3月以来の96円台まで急落、6日のRBA声明に注目
【今週の豪ドル】
今週は、日米金融政策の転換をきっかけとした円高加速や、国内経済指標でインフレ鈍化懸念が高まったことから豪ドル安が進み、96円台まで下落した。
7月31日に日本銀行が開催した金融政策決定会合の結果、国債買入額の減額と追加の利上げ実施を発表。事前に伝わっていた内容通りだったが、その後行われた植田日銀総裁が記者会見で「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利上げていく」とタカ派な発言が意識されて円は主要通貨に対して強い動きを示した。
また、同日に米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)にて、8会合連続の政策金利据え置きを発表した後、パウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げ実施を示唆したことで、日米金融政策の転換が市場で強く意識されて円高が加速。対ドルでは148円台と約4カ月ぶりの水準まで円高が進んだ。
そして、7月31日、オーストラリア統計局が発表した第2四半期の消費者物価指数(CPI)は、住宅や食品の値上がりを受けて前年比の伸びが加速したが、コアインフレ率は市場予想を下回り、追加利上げ観測が大きく後退。年内にも利下げが実施されるとの見方が強まった。
豪ドルは7月30日から下げ足を強め陰線が並ぶ売り優勢の地合いとなった。3月12日以来の96円台と週間ベースでは5円19銭と先週の6円19銭に並ぶ大きな下落に。
豪ドル・円(東京時間:7月29日―8月2日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 100円74銭
高値: 101円80銭
安値: 96円61銭
終値: 96円92銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
7月30日
10時30分、6月住宅建設許可(前月比)、前回:5.7%、市場予想:−2.8%、結果:−6.5%
7月31日
10時30分、6月小売売上高(前月比)、前回:0.6%、市場予想:0.2%、結果:0.5%
10時30分、第2四半期小売売上高(前期比)、前回:−0.4%、市場予想:−0.2%、結果:−0.3%
10時30分、6月消費者物価指数(前年比)、前回:4.0%、市場予想:3.8%、結果:3.8%
10時30分、第2四半期消費者物価指数(前期比)、前回:1.0%、市場予想:1.0%、結果:1.0%
10時30分、第2四半期消費者物価指数(前年比)、前回:3.6%、市場予想:3.7%、結果:3.8%
8月1日
10時30分、6月貿易収支、前回:50.52億豪ドル、市場予想:51.50億豪ドル、結果:55.89億豪ドル
8月2日
10時30分、第2四半期生産者物価指数(前期比)、前回:0.9%、結果:1.0%
10時30分、第2四半期生産者物価指数(前年比)、前回:4.3%、結果:4.8%
8月6日
13時30分、8月中銀政策金利、前回:4.35%、市場予想:4.35%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、短期的な急落に対する反発を期待したい局面だが、「落ちるナイフ」を前に手を出しにくい状況にある。6日のオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)が政策金利を発表するが、インフレ鈍化に伴うハト派な発言が警戒されていることから、反発のきっかけとはならないとの見方が強まっている。
RBAは先月、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを5会合連続で4.35%に据え置いた。理事会はインフレの上振れリスクを踏まえ利上げの是非を議論したが、労働市場が急速に軟化するとの懸念が利上げ実施の障害となってきた。今回のCPI下振れを受けて、これまでのタカ派見通しは転換すると見られ、8月会合以降の9月24日、11月5日、12月10日の3会合での利下げ実施の思惑が急浮上した。RBAは欧米中銀とは金融政策の方針が異なることで、相対的に豪ドルは強いと見ていた。ただ、その前提である高いインフレが一服となったことで、景気のブレーキ役でもある高い金利を是正すべきという声が一気に強まってもおかしくはない。RBA声明に関心が向かおう。
日足の一目均衡表では、雲を大きく下回り、転換線、基準線ともに下向きで遅行スパンも当然ながら実線を下回っている。下値支持として期待された200日移動平均線も下回ったことで下値模索の状況と言えよう。一方、週足では、雲上限が95円80銭水準で推移していることから、この水準で下げ止まる展開に期待したい。「落ちるナイフはつかむな」という投資の格言は有名だが、まずはこの水準で下げ止まるか注目したいところだ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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