ドル円見通し 米CPI発表後の反落から一段高、9月16日以降の高値更新(24/11/14)

トランプ・トレードは継続するとの見方でドル高が再開すると14日早朝に155.62円まで一段高した。

ドル円見通し 米CPI発表後の反落から一段高、9月16日以降の高値更新(24/11/14)

米CPI発表後の反落から一段高、9月16日以降の高値更新

〇昨日のドル円、市場予想通りの米CPI結果を受け154.32まで反落
〇その後、トランプ・トレード継続との見方でドル高再開、本日早朝155.62まで一段高
〇FRB高官、追加利下げ余地ありとの姿勢維持しつつ先行き不透明感示す
〇今夜のFRB議長講演、今後の利下げペースに対する認識に要注目
〇米10年債利回り上昇、2年債利回りは低下、株高基調は継続中
〇155.62超えからは156円台序盤への上昇を想定
〇154.70割れからは13日深夜安値154.32試しとする

【概況】

ドル円は11月6日の米大統領選でのトランプ氏勝利見通しで6日午前安値151.28円から7日午前高値154.71円へ急伸し、目先の買い一巡と8日早朝のFOMCによる追加利下げで8日夜安値152.14円まで下げて直前の上昇幅の4分の3を削ったが、トランプ政権発足後の大型減税・規制緩和・関税強化等によるインフレ再燃とFRBの利下げペース鈍化予想を背景とした米長期債利回り上昇で切り返しに入り、13日未明に7日午前高値を超えて夕刻には155.23円へ高値を伸ばした。
13日夜の米CPIが市場予想通りだったことでいったんドル安反応となり154.32円まで反落したが、トランプ・トレードは継続するとの見方でドル高が再開すると14日早朝に155.62円まで一段高した。

【米CPIへの反応は一時的でドル高基調は継続】

米労働省が13日に発表した10月CPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前月比が0.2%で9月と変わらず予想と一致し、前年同月比は2.6%で9月の2.4%から7か月振りの加速となったものの市場予想と一致した。コアCPI上昇率は前月比0.3%で9月と変わらず予想と一致し、前年同月比も3.3%で9月と変わらず予想と一致した。
発表当初は市場が懸念するほどのインフレ再燃ではなく12月FOMCでの0.25%利下げは可能との見方でドル安反応となったが、トランプ次期政権後のインフレ再燃への懸念は続くとして米10年債利回りが反騰に転じるとドル高がぶり返した。
ユーロドルはCPI通過後の一段安で1.0555ドルを付けて9月25日高値1.1213ドル以降の最安値を更新、ポンドドルも1.2683ドルへ一段安となり9月26日高値1.3434ドル以降の最安値を更新、豪ドル米ドルも0.6478ドルへ下落して9月30日高値0.6942ドル以降の最安値を更新しており、9月後半からのドル高基調が継続している。

【FRB高官、追加利下げ余地ありとの姿勢維持しつつ先行き不透明感示す】

ダラス連銀のローガン総裁は13日の講演で「持続的な雇用最大化と物価安定をもたらす状況に近づいている」とし、「FRBは追加利下げを行う可能性が高い」との認識を示したが、「利下げが行き過ぎれば、利上げに転じる必要に迫られかねない」とも述べた。
カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は「利下げ開始の時期が到来したものの、どれほど追加利下げをするかは見極めていく」と述べて、利下げサイクルのペースについては慎重な姿勢を示した。
セントルイス連銀のムサレム総裁は12月FOMCでの追加利下げについての判断は「時期尚早」とし、「インフレも若干強く、リスクはここ6カ月の予想よりも少し高い」ものの「中立金利へ向かう道中」として追加利下げ余地があるとの認識を示した。
市場は12月会合での0.25%利下げを想定しているが、来年の利下げペースは9月会合時点のFOMCメンバー予想よりも鈍化するとみている。今夜はパウエルFRB議長講演があり、今後の利下げペースに対する認識に注目が集まる。

