ユーロ ユーロドルは昨年高値を視野に(週報8月第4週)

先週はユーロドルにしては動きがあったという週でしたが、それでも177pipsとドル円が4円近く動いたのに比べると半分以下です。

ユーロ ユーロドルは昨年高値を視野に(週報8月第4週)

ユーロドルは昨年高値を視野に

〇先週のユーロドル、米国の9月利下げ開始確実視で、米金利低下によるドル売りから1.12台に乗せる
〇米国が年内3回以上の利下げ、ECBは年内の利下げは2回という見方がコンセンサス
〇米欧金利差の縮小思惑がユーロドルの買いに繋がる展開
〇今週、エコノミストのレーンECB理事の講演と欧州主要国のCPI速報値に注目
〇昨年高値1.1275レベル視野に入れる展開、7月まで高値圏として意識されてきた1.10の大台がサポート
〇米独10年債金利差とユーロドル比較チャート、金利差縮小見込んだ動きがユーロドルの動きとほぼ一致
〇今週は1.1075レベルをサポート、1.1275レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週はユーロドルにしては動きがあったという週でしたが、それでも177pipsとドル円が4円近く動いたのに比べると半分以下です。最近のドル円が動き過ぎということもありますが、ユーロドルにはもう少し動いて欲しいものです。材料としては米国雇用者数の下方修正とジャクソンホールでのパウエル議長講演と、どちらも米ドル材料ですが、雇用の悪化懸念で米国の9月から利下げ開始が確実となったことを受け、米金利低下によるドル売りからユーロドルも1.12台に乗せてきました。

米国が年内3回以上の利下げを行うのに対して、ECBは9月を含めて年内の利下げは2回という見方がコンセンサスとなっています。このことが米欧金利差の縮小思惑となり、ユーロドルの買いにつながっているというのが、ここまでの展開です。今週はECB関係者、特にエコノミストのレーンECB理事の講演と欧州主要国のCPI速報値が注目されますが、9月0.25%利下げという見通しには変化は出て来ないと考えています。

引き続き、欧州材料よりも米国材料のほうが動きに影響を与えやすいのですが、パリ・オリンピックで中断していたフランスの首相任命の動きが再開し、マクロン大統領は今日にも新首相を任命する予定であることを先週明らかにしました。ただ、第1党は左派連合の193議席である一方で、左派連合との連立を望まない動きもあり、与党連合166と共和党69を合わせた235議席を中心とした組閣となる可能性が高そうです。それでも過半数289議席には届かず、政権運営は簡単ではなさそうです。今夜以降動きが出てくると思いますが、動きによってはユーロの上値を抑える要因となりそうです。

テクニカルには今週は週足チャートから見て行きます。

ユーロドルは昨年高値を視野に

年初来高値を更新中ですが、昨年12月高値も上抜けてきたことで昨年高値1.1275レベルを視野に入れる展開です。また7月まで高値圏として意識されてきた1.10の大台がサポートとなってくるでしょう。

このことを踏まえていつもの日足チャートもご覧ください。

ユーロドルは昨年高値を視野に 2枚目の画像

上の方に見える赤の水平線が昨年高値の1.1275レベルです。また6月下旬の安値からのサポートとそれに平行に引いたラインによる上昇チャンネルを上抜けたことから、短期的にはこの上側のラインがサポートとなりやすく、現状は1.1075レベルに位置しています。

ユーロドルも動きが出てきたので期待も込めて、今週は1.1075レベルをサポートに1.1275レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週は米独金利差とユーロドルとの比較チャート(日足)です。

ユーロドルは昨年高値を視野に 3枚目の画像

ローソク足がユーロドル(左軸)、ラインチャートが米独10年債利回り差(右軸、上下反転)です。

こうして見ると長期債では既に米独金利差縮小を見込んだ動きがかなり強まり、その動きとユーロドルの動きがほぼ一致していることを確認できます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月26日(月)
17:00 ドイツ8月企業景況感

8月27日(火)
15:00 ドイツ4-6月期GDP改定値
19:45 オランダ中銀総裁講演
23:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆

8月28日(水)
15:00 ドイツ9月消費者信頼感
15:45 フランス8月企業景況感

8月29日(木)
18:00 ユーロ圏8月消費者信頼感
18:15 レーンECB理事講演 ☆
21:00 ドイツ8月CPI速報値 ☆

8月30日(金)
15:00 ドイツ6月小売売上高
15:00 ドイツ7月輸入物価
15:00 英国8月住宅価格
15:45 フランス8月CPI速報値 ☆
15:45 フランス7月PPI、消費支出
15:45 フランス4-6月期GDP改定値
16:35 シュナーベルECB理事、フィンランド中銀総裁、他講演
16:55 ドイツ8月失業率
18:00 ユーロ圏8月CPI速報値 ☆、7月失業率

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月19日(月)
週明けのユーロドルもドル円同様にドル売りが進み欧州市場序盤には前週高値を上回る動きを見せました。その後NY市場まではもみあいを続けていましたが、弱い米国経済指標にユーロドル買い(ドル売り)で反応し、ユーロドルは1.1086レベルまで上昇し高値引けとなりました。

8月20日(火)
ユーロドルはNY市場まで1.10台後半でのもみあいを続けていましたが、米金利低下の動きから1.1130レベルまで上昇し高値引けとなりました。

8月21日(水)
ユーロドルはNY市場まで1.11台前半の小動きを続けましたが、米国雇用者数改定とFOMC議事録の発表を受けた米金低下によるドル売りから1.1174レベルまで上昇、その後若干押して引けました。

8月22日(木)
ユーロドルはドル買い戻しの動きからNY市場までじり安、1.1098レベルの安値を見た後に若干戻して引けました。

8月23日(金)
ユーロドルはNY市場までは1.11台前半で方向感が出ないもみあいを続けていましたが、パウエル議長の講演を受け9月利下げ開始が明確になったとの判断から米金利が低下、ドル売りの動きから1.1201レベルまで上昇し高値引けとなりました。



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