トルコリラ円見通し 円高圧力続き前日に続いて史上最安値更新を更新
〇トルコ円、8/1午前ドル円一段安に合わせて4.47まで最安値更新し、ドル円反発により夜4.56まで戻す
〇その後米長期債利回りが続落したことでドル円が反落したため、8/2午前序盤には4.48台へ失速
〇対ドル、8/1は概ね33.20から32.91の取引レンジ、8/1はリラ売り一服感
〇8/2午前序盤は33.21を付けて最安値更新に迫る
〇8/5のトルコCPIに注目、前月比は再上昇、前年同月比は鈍化が見込まれている
〇4.53超えからは、4.55手前への上昇とその後の反落を想定する
〇4.47割れからは、4.45前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月1日は概ね4.56円から4.47円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.51円で前日終値の4.53円から0.02円の円高リラ安だった。
7月後半からのドル高リラ安に加えてドル円の大幅下落が続いてきたことでトルコリラ円は7月31日に4.50円へ下落して7月3日高値4.98円以降の安値を更新するとともに3月13日安値4.52円を割り込んで史上最安値を更新した。
8月1日午前にドル円が一段安したところで4.47円まで最安値を更新し、8月1日夜にかけては日米金融政策決定会合を通過したことで持ち高調整的にドル円が反発したために4.56円まで戻したが、米経済指標が総じて弱かったことで米長期債利回りが前日の大幅低下から続落したことでドル円が反落したために2日午前序盤には4.48円台へ失速している。
ドル円は7月3日高値161.94円から8月1日安値148.50円まで13.44円の大幅下落に見舞われ、1日夜に150.87円までいったん買い戻されたものの2日午前に149円を一時割り込むなど円高基調から抜け出せずにいる。日銀の利上げと植田総裁の年内追加利上げに対する言及及びFOMCの9月利下げと年内追加利下げ見通しについては市場もある程度織り込んだが、今夜の米雇用統計が低調で米長期債利回りがさらに低下するようだと円高が継続してトルコリラ円もさらに最安値更新を強いられる可能性もあると注意したい。
【対ドルで最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの8月1日は概ね33.20リラから32.91リラの取引レンジ、2日早朝の終値は33.09リラで前日終値の33.14リラから0.05リラのドル安リラ高だった。
7月23日高値32.57リラからのリラ売りの再開で31日に33.26リラへ取引時間中の史上最安値を更新するとともに終値ベースの最安値も33.14リラへ大幅に更新した。8月1日はリラ売り一服感でややドル安リラ高となったものの33リラ以下は売られており、8月2日午前序盤は33.21リラを付けて最安値更新に迫っている。
ムーディーズによるトルコの2段階格上げやトルコ中銀の政策金利50%維持による引き締め姿勢でのリラ買いは続かず、欧州や中国の景気鈍化によるトルコ輸出停滞への懸念と足元の景気の弱さが重石となっている。中東情勢も地政学的なリスクとしてリラ売り要因だが、イスラエルがレバノン首都ベイルートを空爆してヒズボラとの全面戦争化が懸念され、イラン滞在中のハマス最高幹部がイスラエルに殺害されたことで4月に全面衝突へ一触即発状態まで緊張が激化した経緯のあるイランとイスラエルの関係が再び悪化したこと、エルドアン大統領がかつてのリビアやナゴルノカラバフへの軍事介入を引き合いに出してイスラエルがレバノン侵攻なら軍事介入を辞さずと述べるなど緊張感が増している。
イスタンブールの7月製造業PMIは47.2となり6月の47.9から悪化したが今年2月の50.2をピークとして5か月連続で低下している。
【8月5日のトルコCPIに注目】
8月5日にトルコの7月CPI(消費者物価指数)の発表があり、前月比は6月の1.64%から3.45%へ再上昇するものの前年同月比は6月の71.60%から62.10%へ鈍化すると見込まれている。
8月1日に発表されたイスタンブールの7月RPI(小売物価指数)は前月比4.21%となり6月の3.42%を上回ったものの前年同月比は72.8%となり6月の82.14%から低下し、WPI(卸売物価指数)は前月比1.04%となり6月の3.85%から鈍化して前年比も55.12%で6月の60.49%から鈍化した。
7月のCPIが予想以上に鈍化する場合はトルコ中銀の年後半利下げ期待が浮上すると思われるが、かえって利下げ予想がリラ安要因となりかねず、年末にかけてインフレが鈍化しても1ドル37リラを超えるリラ安へ進むのではないかとの市場コンセンサスは継続している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月26日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして30日夕から8月1日夜にかけての間への下落を想定してきたが、8月1日午前安値へ一段安してから1日夜へ反騰して再び反落しているため、8月1日午前安値を直近のサイクルボトムとして戻したもののすでに8月1日夜高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしている可能性が高いと思われる。8月1日午前安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、1日午前安値割れからは弱気サイクル入りとして6日午前から8日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月1日夜の反発時に遅行スパンが一時好転してものの再び悪化し、先行スパンの下限に届かず失速しているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込めないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは反騰継続の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月1日夜の上昇時に60ポイントに迫ってから40ポイント割れへ低下したため一段安余地ありとして20ポイント台への低下を想定する。50ポイント前後は戻り売り有利とし、反騰期入りには55ポイント超えから続伸する勢いの上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.47円を下値支持線、4.53円を上値抵抗線とする。
(2)4.53円前後は売られやすいところとし、4.53円超えからは4.55円手前への上昇とその後の反落を想定する。
(3)4.47円割れからは4.45円前後への下落を想定する。4.45円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は4.43円前後へ下値目途を引き下げ、4.52円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月5日
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 1.64%、予想 3.45%)
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 71.60%、予想 62.10%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (6月 1.64%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (6月 71.4%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 1.38%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 50.09%)
注:ポイント要約は編集部
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