ドル円の上昇が一服する中でドル/トルコリラは3日連続の終値史上最安値更新
〇トルコ円、6/24午前高値4.87から夜安値4.84へ下落、その後の戻りも4.86に留まり下げ幅解消に至らず
〇ドル高リラ安のため、ドル円が上げ渋る場合はトルコリラ円はリラ安に圧されて下げやすいところ
〇対ドル、6/24は概ね32.93から32.60の取引レンジ、終値は32.92で3営業日連続で終値の最安値更新
〇トルコ製造業信頼感は2か月連続で低下、景気の先行き不透明感が示された印象
〇4.84を上回るうちは、4.86超えから4.87、4.88を順次試す上昇を想定する
〇4.83割れからは下落期入りとみて、4.81、4.80を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の6月24日は概ね4.87円から4.84円の取引レンジ、25日早朝の終値は4.84円で先週末終値4.87円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル円は6月24日午前に159.92円を付けて6月4日夜安値154.54円以降の高値を更新したが160円手前での市場介入警戒感から上げ渋り、24日夜には一時的な連鎖売りで158.76円まで下げてから159円台後半へ戻す波乱がみられ、25日午前序盤も高値更新へ進めずにいる。
一方でドル/トルコリラはリラ売りが再開していることで6月20日から24日にかけて3営業日連続で終値ベースの史上最安値を更新したため、トルコリラ円はドル円の上げ渋りと下ブレ不安を抱える中でのドル高リラ安により6月24日午前高値4.87円から24日夜安値4.84円へ下落し、その後の戻りも4.86円に留まって直前の下げ幅解消には至らずにいる。
ドル円は6月14日の日銀会合後の乱高下で高値158.25円から安値156.88円へ反落した後は三角持ち合いを形成して徐々に安値を切り上げていたところ、6月20日の米財務省による半期為替報告書で日本が監視対象に再指定されたことで市場介入がしづらくなったとして円安が勢い付き、21日夜の米PMIが予想以上の堅調さを示したことで一段高してきたが、さすがに160円手前では慎重となり介入警戒感による指値売りの連鎖反応で24日夜に一時159円を割り込み、介入無しの下落だったとして早々に切り返している。
トルコリラ円としてはドル高リラ安が再開して3営業日連続のリラ安のためにドル円が上げ渋る場合はリラ安に圧されて下げやすいところだが、ドル円が160円を突破して市場介入がなければ165円を目指す声が高まるとともにトルコリラ円もリラ安に勝る円安により4.90円を目指す可能性もあると思われる。しかし24日夜のような波乱を繰り返しやすい緊張感も漂っているようだ。
【ドルトルコリラは終値の史上最安値を3日連続で更新】
ドル/トルコリラの6月24日は概ね32.93リラから32.60リラの取引レンジ、25日早朝の終値は32.92リラで先週末終値32.83リラから0.09リラのドル高リラ安だった。
6月20日終値32.81リラで6月17日終値32.79リラを超えて終値ベースの史上最安値としたが、21日、24日と3営業日連続で終値ベースの最安値を更新している。25日午前序盤も32.95リラを付けてこの間の安値を更新しており、取引時間中の史上最安値である4月12日安値33.03リラへ徐々に迫っている。
5月末のトルコ統一地方選での与党敗北後も正常な金融政策が続いていることと、高インフレに対する金融引き締めが続く中でいずれインフレが収まり、高金利で国債利回り水準が高く株高基調が続いているトルコへの海外からの投資も拡大するとの見方から対ドルでのリラ安が4月12日以降一服していたのだが、31リラ台後半を繰り返し試しながら終値では32リラ台に留まり続けたことでリラ買いも続かなくなり、高金利と金融引き締めによる景気減速への懸念が再燃してリラ売りが再開している印象だ。
今年序盤には年末時点の予想レートが1ドル40リラ前後だったところから現状では35リラから37リラ近辺まで低下してきているもののまだ先安感は継続中であり、4月12日安値を割り込む場合はリラ売りが加速しかねないと注意したい。
【トルコ製造業信頼感は2か月連続で低下】
6月24日にトルコ中銀が発表した6月の製造業信頼感指数は102.8となり5月の105.4を下回った。昨年12月に99.1へ悪化したところから改善傾向に入り今年4月に106.1まで上昇してきたが、2か月連続の低下となり景気の先行き不透明感が示された印象だ。同時に発表された6月の設備稼働率は76.3%で5月から横ばいとなったが、昨年11月に78.0%まで改善してから失速して今年1月以降は76%台での低迷が続いている。
先週発表された6月消費者信頼感指数も昨年8月以降の改善傾向が頭打ちとなり5月の80.5から78.3へ悪化したこと、イスタンブールの6月製造業PMIが3か月連続低下で5月の49.3から48.4へ悪化したこと、鉱工業生産や小売売上高の数字も悪かったことを踏まえると、高インフレとリラ安・高金利・増税による景気への悪影響が目立ちつつあるのではないかと懸念される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月20日夜への下落で弱気転換目安とした4.82円を割り込んだために21日午前時点では20日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてボトム形成期を20日夜安値を含めて25日朝にかけての間とし、20日午後高値超えからは新たな強気サイクル入りとしたが、6月22日早朝に20日午後高値を超えたために24日朝時点では20日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日午後から27日夕にかけての間への上昇を想定した。
6月24日午前高値4.87円から夜安値4.84円まで下げているのですでにサイクルトップを付けた可能性があると注意し、4.86円超えからは上昇再開で一段高へ進む可能性があるとみるが、4.83円割れからは弱気サイクル入りとみて25日夜から27日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月24日夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込んでいるため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。4.86円超えからは反騰入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は6月24日午前に70ポイントに迫ってから40ポイント割れへ低下し、その後も50ポイント丘での推移が続いているのでまだ下落余地ありとして20ポイント台への低下を想定するが、連続的な上昇で50ポイントを超える場合は60ポイント台への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.83円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を上回るうちは4.86円超えから4.87円、4.88円を順次試す上昇を想定する。4.88円以上は反落注意とするが、4.86円を上回っての推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.83円割れからは下落期入りとみて4.81円、4.80円を順次試す下落を想定する。4.80円前後は反騰注意とするが、4.83円を下回っての推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月25日
17:00 5月 海外観光客数 前年同月比 (4月s 8.7%)
6月27日
16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 98.2)
20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 6月21日時点
6月28日
16:00 5月 貿易収支確報 (4月 -99億ドル)
7月1日
16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 48.4)
7月3日
16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 3.37%)
16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 75.45%)
注:ポイント要約は編集部
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