【米10年債利回り上昇、2年債利回りは低下】

11月13日の米長期債利回りは10月CPI発表後にいったん低下したものの、10年債と30年債はその後に反騰し、2年債利回りは低下したままに留まるまちまちな動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.36%まで低下してから反騰して前日比0.02%上昇の4.45%とし、終値ベースでは9月後半以降の最高とし、30年債利回りは一時4.52%まで低下してからの反騰で前日比0.07%上昇の4.64%となった。
2年債利回りはCPI発表前に4.37%をつけて9月後半以降の最高としていたが、CPI発表後に4.25%まで低下した後もさほど戻せずに前日比0.06%低下の4.29%に終わった。トランプ・トレードにより10年債や30年債の利回り上昇継続感が強いものの、当面はまだ利下げ継続余地があるために2年債利回りの上昇にブレーキがかかった印象だ。

一方で米主要株価指数はまちまちとなり、NYダウは前日比47.21ドル高と上昇したが一時200ドル高を超えたところから上げ幅を削り、ナスダック総合指数は米10年債利回り上昇を嫌って50.66ポイント安と下落し、S&P500指数は1.39ポイント高と小幅上昇で11日の史上最高値からの高止まり状況を維持した。
総じて週初への大上昇に一服感がみられるものの株高基調は継続中と思われ、米10年債利回りの上昇基調も継続していることでドル円は騰勢を維持しやすい環境にあると思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は13日夜の米CPI発表直後にいったん下げてから一段高したため、13日深夜安値を押し目として新たな上昇期に入った印象であり、13日深夜安値154.32円を割り込まないうちは上昇余地ありとみる。
今夜の米PPIやパウエル議長講演、明日夜の米小売売上高等を騰勢を維持して推移するならば18日の日中から20日夕にかけての間への上昇を想定するが、逆にそれらをきっかけとしてドル安へ風向きが変わり13日深夜安値を割り込む場合は18日夜から20日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月11日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落継続を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は13日未明から13日夕への上昇時に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せて50ポイントをいったん割り込んだが、その後に一段高したことで上昇を継続しやすい姿とみて60ポイントを上回るうちは70ポイント台後半への上昇余地ありとする。50ポイント前後へ反落してもその後に60ポイントを超えるところから上昇再開とするが、50ポイント割れから続落し始める場合はいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.70円を下値支持線、14日早朝高値155.62円を上値抵抗線とする。
(2)154.70円を上回るうちは上昇余地ありとし、155.62円超えからは156円台序盤への上昇を想定する。156.25円以上は反落注意とするが、155円を上回っての推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)154.70円割れからは13日深夜安値154.32円試しとし、底割れ回避で155円台へ戻すところからは上昇再開と一段高を想定するが、13日深夜安値割れからは下落継続とみて153円台中盤への下落を想定する。

【当面の予定】

11/14(木)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 1.8%、予想 -1.4%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 0.1%、予想 -2.0%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
21:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 1.8%、予想 2.3%)
22:30 (米) 10月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前月比 (9月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (9月 2.8%、予想 3.0%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.1万件、予想 22.3万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 189.2万人、予想 188.0万人)
23:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、懇話会
25:00 (米) EIA週間石油在庫統計
29:00 (米) パウエルFRB議長、講演

11/15(金)
休場 ブラジル、インド
06:00 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
06:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
08:50 (日) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 0.7%、予想 0.2%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP速報値 年率換算 (4‐6月  2.9%、予想 0.7%)
11:00 (中) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 3.2%、予想 3.8%)
11:00 (中) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 5.4%、予想 5.6%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 1.4%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -2.8%)
13:30 (日) 9月 設備稼働率 前月比 (8月 -5.3%)
13:30 (日) 9月 第三次産業活動指数 前月比 (8月 -1.1%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 0.5%、予想 0.2%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4‐6月 0.7%、予想 1.0%)

16:00 (英) 9月 月次GDP 前月比 (8月 0.2%、予想 0.2%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.5%、予想 0.2%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -1.6%、予想 -1.1%)
16:00 (英) 9月 貿易収支・物品 (8月 -150.60億ポンド、予想 -162.00億ポンド)
16:00 (英) 9月 貿易収支 (8月 -9.55億ポンド、予想 -10.50億ポンド)
22:30 (米) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 0.5%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (10月 -11.9、予想 0.0)
22:30 (米) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 -0.4%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 10月 輸出物価指数 前月比 (9月 -0.7%、予想 -0.1%)
23:15 (米) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.3%、予想 -0.2%)
23:15 (米) 10月 設備稼働率 (9月 77.5%、予想 77.2%)
24:00 (米) 9月 企業在庫 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)


注:ポイント要約は編集部

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