ドル円見通し 160円手前で上げ渋り、一時159円割れの場面も
〇ドル円、6/24午前159.92を付け6/4安値154.54以降の高値を更新するも、160円台に届かず上げ渋り
〇158.76まで急落後159円台中盤へ戻し、深夜に159.81まで再上昇したが6/24午前高値超えへ進めず
〇昨日公開された日銀会合の主な意見では、追加利上げの可能性も見られた
〇米長期債利回りは大幅低下が一服したが下げ渋り、NYダウは上昇するもナスダックとS&Pは3営業日続落
〇159.30を上回るうちは上昇余地ありとし、159.92超えからは160円台前半への上昇を想定する
〇159.30割れからは、6/24夜安値158.76前後を試す下落を想定する
【概況】
ドル円は6月24日午前に159.92円を付けて6月4日夜安値154.54円以降の高値を更新したが、4月29日高値160.16円以来となる160円台には届かずに上げ渋りとなり、24日19時過ぎに一時的な売りの連鎖反応で158.76円まで急落してから159円台中盤へ戻し、24日深夜に159.81円まで再上昇したものの24日午前高値超えへ進めずにいる。
6月20日に米財務省が四半期為替報告書において日本を1年振りに監視対象としたことで今年三度目の市場介入がしづらくなったのではないかとの見方が円安を助長し、21日夜の米6月PMIが予想を上回る堅調さを見せたことで159円台後半へ進んできたのだが、160円が迫ったところでは市場介入への警戒感をまだ払拭できていないために不安心理とプログラム売りの連鎖で24日夜の一時的急落を招いたと思われる。
6月21日に神田財務官は「今後も過度な変動があれば適切な対応をしっかりと取っていくという考えに変わりない」、「ファンダメンタルズに沿って安定的に推移している限りは介入の必要はないが投機による過度な変動が国民経済に悪影響を及ぼすような場合にはしっかりとした対応をとる」と述べ、6月24日午前にも「過度な変動があった場合には適切な行動をいつでも取る用意がある」と述べている。
4月29日高値160.16円を超える段階で三度目の介入がなければ市場は財務官の防衛ラインを165円前後とみて円売りを勢い付かせる可能性もあると思われる。
【日銀主な意見、追加利上げの可能性も】
6月24日に日銀金融政策決定会合(6月13-14日開催)の主な意見を公開した。そこでは物価の上振れリスクが警戒されており、「目標実現の確度の高まりに応じて遅きに失することなく適時に金利を引き上げることが必要だ」との意見も見られた。国債買い入れ減額については具体案を決めるよりも市場の見方を確認するプロセスを踏んだ方がよりしっかりとした規模の削減ができるとの意見があり、市場動向を見ながら7月会合で減額の具体的計画を立てる姿勢が示された。ただ、個人消費が低調で一部自動車メーカーの出荷停止という想定外の事態が発生したことも懸念されており、「当面は現在の金融緩和継続が適当」との意見も見られた。
国債買い入れ計画については6月14日の政策発表直後に具体性を欠くとしてドル円は158.25円へ急伸し、植田総裁が減額規模は相当なものになると会見で述べたことで156.88円まで反落する乱高下となったが、その後に一段高したことにより市場は日銀の量的引き締めや追加利上げへの含みある姿勢についてはまだハト派的と受け止めている印象だ。
【米長期債利回り低下で下げ渋り続く】
6月24日の米長期債利回りは総じて小幅低下した。米FOMCが年内の利下げ想定回数の参加者による予想中央値を3月時点の3回から1回へ減らしたものの、ゼロ回4人と1回7人に対して2回利下げ予想が8人いたために金利先物市場では9月利下げの期待度が現時点でも6割を超えて年内2回利下げ期待度が5割を超えているため、米長期債利回りも大幅低下が一服したものの下げ渋り型の持ち合いで推移している印象だ。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.03%低下の4.23%、30年債利回りは同0.03%低下の4.37%、2年債利回りは同0.01%低下の4.73%だった。
一方で米国株式市場は明暗が分かれており原油高による資源株高でNYダウが先週末比260.88ドル高と上昇したものの、IT関連株の急騰一服感でナスダック総合指数が同192.54ポイント安と3営業日続落し、株式市場全般の動向を示すとされるS&P500指数も同16.75ポイント安で3営業日続落した。
NYダウは5月末から反騰基調にあるものの4万ドル前後を抵抗とし38000ドル前後を支持線とした持ち合いの範囲内にあるため、ナスダックの下落期入りが顕著になるようだと株安不安によるリスク回避感が為替市場に影響することにも注意しておきたい。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は6月14日高値を上値抵抗線とした三角持ち合いの終点となる6月20日夕安値157.60円を起点とした上昇期として21日午後から25日夕にかけての間への上昇を想定してきた。6月24日夜に一時159円を割り込む反落から戻しているため、24日午前高値を上抜く場合は新たな上昇期入りとみて27日午前から7月1日午前にかけての間への上昇を想定するが、24日午前高値を超えないうちは一段安の可能性ありとし、24日夜安値割れからは25日夜から26日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月24日夜の一時的な急落では先行スパン上限が下値支持線として機能してその後も先行スパンを上回った状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込む場合は下落期入りを疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は6月21日午前から24日午前への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて24夜の一時的急落を招いたが、その後は持ち直しているので60ポイント超えからは70ポイント台への上昇を想定する。ただし45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント以下への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、159.30円を下値支持線、6月24日午前高値159.92円を上値抵抗線とする。
(2)159.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、159.92円超えからは160円台前半(160.00円から160.50円)への上昇を想定する。160円台到達では市場介入を警戒するが、介入なければ上昇がさらに勢い付く可能性もあると注意し、160円台を維持しての推移に入る場合は上値目途を161円試しへ引き上げる。
(3)159.30円割れからは24日夜安値158.76円前後を試す下落を想定する。158.80円以下は反発注意とするが、159.30円以下での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
6/25(火)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI・改定値 (速報 115.2)
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI・改定値 (速報 111.6)
20:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
22:00 (米) 4月 FHFA住宅価格指数 前月比 (3月 0.1%、予想 0.3%)
22:00 (米) 4月 FHFA住宅価格指数 前年同月比 (3月 6.7%)
22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前月比 (3月 1.6%)
22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (3月 7.4%、予想 7.0%)
23:00 (米) 6月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (5月 102.0、予想 100.0)
23:00 (米) 6月 リッチモンド連銀製造業指数 (5月 0、予想 -3)
25:00 (米) クックFRB理事、講演
26:00 (米) 財務省2年債入札
27:15 (米) ボウマンFRB理事、講演
6/26(水)
FRB、年次銀行ストレステスト結果公表
10:30 (豪) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 3.6%、予想 3.8%)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 -20.9、予想 -19.5)
19:40 (欧) レーンECB理事、講演
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数・年率換算 (4月 63.4万件、予想 65.0万件)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数 前月比 (4月 -4.7%、予想 2.5%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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