ECB理事会結果のポイント:「想定線の結果で動意薄だが、ユーロ・円はピークを迎えた可能性も」(24/7/22)

7月18日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会は、主要政策金利を据え置き4.25%とした。

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ECB理事会結果のポイント:「想定線の結果で動意薄だが、ユーロ・円はピークを迎えた可能性も」(24/7/22)

想定線の結果で動意薄だが、ユーロ・円はピークを迎えた可能性も

【今回のポイント】

〇 想定通り政策金利は4.25%を据え置き
〇 追加利下げに関しても想定通りの「データ次第」
〇 7月11日の175円95銭が円安ユーロ高のピークの可能性アリ

【ECB理事会の結果】

欧州中央銀行(ECB)理事会は、主要政策金利を据え置き4.25%とした。経済情勢判断のテキストに「サービス価格の上昇を押し上げ要因として総合インフレ率が2025年も目標を上回って推移する可能性がある」という内容の文言が新たに書き加えられるなど、サービス価格の上昇によるインフレ率の押し上げに対する警戒感が示されたが、市場コンセンサス通りの内容だったと言えよう。

ラガルドECB総裁は記者会見で下記のような発言をした。

「今回はレーン専務理事の提案を全員が支持した」
「同じように全会一致で決定されたのは、データに依存すること、会合ごとに決定すること、そして金利の道筋をあらかじめ決めないことだ。9月にどうするかは全く決まっていない」
「現在進行中のディスインフレプロセスが追加データによって実際に確認されれば、われわれの確信はさらに強まるだろう」
「データ依存とは、ある一時点においての依存を意味しない」
「(インフレは)来年下半期にかけて目標に向かって低下すると予想される」
「金融政策が予想以上に需要を抑制したり、世界の他の地域の経済環境が予想外に悪化したりすれば、インフレは下振れする可能性がある」

【市場の反応】

市場コンセンサス通りの内容だったこともあり、ユーロは対円で171円台、対ドルでは1.088から1.094ドル水準と、ともに小動き推移となった。日本当局が、12日の朝方にレートチェックを行ったとのニュースはあったが、その後、円買いユーロ売り介入が実施されたような報道及び値動きは観測されていないことで、今時点での日本当局の動きはレートチェック止まりのもよう。

【今後、ユーロはどう動く?】

為替市場では、トランプ前米大統領が「円安ドル高批判」を行ったことで、円とドルの動向に関心が集まっており、ユーロは蚊帳の外である。7月末に日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えていることから、しばらくはドルと円を中心とした地合いとなろう。

ユーロは対円で日本当局によるレートチェック実施報道を受けて、緊張感のある相場展開となったが、少なくても174−5円水準まで円安ユーロ高が進まない限り、史上初となる円買いユーロ売り介入は実施されないだろう。16日時点のCFTCの投機筋による円売りポジション(先物のみ)は、差し引き15.1万枚と9日時点との比較では3.1万枚も減少している。4月30日時点から5月7日時点の3.4万枚の減少以来の大きさだ。この大きな減少幅の要因は、当然ながら日本当局と見られる円買いドル売り介入実施とユーロでのレートチェック実施が大きく影響している。

日本当局の姿勢とトランプ前米大統領の言動などを考慮すると、投機筋の円売りポジションが再び積み上がる展開は想定しにくい。つまり歴史的な円安ユーロ高相場は、転換点を迎えた可能性がある。7月11日につけたユーロ・円の175円95銭という水準が長期的な円安ユーロ高トレンドのピークと考える。

【2024年スケジュール】

※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
1月22日−23日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持
3月18日−19日・・・マイナス金利の解除、YCC終了、ETF等の買い入れ終了
4月25日−26日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持、展望レポート見通し引き上げ、記者会見後は円全面安の展開
6月13日−14日・・・国債買い入れ額を引き下げる方針を決定、詳細は7月に公表
7月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
9月19日−20日
10月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
12月18日−19日

米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月30日−31日・・・4会合連続で金利据え置き
3月19日−20日・・・5会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長は、年内利下げの可能性を再表明
4月30日−5月1日・・・6会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長はややハト派な発言
6月11日−12日・・・7会合連続で金利据え置き、24年利下げ回数は3回から1回に修正
7月30日−31日
9月17日−18日
11月 6日− 7日
12月17日−18日

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
1月25日・・・現状の金融政策を維持、利下げの議論は時期尚早
3月 7日・・・現状の金融政策を維持、6月利下げ開始を示唆する発言
4月11日・・・現状の金融政策を維持、大きなサプライズが無い限り6月利下げ開始か
6月 6日・・・想定通り政策金利を0.25%引き下げ、追加利下げは明言せず
7月18日・・・現状の金融政策を維持、追加利下げは明言せず
9月12日
10月17日
12月12日

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