ドル/トルコリラは終値の最安値更新、トルコ円はドル円と共に連騰で戻す
〇トルコリラ円、ドル円追いかけ2連騰、11/13未明高値4.51まで戻す
〇対ドル、11/12は概ね34.41から34.08の取引レンジ、終値ベースの史上最安値更新
〇為替市場、トランプ氏の掲げる政策によるインフレ再燃感とFRB利下げペース鈍化見通しでドル全面高
〇ドル全面高がトルコリラへの売り圧力強め、年末に1ドル36リラ台へ下落の市場コンセンサス変わらず
〇トルコ9月経常収支29.88億ドルの黒字、観光収入増加で4か月連続黒字
〇4.48上回るうちは一段高余地あり、4.51超えからは4.52、4.53順次試す上昇を想定
〇4.48割れからは下向きとして4.46前後への下落を想定、4.46前後は買われやすい
【概況】
トルコリラ円の11月12日は概ね4.51円から4.46円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.50円で前日終値の4.47円から0.03円の円安リラ高だった。
11月6日の米大統領選開票速報でトランプ氏優勢と報じられたことをきっかけとしたドル円の急伸によりトルコリラ円は6日午前安値4.41円から7日午前高値4.52円へ急伸し、ドル円が目先の買い一巡とFOMCの利下げを通過して下落したために8日夜に4.43円へ反落したが、8日夜からドル円が反騰入りして13日未明には7日午前高値を超えたため、トルコリラ円も13日未明高値4.51円まで戻した。
ドル/トルコリラではリラ売り優勢の流れが続いて12日終値で終値ベースの史上最安値を更新したため、ドル円の一段高に対してトルコリラ円は7日午前高値超えには至らなかったが、ドル円を追いかける姿勢は変わらず11日から2連騰とした。
為替市場はトランプラリーによりドル全面高の様相であり、12日も米長期債利回りが大幅上昇し、10年債利回りが連騰で上昇し、2年債利回りが9月後半以降の最高を更新している。ドル円は米10年債利回りの騰落とほぼ相関して上昇しており、日銀の追加利上げ姿勢や155円に迫ったことによる市場介入への警戒感もあるが、今夜の米CPIや明日夜のパウエルFRB議長講演等を通過して上昇基調を継続すれば、トルコリラ円もドル円を追いかけて9月16日の史上最安値以降の高値更新へ挑戦する可能性があるのではないかと思われる。
【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値更新】
ドル/トルコリラの11月12日は概ね34.41リラから34.08リラの取引レンジ、13日早朝の終値は34.35リラで前日終値の34.32リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
11月1日に34.42リラを付けて8月28日安値34.41リラをわずかに超えて取引時間中の史上最安値を更新し、終値では1日の34.30リラから4日の34.33リラへ2営業日連続で最安値を更新し、その後は安値更新を回避していたものの、12日は34.41リラを付けて取引時間中の最安値に迫り、終値34.35リラで11月4日終値を超えて終値ベースの史上最安値を更新した。
為替市場は米大統領選でのトランプ氏勝利と上下院での与党共和党過半数超えの見通しにより、トランプ氏の掲げる関税強化や大型減税、規制緩和等によるインフレ再燃感とFRBの利下げペース鈍化見通しでドル全面高の様相となっている。12日もユーロドルやポンドドルが9月後半以降の最安値を更新しており、資源通貨の豪ドル米ドルが3営業日続落、南アランドやメキシコペソも対ドルで下落しており、ドル全面高がトルコリラへの売り圧力を強めている。
S&Pによるトルコ格付け引き上げや、トルコ中銀の金融引き締め継続、外貨準備高増加傾向等のプラス要因があるものの、年末に1ドル36リラ台へ下落するとの市場コンセンサスは変わらない。
【トルコ経常収支は4か月連続黒字】
12日に発表されたトルコの9月経常収支は29.88億ドルの黒字となった。慢性的な貿易赤字を海外観光客収入や海外からの投資で賄いながら構造的な経常赤字を続けてきたが、直近では観光収入増加により6月から4か月連続で黒字を計上している。ただし、2023年も6月、8月、9月、10月と黒字計上後は赤字に転落しており、夏場の観光最盛期が過ぎたため、今後は再び赤字へ転落しかねない状況と思われる。
12日に発表されたトルコの9月小売売上高は前月比2.3%増で8月の2.3%増と変わらず、前年同月比は15.9%増で8月の13.7%増を上回った。前年同月比は7月に6%増まで低下してから2か月連続で改善した。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月7日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、11日午前時点では4.46円超えからは強気転換注意として4.47円から4.48円を試す上昇を想定するとしていたが、11日深夜への上昇で4.48円まで戻したため、12日午前時点では8日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日午前から14日午前にかけての間への上昇を想定した。
13日未明へ続伸したため引き続きトップ形成中とみるが、7日午前高値とのダブルトップに留まる可能性もあるので4.48円割れを弱気転換注意とし、12日午後反落時安値4.46円割れからは弱気サイクル入りとして13日夜から15日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回る内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落継続を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は13日未明への上昇で70ポイントを超えてから60ポイント近辺へいったん低下した。55ポイントを上回るうちは一段高余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.48円を下値支持線、4.51円を上値抵抗線とする。
(2)4.48円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.51円超えからは4.52円、4.53円を順次試す上昇を想定する。4.52円以上は反落注意とするが、4.48円を上回っての推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.48円割れからは下向きとして4.46円前後への下落を想定する。4.46円前後は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は4.45円前後へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
11月14日
20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 グロス(11/1時点 930.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 ネット(11/1時点 611.6億ドル)
11月15日
17:00 10月 財政収支 (9月 -1005億リラ)
11月20日
23:30 10月 中央政府債務 (10月 8兆6490億リラ)
11月21日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 80.6)
16:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現状 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 11月15日時点
注:ポイント要約は編集部
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