていました。FOMCにおけるドットプロットとパウエル議長会見を見てFRBはタカ派に舵を切ってきたと判断され、ハト派のECBとは対照的であることからユーロドルは1.03台半ばへと水準を切り下げました。
12月19日(木)
ユーロドルは欧州市場前場まではドル円とともにユーロ円も大幅高となったことを受け上昇、1.0422レベルの高値をつけましたが、その後はドル買いの動きに押され東京朝方の水準に押して引けました。ドル円が3円以上、ユーロ円は4円近い値幅となりましたがユーロドルはユーロ円と相殺する動きから75pipsの値幅にとどまりました。
12月20日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤以降はドル円同様にドル売りの流れに沿ってNYの引けまでじり高の動きを続けました。ユーロドルは1.0447レベルまで上昇し、わずかに押して引けました。
注:ポイント要約は編集部
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FX羅針盤のサービス終了にあたり、これまでのご愛読に心より感謝申し上げます。
私の円とユーロの週報は本日をもって終了となります。到達確率チャートは27日まで更新、年明け以降は規模を縮小し提供を続ける予定です。今後の予定や日々の情報発信についてはX(旧twitter)のyasujiyをフォローの上でご確認いただけますと幸いです。
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オーダー/ポジション状況
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