ドル円 クリスマス週で薄商い、荒っぽい変動にも注意(週報12月第4週)

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時は158円に迫る展開で、7月17日以来の高値を示現している。

ドル円 クリスマス週で薄商い、荒っぽい変動にも注意(週報12月第4週)

クリスマス週で薄商い、荒っぽい変動にも注意

〇先週のドル円、週末にかけて一気にドル高・円安が進行し157.93を示現
〇FOMCのタカ派的利下げ、BOJのハト派的な利上げ見通しが背景
〇週末は円安けん制発言や調整に押されて軟落、156円半ばで越週
〇そう簡単に縮まりそうにない日米金利差、今しばらくはドル下支え要因に
〇今週は週央に欧米市場休場、薄商いによって荒れる値動きにも一応要注意
〇ドル高・円安方向、まず先週高値157.93が最初の抵抗、抜ければ158円後半がターゲットに
〇ドル安・円高方向、155円をめぐる攻防に注目、今週のドル円予想レンジ:154.00-158.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時は158円に迫る展開で、7月17日以来の高値を示現している。

前週末には、2度目の尹韓国大統領の弾劾案が、与党からの造反者が出たこともあり「可決」との決定。これにより尹氏は職務停止に追い込まれた。一方、フランスはマクロン大統領が、新首相に盟友で中道派のベテラン政治家バイル氏を任命したと報じられている。
そうした状況下、ドル/円は153.65円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。週の半ば以降に予定されている日米の金融政策発表をにらみつつ、方向性の乏しい値動きだった。しかし、その注目材料2つを皮切りに、週末にかけて一気にドル高・円安が進行。目先の強い抵抗と目された155円を超えたことに続き、156円そして157円も突破し、週間高値の157.93円を示現している。週末にかけては円安けん制発言などもあり、調整に押される格好で軟落し、156円半ばで取引を終えて越週となった。
なお、暗号資産ビットコインは一時108000ドル台まで上昇し再び最高値を更新したものの、そののち週末にかけては10万ドル割れ。1万ドルを超える大幅下落をたどっている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「日本の金融・為替政策」について。
前者は、18日のNY時間に注目されていた米FOMCの結果が発表され、その内容は予想通り3会合連続の「利下げ実施」となった。しかし同時に、金融緩和のペース鈍化を見込み通常ペースで2回分の利下げを予測したことがサプライズに。ブルームバーグが、市場参加者の見方として「パウエル氏はハト派を装うタカ派」−−などと報じたような状況下、大きなドルの買い要因になっていた感を否めない。なお、上記のような動きを受けた米金利の高止まりを嫌気、18日の取引でNYダウは急落し、実に終値ベースで1100ドル以上も値を下げている。

対して後者は、11日に報じられたブルームバーグの「日銀、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識」を受け、12月の利上げ観測が急速に萎むなか、19日に日銀が金融会合の結果として「金利の据え置き」を発表した。ただ、これそのものは多くが前述したとおりの結果で基本的に影響は限定的。しかし、同時に来年以降の先行きについて、「わが国経済・物価をめぐる不確実性は引き続き高い」、「米次期政権の政策めぐる不確実性は大きい」−−などと利上げに消極的な見通しを示したことが嫌気されると、為替市場で円は一時全面安の展開に。よって、加藤財務相から「為替動向を憂慮しており、行き過ぎた動きには適切に対応」、三村財務官も「投機的動きも含めて憂慮している」と述べるなど、当局者が慌てて火消しに走る局面も観測されていた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は週末にドルが失速したとはいえ、一時4円を超えるドル高の進行。当面の高値と考えていた11月高値156.76円もしっかり超えており、上方向の展望がさらに広がった感がある。いますぐといったことではないが、再び160円へと乗せてくる展開も否定はできない。しかし、今月初めにつけた安値148.65円から考えても、1ヵ月足らずで9円を超えるドル高の進行で、これはさすがに「行き過ぎ」か。そのため、先でも取り上げたように日本当局の円安けん制発言も、実際に観測されている。底堅いが上値も重いという状況が続くのかもしれない。
市場の関心を集めた12月の日米金融政策が先週揃って発表された。詳細については上記を参考にされたいが、来年に向けた先行きについて総括すると「そう簡単に日米金利差が縮まりそうにない」という結論になりそうだ。これがいましばらくドル/円におけるドルの強い下支え要因となる可能性もある。一方、今週だけと考えると、名実ともにクリスマス週。週央には欧米市場の休場も予定されているうえ、材料もそれほど多くない。ただ、逆に基本的に薄商いが予想されるなか、荒れる値動きにも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週、7月17日以来の高値である157.93円を示現。これをフィボナッチでみると、今年のドル最高値161.96円を起点とした大きな下げ幅における76.4%戻し(156.65-70円)をすでにしっかりと上回っており、多少の時間はかかるにせよ、160円台到達は否定できない状況だ。ドルの続伸には注意を払いたい。
しかし、実際のレベルはもとより上昇スピードも速すぎることで、一時的な下押しを警戒する声も少なくない。基本的には底堅いイメージだが、しっかり下げ始めたらスピードもなかなか速いとの声も多いようだ。

そうしたなか今週は、11月のシカゴ連銀全米活動指数や同リッチモンド連銀製造業指数などの米経済指標が発表される予定だ。また日銀が金融決定会合の「主な意見」などを公表するうえ、植田日銀総裁の講演も予定されている。何気に要注意かもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、154.00-158.50円。ドル高・円安については、まず先週高値157.93円が最初の抵抗。抜ければさらに1円程度上の158円後半がターゲットに。
対してドル安・円高方向は、155円をめぐる攻防に注目。割り込むようだと週末にかけて154円近くまで上昇してくる一目均衡表の先行帯の雲の上限を目指す展開か。

クリスマス週で薄商い、荒っぽい変動にも注意

ドル円日足


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