トルコリラ円週報『ドル円との連動相場が続く見通し。トルコ中銀は利下げサイクル開始か』(12/21朝)

トルコリラの対円相場は、12/3に記録した約2ヵ月ぶり安値4.27円(10/4以来の安値圏)をボトムに切り返すと、今週後半にかけて、一時4.50円まで急伸しました。

トルコリラ円週報『ドル円との連動相場が続く見通し。トルコ中銀は利下げサイクル開始か』(12/21朝)

『ドル円との連動相場が続く見通し。トルコ中銀は利下げサイクル開始か』

〇今週のトルコ円、週初の安値4.36から週後半にかけ一時4.50まで上昇、4.43前後で推移
〇FOMC、日銀政策決定会合を経てのドル円急伸等が背景、引けにかけても底堅い
〇トルコ円、主要テクニカルポイント上抜け、地合いの好転を印象付けるチャート形状
〇対ドル相場は依然として史上最安値を連日で更新、トルコに買い材料が出ているわけではない点に注意
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週は12/26に予定されているトルコ中銀会合に注目集まる。コンセンサス定まらず波乱含み
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.60

今週のレビュー(12/16−12/20)

今週のトルコリラ円相場は、週初4.39円で寄り付いた後、翌12/17にかけて、週間安値4.36円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)米FOMCのタカ派的な結果(ドットチャートで2025年末時点の政策金利見通しが前回の3.375%から3.875%へ引き上げられた他、2026年末分も2.875%から3.375%へ、長期見通しも2.875%から3.000%へ大幅上方修正。パウエルFRB議長からも「追加調整を検討する上で慎重姿勢を強める可能性」「道筋が不確かな間はゆっくり進む」とのタカ派的な発言)や、(2)日銀金融政策決定会合のハト派的な結果(政策金利の引き上げが見送られた他、植田日銀総裁からも「追加利上げの判断にはもうワンノッチ欲しい」「来年の春闘などの情報も必要」「輸入物価の対前年比は落ち着いている」とのハト派的な発言)、

(3)上記1、2を背景としたドル円相場の急上昇(日米金融政策格差を背景にドル円相場が153円台前半から157円台後半へと急上昇→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値4.50円まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/21午前4時00分現在)では、4.43円前後で推移しております。

来週の見通し(12/23−12/27)

トルコリラの対円相場は、12/3に記録した約2ヵ月ぶり安値4.27円(10/4以来の安値圏)をボトムに切り返すと、今週後半にかけて、一時4.50円まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。

但し、対ドル相場が依然として史上最安値を連日で更新し続けている状況などを踏まえると、足元のトルコリラ円相場の持ち直しは、あくまでドル円相場の上昇に連れた「一時的な要因」に過ぎず、トルコリラ自体に買い材料が出ているわけでは無い点に留意が必要と考えられます。事実、ファンダメンタルズ的に見ると、トルコ経済の先行き不透明感(11/ 29に発表されたトルコ7ー9月期GDPは2四半期連続のマイナス成長→トルコ経済はリセッション入り)や、外国人投資家による資金流出圧力(米FRBがタカ派転換したこともトルコなど新興国から国外への資金流出要因)など、懸念要因が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(※但し、短期的には、日米金融政策格差に着目したドル買い・円売りの流れが続くと見込まれるため、トルコリラ円相場もドル円にシンクロする形で上昇するシナリオを想定)。尚、来週は12/26に予定されているトルコ中銀会合に注目が集まります。市場では利下げサイクルの開始が見込まれていますが、利下げ幅は、100bp、150bp、200bp、250bpと意見が割れるなど、依然として市場コンセンサスが定まっておらず、来週はトルコ中銀会合後のボラティリティ拡大に警戒が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.60

注:ポイント要約は編集部

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