歴史的な急落で90円台割り込む、反発期待も豪ドル次第の地合いに
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、他の主要通貨同様、円が急騰したことから、4月19日以来の90円割れの場面が見られた。
7月11日の米6月消費者物価指数発表以降、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ実施観測が強まった一方、日本当局は11日と12日に連続で円買い米ドル売り介入を実施したもよう。円買いのトレンドが強まっていたなか、日本の与党政治家から相次いで「早期の金融政策正常化を実施すべき」といった発言があったことから、7月30−31日開催の日銀金融政策決定会合での利上げ実施への思惑が徐々に強まった。
日本の長期金利の指標となる10年物国債利回りは1.10%と足元の高値水準まで上昇したことで、日米金利差縮小が意識されて、投機筋の円売りポジション解消が加速。日米株の急落でリスク回避の円買いも入り、円は主要通貨に対して全面高の展開に。25日、NZドルは4月19日以来となる90円台割れも見られた。週間ベースでの下落幅は5円20銭。7月月間の下落幅は9円87銭とコロナショックで急落した2020年3月の8円62銭を超える値幅となった。
NZドル・円(東京時間:7月22日―7月26日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値:94円65銭
高値:95円00銭
安値:89円80銭
終値:90円62銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
7月22日
7時45分、6月貿易収支、前回:0.54億NZドル、結果:6.99億NZドル
7月31日
7時45分、6月住宅建設許可(前月比)、前回:−1.7%
10時00分、7月ANZ企業信頼感、前回:6.1
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、短期的な急落に対する反発が入りそうな地合いだ。目立った経済指標の発表が予定されていないことから、経済的なつながりのあるオーストラリアや中国経済を見極める展開となろう。特にオーストラリアは消費者物価指数や小売売上高と重要な経済指標の発表を控えていることから、豪ドルが反発した場合、NZドルはその動きにつられよう。
もっとも、金利引き上げ観測が残っている豪ドルに対して、NZドルはインフレ減速の兆しが見えたことから利下げ観測が強まっており、豪ドル・NZドルは1.11と2022年10月以来の高い水準まで上昇。今しばらく相対的には豪ドルが強含むと考える。
7月10日から25日までの12営業日中、陽線をのこしたのはわずか1日(7月18日)だけで、20年3月のコロナショックでも見られなかったチャート形状となっている。日足の一目均衡表では、雲下限を下放れているほか、遅行スパンも実線を下回っており、転換線、基準線は下向きだ。トレンドは明確に悪化していると言えよう。50日移動平均線に続き100日移動平均線も下向きに転じたことから、今後はこれらの水準が上値抵抗として意識されそうだ。豪ドル同様、短期的な反発を期待したいところだが、雲下限が93円台後半で推移していることから、3円超のリバウンドは厳しいか。オーストラリアと中国経済次第といった状況だ。
NZドル円日足
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