ドル円の波乱で一時下げるもドル安リラ高の継続も加勢して4連騰
〇昨日のトルコ円、ドル円の一段高に合わせ4.98へ高値伸ばす
〇その後ドル円急落で4.94にいったん下げるも、7/4早朝に4.97まで切り返す
〇4/29以降の上値抵抗帯を突破したことで日足チャートは三角持ち合いから上放れに入る
〇円安による押し上げ効果継続により、5円台を目指す可能性も
〇対ドル、7/3は概ね32.64から32.30の取引レンジ
〇ドル/トルコリラ、6連騰するも上昇一服感で32リラ台序盤に留まる
〇トルコ中銀の金融引き締め継続、外貨準備高増加傾向等がリラ買いに寄与か
〇4.94を上回るうちは4.98超えから4.99、5.00を順次試す上昇を想定
〇4.94割れからは下向きとして4.92前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の7月3日は概ね4.98円から4.94円の取引レンジ、4日早朝の終値は4.96円で前日終値と同値だったものの小数点下四桁では4.9641円で2日終値4.9596円を超えて4連騰とし、3月13日安値4.52円以降の最高値を更新した。
ドル円は7月3日19時台に161.94円へ上昇してこの間の最高値を更新したが、3日夜の米経済指標が軒並み弱かったことで米国の9月利下げ期待が増したとして米長期債利回りが低下してドル全面安となったために23時台安値で160.77円まで急落したが、深夜以降はドル売りが収まったことと歴史的な円安は継続とみられて突っ込んだところを買い拾われると4日早朝には161.74円まで切り返しており、3日深夜安値を押し目として上昇トレンドを維持した印象だ。
トルコリラ円はドル円が一段高へ進む過程で4.98円へ高値を伸ばし、3日深夜にドル円が急落した場面で4.94円までいったん下げたものの4日早朝に4.97円まで切り返している。
7月4日午前序盤はドル円が戻り一服でやや上値が重くなり、6連騰したドル/トルコリラでもややリラ売りがみられることで上値が重くなっているものの、4月29日以降の上値抵抗帯を突破したことで日足チャートは三角持ち合いから上放れに入ったこと、ドル円も市場介入なく政府日銀の防衛ラインを試すように日々高値を切り上げてきているため円安による押し上げ効果は続くことも期待されるため、ドル円の一時的な反落で下げるところを買い拾われながら5円台を目指して行く可能性も出てきているのではないかと考える。
【対ドルでドルトルコリラは6連騰だが32リラ台序盤に留まる】
ドル/トルコリラの7月3日は概ね32.64リラから32.30リラの取引レンジ、4日早朝の終値は32.53リラで前日終値の32.55リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
6月28日に一時的な急落で33.04リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新したものの、日足終値ベースでは6月26日から7月2日まで5営業日連続のドル安リラ高となり、3日もトルコ6月CPI上昇率が予想よりも鈍化したことと、7月3日夜の米経済指標が総じて弱くメジャー通貨に対してドル安となったことを背景に6連騰とした。しかし高値で32.30リラを付けた後は上げ渋りとなり7月4日午前序盤は32.57リラから32.47リラのレンジで推移して上昇一服感も見られる。
トルコ外相がBRICs加盟希望と発言したことや新興国通貨安を背景としたリラ売りはひとまず落ち着いており、6月27日にトルコ中銀がインフレ抑制のための金融引き締めを継続して政策金利を据え置いたことと年後半へのインフレ鈍化期待及びマネロン等を監視するFATF(金融活動作業部会)がトルコを監視強化対象国から除外したこと、外貨準備高増加傾向がリラ買いに寄与していると思われる。
【6月のトルコCPIは予想よりも鈍化】
7月3日夕刻に発表されたトルコの6月CPI(消費者物価指数)上昇率は前月比1.64%となり5月の3.37%から鈍化して市場予想の2.22%も下回った。前年同月比は71.60%で5月の75.45%から鈍化して市場予想の72.60%も下回った。変動の激しい食料品やエネルギー等を除いたコアCPI上昇率は前月比1.7%となり5月の3.8%から大幅に鈍化し、前年同月比は71.4%で5月の75.0%から鈍化した。
先行きのCPIに影響する6月のPPI(生産者物価指数)上昇率は前月比1.38%で5月の1.96%から低下、前年同月比も50.09%で5月の57.68%から低下した。
トルコのシムシェキ財務相は前月の5月CPI発表後に「最悪期は脱した」「我々はディスインフレ期に入る」と述べたが、6月のCPIも予想より鈍化したことで年後半に向けて40〜45%程度へ鈍化してゆくとの期待が高まり、インフレが落ち着けば先行きに利下げもあり得るとの楽観がやや優勢となった印象だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月25日夜安値をサイクルボトムとして27日午前から7月1日午前にかけての間への上昇を想定していたが、7月2日早朝へ続伸したために7月2日午前時点では6月28日夕安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして7月3日午前から5日午前にかけての間への上昇を想定した。
7月3日夕刻へ高値を伸ばしてから深夜に反落し、その後の戻りが続かずに上値が重くなっているのですでにサイクルトップを付けた可能性があると注意し、3日深夜安値4.94円割れを回避するうちは一段高余地ありとするが、3日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとして4日の日中から5日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月3日夕刻高値から失速したために遅行スパンが実線と交錯しているが先行スパンからの転落は回避しているので、先行スパンからの転落回避中は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月1日から3日夕刻への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて3日深夜に40ポイント近辺まで下げたためいったん下げに入りやすいところと注意し、60ポイント超えからは上昇再開とするが、次に40ポイントを割り込むところからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.94円を下値支持線、4.98円を上値抵抗線とする。
(2)4.94円を上回るうちは4.98円超えから4.99円、5.00円を順次試す上昇を想定する。4.99円以上は反落注意とするが、4.96円を上回っての推移なら5日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.94円割れからは下向きとして4.92円前後への下落を想定する。4.92円以下は反騰注意とするが、4.94円以下での推移なら5日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月4日
20:30 週次 外貨準備高 6月28日時点 (6月21日時点 885.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 6月28日時点 (6月21日時点 448.5億ドル)
7月5日
23:30 6月 財務省現金残 (5月 2347.43億リラ)
7月10日
16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -4.9%)
16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -0.7%)
16:00 5月 失業率 (4月 8.5%)
注:ポイント要約は編集部
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