ドル円見通し 日米金融政策決定会合通過後の買い戻し続かず円高基調継続か
〇ドル円、FOMCが9月会合での利下げ検討を明言したことから、8/1午前148.50円へ続落
〇8/1夜150.87まで戻したが、米長期債利回りが続落したため、8/2早朝148.98へ下落
〇今夜は米7月雇用統計発表、ドル円は反騰期に入れるか、円高継続とするのか分岐点になりそう
〇昨日発表の米経済指標は総じて弱い結果、景気減速への懸念も強まる
〇米長期債利回りは米経済指標悪化や中東情勢悪化の懸念から大幅続落、米株価指数は大幅反落
〇150.00から150.50にかけては戻り売り有利とし、150.50超えからは150.87試しとする
〇8/1午前安値148.50割れからは、148.00、147.00、146.00を順次試して行く下落を想定する
【概況】
ドル円は7月30日深夜に日銀が利上げ検討に入ったとの報道をきっかけに急落し、31日に日銀が0.25%程度への利上げを決定したことで151.59円へ下落し、午後に植田総裁が年内の追加利上げに言及したことで31日夜に150円を割り込み、FOMCが9月会合での利下げ検討を明言したことによるドル安で8月1日午前に148.50円へ続落して7月30日午後高値155.21円からの下げ幅は6.71円、7月3日高値161.94円からの下げ幅は13.44円に拡大した。
8月1日夜にかけては日米会合を通過したことによる持ち高調整で150.87円まで戻したが、1日夜の米経済指標が総じて弱かったことや中東情勢の悪化を意識して米長期債利回りが続落したために2日早朝には148.98円へ下落して安値更新への余裕が乏しくなっている。
今夜は米7月雇用統計があり、非農業部門雇用者数は6月の20.6万人増から17.5万人増へ減速し、インフレ指標である平均時給伸び率は前年比で6月の3.9%から3.7%へ鈍化すると見込まれている。ドル円としては米雇用統計通過後に当面の円買いドル売りイベントを消化して反騰期に入れるか、米長期債利回り低下がさらに続くとみて円高継続とするのか分岐点になりそうだ。
【米経済指標は総じて弱く景気減速への懸念も強まる】
8月1日に米労働省が発表した4-6月期非農業部門労働生産性は年率換算で前期比2.3%上昇となり1-3月の0.4%から大幅に改善して市場予想の1.7%も上回った。四半期単位労働コストは1-3月期の3.8%から0.9%へと大幅に低下して市場予想の1.8%を下回った。これらは労働コストの伸びが抑制されて賃金インフレ圧力が低下していることを示唆しており、FOMCの利下げ判断に寄与すると受け止められた。
米労働省による新規失業保険申請件数は7月27日までの週間で前週比1万4000件増の24万9000件と2週ぶりに悪化して市場予想の23万6000人を上回り昨年8月以来の高水準となり、4週平均も23万8000件で前週から2500件増となった。失業保険受給者総数は7月20日までの週間で187万7000人となり前週から3万3000人増加した。
米ISM(サプライ管理協会)による7月の製造業景況指数は46.8となり6月の48.5から悪化して市場予想の48.8を下回った。好不況の分岐点である50割れは4か月連続で新規受注が49.3から47.4へ、生産が48.5から45.9へ、雇用が49.3から43.4へ低下したため、株式市場には9月利下げ期待への楽観よりも足元の景気悪化懸念が勝る印象を与え、債券市場では債券買い・利回り低下反応を助長した。
【米長期債利回りは大幅続落、米株価指数は大幅下落】
8月1日の米長期債利回りは総じて低下した。FOMCが9月利下げ期待を濃厚として年内追加利下げの可能性も高まったことで前日に大幅低下したが、1日も米経済指標悪化や中東情勢を懸念した安全資産買いで債券高・利回り低下となった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%低下の3.98%となり7月31日の0.11%低下から続落して7月25日からは6営業日連続の低下となり半年ぶりに4%を下回った。30年債利回りも0.03%低下の4.28%となり31日の0.09%低下から続落して4月25日に付けた年初来ピークである4.85%以降の最低を更新、2年債利回りも前日の0.10%低下から0.11%低下と大幅続落して4.15%となり4月30日に付けた年初来ピークの5.05%以降の最低を更新した。
一方で米国主要株価指数は総じて大幅下落した。NYダウは7月31日に一時450ドル高を超える上昇後に上げ幅を削って99.46ドル高で終了していたところから1日は494.82ドル安と大幅下落し、ナスダック総合指数は前日の451.98ポイント高を解消する405.25ポイント安の反落となりS&P500指数も前日の85.86ポイント高から75.62ポイント安と反落した。
利下げ期待よりも足元の景気後退リスクが意識されたことと中東情勢の悪化や米大統領選挙の混迷見通しでいわゆる「トランプラリー」関連株が売られたことも影響したようだが、株安と米長期債利回り低下が並走する場合はドル円への下落圧力も強まりかねないところだ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は7月30日午後高値155.21円からの大幅下落がまだ落ち着いていないが、8月1日午前安値148.50円から1日夜高値150.87円まで2円を超える反発から失速して安値更新に余裕が乏しいため、1日夜高値超えからはいったん戻しに入るとみて2日夜から6日夜にかけての間への上昇を想定するが、1日午前安値割れからは下落長期化を警戒しつつ6日午前から8日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月1日夜の反発時に遅行スパンが好転したものの早々の悪化し、先行スパンの下限には届かずに転落状況が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンに潜り込めないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とする。先行スパンへ潜り込むところからはいったん戻しに入る可能性ありとし、1日夜高値超えからは反騰期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月1日夜の上昇時に50ポイント台後半に付けたもののその後の反落で40ポイントを割り込んでいるため一段安警戒として20ポイント前後への低下を想定する。強気転換には50ポイント超えから55ポイント超えへ続伸する勢いのある上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月1日午前安値148.50円を下値支持線、8月1日夜高値150.87円を上値抵抗線とする。
(2)150.00円から150.50円にかけては戻り売り有利とし、150.50円超えからは150.87円試しとするが、150.87円手前は反落しやすいと注意する。
(3)8月1日午前安値割れからは148.00円、147.00円、146.00円を順次試して行く下落を想定する。
※7月3日からの下落規模はすでに昨年11月13日高値151.90円から12月28日安値140.24円までの11.66円を超えており、2022年10月21日高値151.94円から2023年1月16日安値127.22円までの下落規模24.72円に迫る可能性も警戒しておきたい。
【当面の予定】
8/2(金)
10:30 (豪) 4-6月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (1-3月 0.9%)
10:30 (豪) 4-6月期 PPI(生産者物価指数) 前年同期比 (1‐3月 4.3%)
21:30 (米) 7月 非農業部門就業者数 前月比 (6月 20.6万人、予想 17.5万人)
21:30 (米) 7月 失業率 (6月 4.1%、予想 4.1%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前年同月比 (6月 3.9%、予想 3.7%)
23:00 (米) 6月 製造業新規受注 前月比 (5月 -0.5%、予想 -2.9%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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