急落続き年初来安値を更新、週足の雲上限で下げ止まるか注目
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、日米金融政策の転換をきっかけとした円高加速や、インフレ鈍化懸念が高まった豪ドル安などにつられ、88円37銭まで下落。1月2日の88円62銭を下回る年初来安値を更新した。
7月31日に日本銀行が開催した金融政策決定会合の結果、国債買入額の減額と追加の利上げ実施を発表。事前に伝わっていた内容通りだったが、その後行われた植田日銀総裁が記者会見で「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利上げていく」とタカ派な発言が意識されて円は主要通貨に対して強い動きを示した。
また、同日に米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)にて、8会合連続の政策金利据え置きを発表した後、パウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げ実施を示唆したことで、日米金融政策の転換が市場で強く意識されて円高が加速。対ドルでは148円台と約4カ月ぶりの水準まで円高が進んだ。
そして、経済的なつながりの強いオーストラリアでは、第2四半期の消費者物価指数(CPI)のコアインフレ率は市場予想を下回り、追加利上げ観測が大きく後退。豪ドル急落の流れにつられ、NZドルもきつい下げを見せ、週間ベースでは3円18銭。先週の値幅5円20銭より下げ幅は小さくなったが、1月2日安値88円62銭を割り込み年初来安値を更新した。
なお、7月の値幅は10円94銭とサブプライムショック発生時の2008年10月(22円84銭)以来の値幅となった。
NZドル・円(東京時間:7月29日―8月2日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:90円77銭
高値:91円55銭
安値:88円37銭
終値:88円69銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
7月31日
7時45分、6月住宅建設許可(前月比)、前回:−1.9%、結果:−13.8%
10時00分、7月ANZ企業信頼感、前回:6.1、結果:27.1
8月7日
7時45分、第2四半期失業率、前回:4.3%
8月8日
12時00分、第3四半期2年インフレ予想、前回:2.3%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、短期的な急落に対する反発が入りそうな地合いだが、7月19日から8月1日まで10日連続陰線を残しており安易に手は出せない状況だ。
7日に第2四半期失業率や、第3四半期2年インフレ予想など重要な経済指標が発表されるものの、円やドルにスポットが当たっていることからNZドルは外部環境に振らされる地合いとなろう。6日にオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)が政策金利を発表するが、足元のインフレ鈍化を受けてタカ派な声明は期待できない。既に織り込まれていると考えるが、ボラティリティが非常に大きいことから、RBA声明のタイミングで豪ドル一段安という展開は警戒したい。
日足の一目均衡表では、雲を大きく下放れておりトレンドは弱い。200日移動平均線を下回っていることから短期的には下値模索といった状況だ。週足では、雲上限が位置する89円05銭水準が意識されるか注目だ。2日の終値ベースでこの水準を上回っていた場合、反発が入る可能性はあろう。史上最高値水準から一気に年初来安値更新という非常に珍しい相場展開のため、投資家マインドは最悪と推測するが、反発を狙う投資家は多いだろう。週足の雲上限水準を注目したい。
NZドル円日足
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