ユーロドルは横方向のもみあい局面に
〇先週のユーロドル、独長期債利回り上昇で週を通してユーロ買いが目立つ
〇米雇用統計NFP、予想を大幅に下回り一時1.09台乗せを見るも引けにかけて反落
〇1月FOMCまでは米国の利下げ続く可能性が高く、一方的なドル高にもなりにくい
〇独10年債利回りも上昇してきていることから、横方向のもみあい局面に入りやすい
〇ユーロ円、9月安値からの平行上昇チャンネル中の動き続けやすく、61.8%戻し167.37がターゲット
〇今週は1.0775レベルをサポート、1.0925レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは値幅こそ大きくはないものの、週を通してユーロ買いの方が目立った週であったと思います。週前半に円の153円台後半と同様に1.07台後半で底固め、その後は米金利同様にドイツの長期債利回りの上昇が目立ち、週末に向けてじり高の動きを続けました。注目の雇用統計では予想を大幅に下回るNFPを見て一時1.09台乗せも見たものの引けにかけては反落、これは短期筋の週末前の利食いが出ていたと考えられます。
大統領選についてはドル円の週報に書いた通り、共和党がホワイトハウス、上院、下院のすべてを押さえるトリプル・レッドが見込まれています。そのことから、トランプ前大統領が就任すると良くも悪くも好きに動けるということとなり、公約実現によるドル買いの動きが当面は続きやすいと見られています。
こちら、ユーロの週報ではあまり注目されてはいないもののFOMCについて取り上げましょう。今回のFOMCでは0.25%の利下げ見通しで、CMEのFedウォッチャーの利下げ織り込み度でも先週末時点で98%織り込まれているため、おそらくは無風通過ということになりそうですが、次回12月に0.25%の追加利下げが行われるかについての言及があるかどうかが主要な材料という点で、FOMCよりもパウエル議長会見の方が注目されます。また今週から米国が冬時間となっているためFOMCは東京時間で午前4時とライブで見るには悩ましい時間になります。なお、Fedウォッチャーの利下げ織り込み度では12月FOMCでは0.25%の追加利下げが先週末時点で82%と、年末時点で4.25〜4.5%という見通しがほぼ固まってきたと言えます。
なお、大統領選の結果は東京の6日後場には大勢が判明し、利食いと新たなドル買いとで交錯しそうな感じはしますが、実際に新大統領が就任する1月20日まではバイデン政権が継続すること、金融政策的にも少なくとも1月FOMCまでは利下げが続くであろう可能性が高いことを考えると、一方的なドル高ということも無さそうです。またここに来てドイツの10年債利回りも上昇してきていることを考えると、ユーロドルは横方向のもみあい局面に入りやすいのではないかと見ています。
テクニカルはいつもの日足チャートをご覧ください。
8月・9月のダブルトップのネックラインを切ってからの下げは先々週安値1.07台半ばでいったん終わり、現在はその後の戻し局面という流れです。ただ、4月安値と9月高値の半値1.0906で先週の戻り高値がほぼ止まったことを見ると1.07台後半から1.09台前半が当面のレンジとなって行くと見てよさそうです。今週は1.0775レベルをサポートに、1.0925レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円日足を見ておきましょう。
これまでなかなか抜けられなかった7月高値と8月安値の半値戻し164.90(赤の太線)を上抜けたことで中期的に底打ちのパターンを形成しています。現状は9月安値からの平行上昇チャンネル(ピンク)の中での動きを続けやすいと言えますが、現在はサポートラインぎりぎりであるため、上記164.90水準までの押しは許容範囲と見てよいでしょう。上値のターゲットとしては61.8%戻しの167.37となります。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月4日(月)
**:** 東京市場休場、米国冬時間 ☆
17:50 フランス10月製造業PMI
17:55 ドイツ10月製造業PMI
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI
19:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
22:00 オーストリア中銀総裁講演
11月5日(火)
09:01 英国10月小売売上高
16:45 フランス9月鉱工業生産
18:30 英国10月サービス業PMI
27:30 シュナーベルECB理事講演
**:** 米国大統領選投開票 ☆
11月6日(水)
16:00 ドイツ9月製造業新規受注
17:50 フランス10月サービス業PMI
17:55 ドイツ10月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI
18:30 英国10月建設業PMI
19:00 ユーロ圏9月PPI ☆
20:00 スペイン中銀総裁講演
23:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆
11月7日(木)
16:00 ドイツ9月鉱工業生産、貿易収支
17:10 シュナーベルECB理事講演
19:00 ユーロ圏小売売上高
19:45 エルダーソンECB理事講演
21:00 英中銀MPC ☆
21:00 スペイン中銀総裁講演
21:30 英中銀総裁会見 ☆
22:30 レーンECB理事講演 ☆
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆
11月8日(金)
16:45 フランス9月貿易収支
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月28日(月)
ユーロドルはドル円のドル高に引っ張られてユーロ売りが先行し1.0782レベルの安値を見ましたが、その後はドル円が急速に水準を下げる動きとともに買い戻され、NY前場には1.0827レベルまで買い戻されました。ユーロ円の動きで相殺されるというこれまで同様のパターンで値幅自体は45pipsにとどまりました。
10月29日(火)
ユーロドルは東京市場では動かず欧州市場に入りドル円とともにユーロ円が上げたことから買いが出ましたが、すぐに米金利上昇の動きを受けてユーロ売りに転換、NY朝方には1.0769レベルの安値をつけました。その後はドル円同様にドル売りの動きから買い戻され1.08台に乗せて引けました。
10月30日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に発表されたGDP速報値が予想よりも強くユーロ買いが先行したもののすぐに反落。ADP直後に安値をつけ、引けにかけてはドイツの10年債利回りが2.4%台へと急速に上昇した動きを受け1.0871レベルまで上昇し若干押して引けました。
10月31日(木)
ユーロドルは小動き、欧州時間に発表されたCPI速報値もほぼ予想通りであったことから、ドル円のドル売りに引っ張られて1.0888レベルまで上昇。NY前場には安値圏へ押したものの引けにかけては1.08台へと戻しました。ただ値幅は狭く終日レンジは44pips止まりとなりました。
11月1日(金)
ユーロドルはドル円とともに雇用統計までは緩やかなユーロ安となっていました。雇用統計後の動きは一時1.09台に乗せたものの引けにかけては日中安値を下回り、1.08台前半へと押しての安値引けとなりました。
注:ポイント要約は編集部
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