『日米金融政策イベントを経て乱高下するも方向感を見出せず』
〇今週の南ア円、週初8.65まで上昇後、週央にかけ週間安値8.41まで下落
〇FOMCのタカ派な内容受けての南アランドの対ドルでの下落、南ア株の大幅下落等が背景
〇売り一巡後は日銀会合後の円独歩安に8.53レベルに持ち直して越週
〇南ア円、主要テクニカルポイントの上で推移強い買いシグナルも成立、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも南ア、中国の経済復調期待、円キャリートレード再開期待等がサポート
〇当面の間は、「南アランド」以上に「日本円」の減価が進む公算が大きい
〇引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.70
今週のレビュー(12/16−12/20)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.59円で寄り付いた後、早々に週間高値8.65円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)米FOMCのタカ派的な結果(ドットチャートで2025年末時点の政策金利見通しが前回の3.375%から3.875%へ引き上げられた他、2026年末分も2.875%から3.375%へ、長期見通しも2.875%から3.000%へ大幅上方修正。パウエルFRB議長からも「追加調整を検討する上で慎重姿勢を強める可能性」「道筋が不確かな間はゆっくり進む」とのタカ派的な発言)や、(2)上記1を背景とした米長期金利の急上昇(南アランドの対ドル相場が大幅下落→南アランド円連れ安)、(3)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)、(4)南ア主要株価指数の大幅下落(南アフリカから国外への資金流出圧力)が重石となり、週央にかけて、週間安値8.41円まで急落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)日銀金融政策決定会合のハト派的な結果(政策金利の引き上げが見送られた他、植田日銀総裁からも「追加利上げの判断にはもうワンノッチ欲しい」「来年の春闘などの情報も必要」「輸入物価の対前年比は落ち着いている」とのハト派的な発言)や、(6)上記5を背景とした円キャリートレードの本格再開期待(次回1月会合での追加利上げも見送られるとの見方から対主要通貨で円が独歩安→南アランド円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間12/21午前4時00分現在)では、8.53円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(12/23−12/27)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、日米金融政策イベントを経て乱高下しつつも、方向感を見出すには至りませんでした(一目均衡表の雲の中で上下)。但し、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(下値余地は乏しい)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の復調期待(今月発表された南ア経済指標は総じて良好な内容。インフレ圧力が急速に和らぎつつあることも、南ア中銀の追加利下げ期待を通して南ア経済を下支え)や、(2)経済的な結び付きの強い中国経済の回復期待(中国共産党指導部は2025年に金融緩和と財政支出の拡大を進める方針を発表済み)、(3)円キャリートレードの再開期待(日銀による追加利上げ観測が大幅後退→日本円と南アランドの金利差に着目した円キャリートレード)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
米FRBによるタカ派転換(今週発表された米FOMCは予想以上にタカ派的な内容→南アランドの下押し要因)や、トランプ次期政権下での関税リスク(南アフリカが来年9月末に有効期限を迎えるAGOAから除外される懸念→南アランドの下押し要因)、西側諸国との関係悪化リスク(ラマポーザ大統領によるロシアとの急接近→南アランドの下押し要因)など、懸念要因は依然として燻っているものの、当面の間は、「南アランド」以上に「日本円」の減価が進む公算が大きいことから、当方では引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.70
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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