ドル円見通し 連日の高値更新、一時161円割れへ急落してからの反騰で円安トレンド継続(24/7/4)

ドル円は、ドル売りが落ち着いたことと円安基調は継続との見方から早々に買い戻されて4日5時台には161.74円を付けた。

ドル円見通し 連日の高値更新、一時161円割れへ急落してからの反騰で円安トレンド継続(24/7/4)

連日の高値更新、一時161円割れへ急落してからの反騰で円安トレンド継続

〇昨日のドル円、162円に迫った後、総じて弱い米指標結果を受け160.77へ一時急落
〇9月利下げ開始の可能性が高まったとして米長期債利回り低下、ドル全面安が要因
〇やや過剰反応だったとしてドル売りが収まりドル円反騰、本日早朝161.74をつける
〇昨夜公開のFOMC議事要旨はサプライズ感なく、市場の反応鈍い
〇米長期債利回りは前日から続落、ナスダックは連日の史上最高値更新
〇161.20台を上回るうちは161.94超えから162円台前半への上昇を想定
〇161.20割れからは161.00前後試しとする

【概況】

ドル円は7月3日19時台に161.94円を付けてこの間の最高値を更新して162円に迫ったが、3日夜発表の米経済指標は総じて弱かったことで米長期債利回りが低下してドル安となったために23時台安値で160.77円へ一時急落したが、ドル売りが落ち着いたことと円安基調は継続との見方から早々に買い戻されて4日5時台には161.74円を付けた。
7月3日のADP6月全米雇用報告における非農業部門民間就業者数が予想を下回り、5月貿易赤字が拡大、新規失業保険申請件数が増加、5月製造業受注が前月比マイナスへ悪化、6月ISM非製造業景況指数が50を割り込んだため、景気減速を意識して9月利下げ開始の可能性が高まったとして米長期債利回りが低下してドル全面安となったことが23時台安値への急落要因だったが、やや過剰反応だったとしてドル売りも収まりドル円は反騰している。その後にFOMC議事要旨が公開されたもののサプライズ感はなく市場の反応は鈍かった。
本日は米国市場休場で手掛かりに欠けるが、昨夜の一時的急落を買い拾われたことで円安トレンド継続との見方は変わらず市場介入も見られないため162円への挑戦を続けやすい状況と考える。

【米経済指標は総じて弱く利下げ判断に寄与】

米ADPの6月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比15万人増となり5月の15.7万人及び市場予想の16万人増を下回った。
米商務省の5月貿易収支はモノとサービスを合わせた貿易赤字が前月比0.8%増の750億7100万ドルとなり市場予想の762億ドルを下回ったものの2か月連続の赤字拡大で2022年10月以来の赤字額となった。
米労働省による新規失業保険申請件数は6月29日までの週間で前週比4000件増の23万8000件となり3週ぶりに悪化して市場予想の23万5000件を上回った。4週平均は23万8500件で前週から2250件増、失業保険受給者総数は6月22日までの週間で185万8000人となり前週から2万6000人増加した。
米商務省による5月製造業受注は前月比0.5%減で4月の0.4%増から悪化して4か月振りのマイナスとなった。輸送関連を除き0.7%減、国防関連除き0.7%減だった。
米サプライ管理協会(ISM)による6月非製造業景況指数は48.8となり5月の53.8から大幅に低下して市場予想の52.5を下回った。事業活動が前月比11.6ポイント低下、新規受注が6.8ポイント低下、雇用が1.0ポイント低下した。

S&Pグローバルによる6月米サービス業PMI確報値は55.3となり速報値の55.1から上方修正されて前月確報値の54.8から改善した。

FOMC議事要旨では参加者の景気見通しや、どれほどの期間を金利抑制的とするのか不透明との意見がみられ、インフレが持続もしくは加速するなら追加利上げが必要になるとの意見が出た一方で、予想外の景気鈍化に備えるべきとの意見も聞かれた。
6月11-12日会合で政策金利は年5.25〜5.50%で7会合連続据え置きとなり、参加者のドットプロットでは年内利下げ無しが4名、1回利下げが7名、2回利下げが8名で、予想中央値としては1回とされたが、市場は9月利下げ開始期待と年内2回利下げを予想している。

【米長期債利回りは前日から続落、ナスダックは連日の史上最高値更新】

7月4日の米独立記念日による休場を控えて3日は短縮取引だったが、米長期債利回りは米経済指標が軒並み低調だったことで前日から連続低下となった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の4.36%となり7月2日の0.04%低下から連続低下となった。30年債利回りも0.08%低下の4.53%となり7月2日の0.02%低下から続落し、2年債利回りも0.04%低下の4.71%となり2日の0.01%低下から続落したが一時4.68%をつけて4月末以降の最低である6月14日の4.67%に迫った。
一方で米国株式市場はまちまちの動き。NYダウは前日比23.85ドル安と下げたが、ナスダック総合指数は米長期債利回り低下を好感して前日比159.54ポイント高と上昇して3日連続で終値ベースの史上最高値を更新し、取引時間中の最高値も18188.30まで伸ばした。S&P500指数も3連騰と上昇、終値ベースの最高値を2日連続で更新するとともに取引時間中の最高値を更新した。総じて米国株式市場の楽観的な上昇基調は継続しており、株高もリスクオン優勢感によりドル円への押し上げ要因となっている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は6月28日夜安値を起点とした上昇期として7月3日午前から5日午前にかけての間への上昇を想定してきた。7月3日午前時点では161.27円割れからはいったん下げに入る可能性があるとみて7月3日夜から5日深夜にかけての間への下落を想定するとしたが、弱気転換した後に7月2日以降の高値を更新するところからは次の上昇期入りとした。
7月3日深夜に急落してからその大半を解消する反騰となったため、7月3日深夜安値を押し目底としてすでに新たな上昇期に入ったとみて8日夕から10日夜にかけての間への上昇を想定する。弱気転換は3日深夜安値160.77円割れからとし、その際は8日夜から10日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表で7月3日深夜の急落から切り返したために遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後の好転から上昇再開とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月3日深夜への急落時に30ポイント台へ低下してから50ポイント前後まで戻しているので60ポイント超えからは70ポイント台への上昇へ進むとみるが、次の40ポイント割れからは下落再開を疑い30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、161.20円を下値支持線、7月3日夜高値161.94円を上値抵抗線とする。
(2)161.20円台を上回るうちは161.94円超えから162円台前半への上昇を想定する。162.35円以上は反落注意とするが、161.20円を上回っての推移なら5日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)161.20円割れからは161.00円前後試しとする。161円前後は買われやすいとみるが、161円割れから続落の場合は7月3日深夜安値160.77円試しとし、割り込む場合は160.0円台前半へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

7/4(木)
英国総選挙、休場 米国
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -0.2%、予想 0.5%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 -1.6%、予想 -6.1%)
20:30 (欧) ECB(欧州中銀)理事会議事要旨

7/5(金)
08:30 (日) 5月 全世帯消費支出 前年同月比 (4月 0.5%、予想 0.2%)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI・速報値 (4月 110.9)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI・速報値 (4月 115.2)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.1%、予想 0.2%)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -3.9%、予想 -4.3%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -0.5%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 0.0%、予想 0.2%)
18:40 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
21:30 (米) 6月 非農業部門雇用者数 前月比 (5月 27.2万人、予想 18.8万人)
21:30 (米) 6月 失業率 (5月 4.0%、予想 4.0%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前月比 (5月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前年同月比 (5月 4.1%、予想 3.9%)
26:15 (欧) ラガルドECB総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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