トランプ・トレード続き9月16日以降の高値更新、155円に迫る
〇ドル円、祝日明けの米長期債利回り大幅上昇、11/13未明には154.91つける
〇ユーロやポンド、9月後半以降の最安値を更新、ドル高優勢感が強まり一段高へと進む
〇今夜の米CPIや明日のPPIきっかけに続伸なら、7/30高値155.21や4分の3戻し156.35目指すか
〇米連銀総裁、追加利上げの余地踏まえつつ、インフレ再燃への警戒感から利下げ継続への慎重姿勢強調
〇11/12の米長期債利回りは総じて大幅上昇、米主要株価指数は上昇一服
〇154.30上回るうちは上昇余地あり、155円超えからは155.35から155.65への上昇想定
〇154.30割れから続落なら下向き、154円割れからは下落継続とみて153.65から153.35への下落想定
【概況】
ドル円は11月13日未明に154.91円を付けて7日午前高値154.71円を上抜き9月16日安値139.57円以降の最高値を更新した。
11月6日の米大統領選開票速報でのトランプ氏優勢報道で6日午前安値151.28円から急伸し、7日午前に154.7円まで高値を伸ばした後は、目先のドル買い一巡と8日早朝のFOMCによる利下げを通過して8日夜安値152.14円まで下げ、6日午前からの急騰幅の4分の3を削ったが、152円台を押し目形成として反騰入りし、11日の日銀金融政策決定会合「主な意見」での追加利上げへの慎重姿勢、独連立政権崩壊でのユーロドルの急落等によるドル高優勢の流れで11日夜高値153.95円へ切り返した。
12日は祝日明けの米長期債利回りが大幅上昇し、ユーロやポンドが9月後半以降の最安値を更新したことでドル高優勢感が強まり、13日未明への一段高へと進んだ。
米下院選挙の最終確定はまだだが、与党共和党が大統領と上下院の過半数を制する「トリプル・レッド」の強い政治体制を構築する見通しのため、トランプ氏の掲げる一律10〜20%の追加関税による輸入価格上昇や、大型減税等による財政支出増大がインフレ再燃を招き、米FRBの利下げサイクルが中断する可能性が意識されて米長期債利回りが上昇していることがドル円の推進力となっている。
ドル円は11月7日高値を超えたことにより、9月16日安値からの上昇が9月27日までを一段目、10月28日午前高値までを二段目とし、11月6日午前安値を起点として三段目の上昇期に入ったことが再確認された印象だ。すでに7月3日高値161.94円から9月16日安値139.57円までの下落幅22.37円に対する3分の2戻し154.48円を超えている。
今夜の米CPI、明日夜の米PPIやパウエルFRB議長講演等をきっかけとして続伸する場合は、日銀追加利上げで急落する前の7月30日高値155.21円、4分の3戻し156.35円を目指すのではないかと思われる。
【ミネアポリス連銀総裁、利下げ中断の可能性に言及】
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は12日、米国のインフレが上振れすれば12月FOMCで利下げを見送る可能性があると指摘した。9月FOMCにおける来年4回の利下げ想定に対する妥当性についても「指標を精査する必要がある」とした。現状の金利水準については「わずかに景気抑制的で中立的ではない」として利下げ余地のあることも示したが、トランプ政権発足へ向けて大型減税や関税強化等について「議会の決定を見守らなければならない」と警戒感も示した。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は12日講演で、今後の金融政策は景気動向次第とし、「インフレ上振れリスクや雇用悪化リスクを含めたどのようなケースにもFRBは適切に対応できるポジションにある」と述べた。インフレが低下傾向にあるもののコアインフレ率が目標を根強く上回っていることは(インフレ上ブレ)リスクへのシグナルかもしれない」としてインフレ再燃への警戒感を示した。
両氏ともに追加利上げの余地を踏まえつつ、インフレ再燃への警戒感から利下げ継続への慎重姿勢を強調したと思われる。
【米債券市場は休場明けに大幅上昇、連日最高値更新を続けた米主要株価指数は上昇一服】
11月12日の米長期債利回りはトランプ政権発足へ向けたインフレ再燃と財政拡大懸念により総じて大幅上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.12%の大幅上昇で4.43%となった。6日のトランプ氏勝利報道による急伸で一時4.49%をつけて9月16日に付けた3.60%以降の最高を大幅に更新してからいったん下げたものの再上昇しており、日足終値ベースでは6日終値をわずかに超えてこの間の最高とした。30年債利回りは先週末比0.10%上昇の4.57%となった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末比0.09%上昇の4.35%となり、8日からの連騰で9月25日に付けた3.51%以降の最高を更新した。
一方で11日への連騰で史上最高値を更新したNYダウは一時100ドルを超える上昇だったものの前日比382.15ドル安と下落に終わり、ナスダック総合指数も前日比17.36ポイント安で6営業日ぶりに反落、S&P500指数も17.36ポイント安で6営業日ぶりに反落した。
いずれも前日までの史上最高値更新に対する利益確定売りで上昇一服とした印象であり、トランプ・ラリーによる株高基調は継続すると思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は11月6日午前安値151.28円から7日午前高値154.71円までの急騰後に反落したが、8日夜安値152.14円を押し目形成とし、6日午前安値から底上げをした上で13日未明に7日午前高値を超えて一段高に入った。155円手前での抵抗感もあり、目先は修正安を入れやすいところだが、中勢の上昇トレンドは継続とみる。
今夜の米CPI等をきっかけとして一段高する場合は13日深夜から14日の日中にかけての間への上昇を想定し、米CPIを挟んで下げる場合は13日深夜から15日夜にかけての間への下落を想定するが、いったん下げてから直前の下げ幅の半値以上を解消する反騰がみられる場合は次の上昇期に入る可能性があるとみる。
60分足の一目均衡表では11月11日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパンが悪化して下落する場合は先行スパン上限近辺を試すとみるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパンがその後に好転するところから上昇再開と考える。
60分足の相対力指数は13日未明に70ポイント台後半へ上昇してから60ポイント台へ低下した。55ポイントを上回るうちは一段高余地ありとするが、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.00円を下値支持線、155.00円を上値抵抗線とする。
(2)154.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、155円超えからは155円台中盤(155.35円から155.65円)への上昇を想定する。155.50円以上は反落注意とするが、154.30円を上回っての推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)154.30円割れから続落の場合は下向きとし、154円割れからは下落継続とみて153円台中盤(153.65円から153.35円)への下落を想定する。153.50円以下は反騰注意とするが、154円を下回っての推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
11/13(水)
22:30 (米) 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.6%)
22:30 (米) 10月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (9月 3.3%、予想 3.3%)
23:45 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、会議挨拶
27:00 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、講演
27:30 (米) シュミッド・カンザスシティ連銀総裁、講演
28:00 (米) 10月 月次財政収支 (9月 643億ドル、予想 -2110億ドル)
11/14(木)
09:30 (豪) 10月 新規雇用者数 (9月 6.41万人、予想 2.50万人)
09:30 (豪) 10月 失業率 (9月 4.1%、予想 4.1%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 1.8%、予想 -1.2%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 0.1%、予想 -1.8%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 0.9%、予想 0.4%)
21:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 1.8%、予想 2.3%)
22:30 (米) 10月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前月比 (9月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (9月 2.8%、予想 3.0%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.1万件、予想 22.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 189.2万人)
23:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、懇話会
25:00 (米) EIA週間石油在庫統計
29:00 (米) パウエルFRB議長、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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