円安加速で7月以来の101円台、豪経済指標まちまちもトレンドは強い
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、石破首相が植田日銀総裁との会談で「追加利上げの環境にはない」との方針を伝えたことで、早期の追加利上げ観測が後退。円は主要通貨に対して全面安となったことなどから豪ドルは7月30日以来となる101円台まで上昇した。
1日に発表された8月小売売上高は前月比0.7%増と市場予想の同0.4%増を上回る伸びとなった。減税と温暖な気候が家計消費を促進したことが背景で、政策金利を当面据え置くべきという見方を強める結果となり、豪ドルはやや上昇。
その後の2日には、前日に首班指名されたばかりの石破首相が植田日銀総裁と異例の早期会談を実施。植田総裁は記者団に対して「石破総理大臣には、日銀の金融政策について極めて緩和的な状態でしっかり経済を支えていく状態にあること。また、日銀の見通しどおりに経済が動いていけば金融緩和の度合いを調整していくことになるが、本当にそうかどうかを見極めるための時間は十分あると考えていて、丁寧に見ていきたいということを申し上げた」と述べた。
植田総裁は「石破総理大臣から金融政策について具体的にこうしてほしいというような話はなかった」と述べた一方、石破首相は「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。『これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展し、デフレの脱却に向けて推移していくことを期待している』と植田総裁に申し上げた」と記者団に述べた。
この石破首相の発言を受けて、早期の追加利上げ観測が後退し、円は主要通貨に対して売り優勢の展開に。豪ドルも目先の上値抵抗水準だった一目均衡表の雲上限を上回り、7月30日以来の101円台まで上昇した。
豪ドル・円(東京時間:9月30日―10月4日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 98円29銭
高値: 101円28銭
安値: 98円04銭
終値: 100円44銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
10月1日
10時30分、8月住宅建設許可(前月比)、前回:11.0%、市場予想:−5.4%、結果:−6.1%
10時30分、8月小売売上高(前月比)、前回:0.1%、市場予想:0.2%、結果:0.7%
10月3日
10時30分、8月貿易収支、前回:56.36億豪ドル、市場予想:55.20億豪ドル、結果:56.44億豪ドル
10月8日
8時30分、10月Westpac消費者信頼感指数(前月比)、前回:−0.5%
9時30分、9月NAB企業景況感、前回:3.0
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、円に振らされやすく、豪経済指標がまちまちで判断難しい状況だが、トレンドの強さが下支えとなりそうだ。
今週発表された小売売上高は想定以上に強い数字となったが、9月末に発表されたRBAが注目する8月消費者物価指数(CPI)は、前年比2.7%上昇と3年ぶりの低い伸びに留まったことから、豪経済指標は強弱入り乱れの状況にある。雰囲気としては、米国がソフトランディングとハードランディングの狭間で揺れた7−9月に似ている。今後、10月に発表されるCPI、生産者物価指数(PPI)が弱い数字であれば、11月5日のRBA会合での早期利下げ実施観測が再燃する可能性は高い。利下げ実施に至るまで、豪経済指標に一喜一憂する地合いが続きそうだ。
一方、円も就任したばかりの石破首相の言動に振らされやすくなっている。一週間前の9月27日は「高市トレード」で円は対ドルで146円台まで売られたが、石破氏が自民党総裁に決まった瞬間、円高に振れ30日には141円台まで急騰した。そして、石破首相が「早期の追加利下げに消極的」の考えを持っていることが判明すると、10月3日に147円台まで円安に振れた。さすがに、月末に衆議院選挙、11月5日に米大統領選挙をそれぞれ控えていることから、この水準からの一段の円安は想定しにくい。衆議院選挙の公約次第では再び140円台前半まで円が買われる可能性もあり方向感が見えにくい状況だ。
日足の一目均衡表では、雲上限を上回っているほか、転換線は基準線を上回り、遅行スパンも実線を上回るなど三役好転の状況にある。100円水準でのもみ合い後に上放れたことから、上を意識した地合いは強まりやすい。雲上限をサポートに7月24日以来の102円台回復も間近な状況だ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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