トルコリラ円見通し ドル円と共に乱高下、日銀金融政策決定会合の結果待ちへ
〇トルコリラ円、ドル円の反騰を見て9/19午前に4.22へ上昇し、いったん4.15台へ反落
〇その後、夜に4.22まで再び切り返した後に4.18近辺へ失速する乱高下
〇対ドル、9/19は概ね34.12から33.79の取引レンジ、中銀の現状維持に反応薄、持ち合い続く
〇週次の外貨準備高、前週からグロス及びネットで大幅増加、リラ高に寄与
〇トルコ中銀、予想通り政策金利の据え置き発表、先行きの利下げに言及
〇4.17を上回るうちは上昇余地ありとし、4.22超えからは4.24、4.25を順次試す上昇を想定する
〇4.16割れからは、4.14前後試しとする
【概況】
トルコリラ円の9月19日は概ね4.22円から4.15円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.19円で前日終値の4.18円からは0.01円の円安リラ高だった。
米FOMCが0.50%利下げを決定して利下げサイクル入りとしたことで発表当初にドル全面安となり、ドル売り一巡と米長期債利回り上昇によりドル高がぶり返したものの勢いは続かずに19日夜はポンドドルが一段高するなどドル安がぶり返して為替市場全般が乱高下に見舞われた。
ドル円は142円近辺から140.44円へ急落してからの反騰で19日午前に143.94円へ急伸し、いったん142.03円へ下げてから19日夜に143.76円へ切り返して20日未明に143円を割り込むなど143円を挟んだ乱高下状態となっている。
トルコリラ円もドル円が当初に急落したところで4.16円近辺から4.12円へ急落したがドル円の反騰を見て19日午前に4.22円へ急伸し、いったん4.15円台へ反落してから夜に4.22円まで再び切り返した後に4.18円近辺へ失速する乱高下となった。
本日昼頃の日銀金融政策決定会合結果と15時半からの植田総裁会見次第ではドル円の波乱もまだ続きかねず、トルコリラ円としては慎重にドル円の動向を追いかけたいところだが、為替市場全般がドル安優勢の流れに入ればドル円も円高材料に反応しやすくなり9月16日からの戻り一巡で下落再開しかねないところと注意したい。
【ドル/トルコリラは中銀の現状維持に反応薄、持ち合い続く】
ドル/トルコリラの9月19日は概ね34.12リラから33.79リラの取引レンジ、20日早朝の終値は34.03リラで前日終値の34.07リラからは0.04リラのドル安リラ高だった。
9月19日早朝の米FOMCによる0.50%利下げ決定から為替市場全般の乱高下が続いているもののトルコリラはさほど左右されず、19日夜にトルコ中銀が政策金利を6会合連続で据え置いたものの予想通りとして反応は鈍かったが、週次の外貨準備高が前週からグロス及びネットで大幅増加したことはリラ高に寄与した。
9月19日に発表された週次の外貨準備高は9月13日時点のグロスで921.6億ドルとなり9月6日時点の865.7億ドルから大幅増加し、ネットでも487.8億ドルとなり9月6日時点の397.4億ドルから大幅増加した。
ドル/トルコリラは8月28日に34.41リラへ取引時間中の最安値を大幅に更新した後は34リラを挟んだ持ち合いを続けているが、9月16日に一時33.58リラへ上昇して8月28日以降の高値としたところからはリラ安がやや再燃しており、9月17日終値34.08リラで8月30日終値を超えて終値ベースの最安値としてから19日までは3営業日連続で1ドル34リラ台の終値を維持している。
【トルコ中銀、予想通りの現状維持だが先行きの利下げに言及】
トルコ中銀は9月19日の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを50.0%で据え置いた。据え置きは6会合連続で市場予想通りだった。中銀は「インフレリスクに引き続き非常に注意を払う」とした上で、従来までの引き締め姿勢を継続するとの表現を削除したため、市場は今後の利下げへの地ならしと受け止めた。
9月13日のロイター社調査では、早ければ10月会合での利下げ開始が予想され、遅くとも第4四半期のいずれかのタイミングで利下げに踏み切るのではないかとの予想が示されている。トルコ中銀の月次ビジネスサーベイでもエコノミストの政策金利見通し予想中央値は3か月後で46.48%、12か月後で31.66%とされており、年末までには利下げが始まると見込まれている。
高インフレが低下傾向を示す中で利下げが始まれば、これまでの高インフレと高金利に圧迫されてきたトルコ経済にはプラス効果が期待されるものの、インフレが鈍化したとしても年末で40%台や30%台と高水準に留まり、金利水準も極めて高い水準にあることは変わらず、年末の為替レート予想は1ドル37リラ台へのドル高リラ安継続との見方がコンセンサスであることに変わりはない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラの概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月16日夕刻へ史上最安値を更新してから戻したために17日午前時点では16日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、19日未明へ反落してから18日早朝高値を上抜いたため、19日午前時点では19日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして21日早朝から25日朝にかけての間への上昇を想定した。
9月19日午前へ一段高した後は乱高下に入っているため4.17円を上回るうちは一段高余地ありとするが、4.17円割れからは弱気転換注意とし、4.16円割れからは弱気サイクル入りとして24日未明から26日朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では19日午前から乱高下が続いているものの先行スパンを上回っているので、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月18日早朝から19日午前への一段高に際して指数のピークがほぼフラットな弱気逆行を見せているため反落注意とし、60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント台前半への上昇を想定するが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは下落期入りとして20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.16円を下値支持線、4.22円を上値抵抗線とする。
(2)4.17円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.22円超えからは4.24円、4.25円を順次試す上昇を想定する。4.24円以上は反落警戒とするが、4.18円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.16円割れからは4.14円前後試しとする。4.13円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、ドル円と共に急落商状の場合は4.12円前後へ下値目途を引き下げ、週明けも安値試しへ向かいやすくなるとみる。
【当面の主な予定】
9月20日
16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 76.4)
23:30 8月 中央政府債務 (7月 8兆1060億リラ)
9月24日
16:00 9月 製造業信頼感指数 (8月 98.5)
16:00 9月 設備稼働率 (8月 75.4%)
17:00 8月 海外観光客数 前年同月比 (7月 2.6%)
9月26日
20:30 週次 外貨準備高・グロス 9月20日時点 (9月13日時点 921.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高・ネット 9月20日時点 (9月13日時点 487.8億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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