ドル円が上げ渋る中でドル/トルコリラの史上最安値続き上値重い展開
〇トルコ円、6/25はドル/トルコリラの史上最安値更新に圧され、安値4.82つける
〇6/26早朝に4.85まで戻したものの勢いに欠ける展開
〇対ドルでのリラ安超える円安の勢い示せば、4.90台目指す上昇へ進む可能性も
〇ドル円急落ならリラ安の継続に円高も重なり、トルコリラ円の下げが厳しくなる可能性に注意
〇対ドル、6/25は概ね33.03から32.74の取引レンジ、4営業日連続で終値ベースの最安値更新
〇トルコ5月海外観光客数は前年同月比14.0%増、夏場の最盛期に向け堅調に増加
〇4.82上回るうちは4.86超えから4.87、4.88を順次試す上昇を想定、4.88以上は反落注意
〇4.82割れからは下落期入りとみて4.81、4.80順次試す下落を想定、4.80前後は反騰注意
【概況】
トルコリラ円の6月25日は概ね4.86円から4.82円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.84円で前日終値と変わらなかった。
ドル円は6月24日午前に159.92円へ上昇して5月3日安値151.85円以降の最高値を更新したものの160円手前での市場介入警戒感から上値が重くなり、24日夜に一時的な急落で158.76円まで下げてから元の水準へ戻した後は159円台で確りしているが、クロス円全般を押し上げる勢いに欠けている。
トルコリラ円は6月24日午前にドル円が上昇した局面で高値4.87円を付けたものの24日夜安値4.84円へ下落し、25日はドル円が159円台序盤へ下げてから戻した流れを活かせずにドル/トルコリラの史上最安値更新に圧されて19時台安値4.82円をつけ、26日早朝に4.85円まで戻したものの勢いに欠ける展開となっている。
ドル円が160円を突破して市場介入も見られなければ市場介入の現場指揮官である神田財務官による円安防衛ラインが165円前後まで切り上がるのではないかとの見方が優勢となって上昇(円安)が勢い付く可能性があり、その際に対ドルでのリラ安を超える円安の勢いを示せばトルコリラ円も4.90円台を目指す上昇へ進む可能性が出てくると思われるが、160円手前を壁としてドル円が上げ渋りを続ける場合はトルコリラ円の戻りも鈍くリラ安次第で安値切り下げへ進むことが懸念され、ドル円が急落する場合にはリラ安の継続に円高も重なることでトルコリラ円の下げが厳しくなる可能性もあると注意したい。
【ドルトルコリラは終値の史上最安値を4日連続で更新】
ドル/トルコリラの6月25日は概ね33.03リラから32.74リラの取引レンジ、26日早朝の終値は32.92リラで前日終値と同値だったが、小数点下4桁では24日終値32.9169リラから25日終値32.9206リラへ上昇しており、6月20日終値32.81リラで6月17日終値32.79リラを超えて終値ベースの史上最安値としてから21日、24日、25日と4営業日連続で終値ベースの最安値を更新した。
取引時間中の史上最安値は4月12日安値33.03リラで25日も同値の安値を付けたが、小数点下4桁では4月12日の33.0255リラから25日の33.0264リラへとわずかに最安値を更新している。
4月12日安値から5月14日高値31.89リラへ上昇した時には大手金融機関によるトルコ投資推奨やS&Pによる格上げ等により歴史的なリラ安が落ち着いたとの見方も拡大したのだが、その後は高値更新へ進めずに終値は32リラ台に留まり続けたことでリラ買い意欲にブレーキがかかり、トルコのBRICS加盟希望表明による地政学的リスク拡大、6月末の仏総選挙での極右勢力台頭見通しによるリスク回避的なリラ買いポジション解消の動き、年後半に向けて落ち着くとされてきたインフレがまだ上昇を続けていること等でリラ売りが再開している。
終値ベースで33リラ台に到達するようだと先安感が強まりかねないが、6月14日にトルコ中銀が集計したビジネスサーベイにおける年末為替レート予想は1ドル37.7463リラであり年初の1ドル40リラからは低下しているものの、最近の動きはリラの先安感は市場のコンセンサスであることを再認識させている。
【海外観光客数は堅調に増加】
6月25日に発表されたトルコの5月海外観光客数は前年同月比14.0%増となり4月の8.7%増から伸びが加速した。トルコ観光は冬を閑散期として夏場が最盛期となるため、例年は3月あたりから増加し始めて7月にピークを付ける。5月は513万人で4月の361万人から増加し、2023年5月の450万人、2022年5月の387万人を上回っている。
トルコは構造的な輸入依存により貿易収支はほぼ赤字続きであり、観光収入と海外投資で穴埋めをしつつも経常収支はほぼ赤字が常態化している。中東情勢の悪化やロシア内のテロ事件等も含めて地政学的リスクの高まりは観光客の足を遠のかせることも懸念されるが、今のところは大きな逆風にはなっていないようだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月20日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日午後から27日夕にかけての間への上昇を想定したが、6月24日午前高値4.87円から夜安値4.84円まで下げたために25日午前時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとした。
6月25日夜へ続落したため24日午前高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたが、すでに25日夜安値でボトムを付けて強気サイクル入りしたとみて27日午前から7月1日午前にかけての間への上昇を想定し、25日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして28日夜から7月2日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月25日夜安値から戻しているため遅行スパンは好転しつつあるが先行スパンを上抜き切れずにいる。先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、25日夜安値割れからは下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月25日夜に40ポイントに迫ってから50ポイント台へ戻しているので、45ポイント以上での推移中は60ポイント台への上昇余地ありとし、45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.82円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)4.82円を上回るうちは4.86円超えから4.87円、4.88円を順次試す上昇を想定する。4.88円以上は反落注意とするが、4.86円を上回っての推移なら27日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.82円割れからは下落期入りとみて4.81円、4.80円を順次試す下落を想定する。4.80円前後は反騰注意とするが、4.82円を割り込んだ後も4.83円を下回っての推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月27日
16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 98.2)
20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 6月21日時点
6月28日
16:00 5月 貿易収支確報 (4月 -99億ドル)
7月1日
16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 48.4)
7月3日
16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 3.37%)
16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 75.45%)
注:ポイント要約は編集部
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